米OpenAIは12月9日(現地時間)、動画生成AI「Sora」の正式提供を開始した。

ChatGPT PlusおよびProのユーザーは、Sora.comにおいてSoraモデルを使用したAI 動画生成を利用できる(ChatGPT Team、Enterprise、Eduには含まれていない)。同サービスには、今年2月にOpenAIがプレビューしたSoraモデルよりも大幅に高速な新バージョン「Sora Turbo 」が採用されている。

ChatGPT Plusには、月間最大50回の優先モード生成(1,000クレジット)が含まれ、生成動画は解像度720p、長さ5秒までという制限がある。一方、ChatGPT Proでは月間最大500回の優先モード生成(10,000クレジット)を提供し、これを超えた場合でも低速モードで無制限に生成可能である。Pro版では解像度1080p、長さ20秒まで、最大5つの同時生成が可能であり、透かしのない動画のダウンロードにも対応している。

さらに、さまざまなタイプのユーザーに合わせた価格設定に取り組んでおり、来年初めに提供開始する予定である。

SoraはChatGPT PlusおよびProに含まれているが、画像生成AI「DALL-E」のようにChatGPT本体には統合されておらず、独立した動画生成サービスとして提供されている。この設計は、多くのChatGPTユーザーが動画生成の経験を持たないことを踏まえ、習得を促すためのものである。

Soraでは、生成したい動画をテキストプロンプトで説明し、また参照画像のアップロードも利用できる。簡単なやり取りで高品質な動画を生成可能であるが、テキスト生成や画像生成に比べると、プロンプト作りや使いこなしの難易度は高い。たとえば、動画生成では「3秒目にカメラがパンし、5秒目にキャラクターがジャンプする」といった時間を通じた動きや変化の記述が必要な場合がある。また、動きの速さや方向、光や影の変化といった物理的な要素も伝えなければならない。

OpenAIは、Sora.comを単なる動画生成ツールとしてだけではなく、ユーザーが生成した動画を公開し、他のユーザーの作品を閲覧することで動画生成の技術や手法を学べる場としても活用している。「Explore」というコミュニティセクションでは、共有された動画がフィード形式で表示され、クリックするとテキストプロンプト、使用されたクリエイティブツールなど生成プロセスの詳細を確認できる。Soraには動画生成チュートリアルも用意されているが、自分が作りたい動画のイメージに近い作品や参考になる動画の生成メソッドを学び、それらから得た情報を自身のワークフローに取り入れることで、AI動画生成を用いたクリエイティビティを効率的に高められる。このExploreは、ChatGPT Plus/Proの契約者以外も閲覧することが可能である。

テキストプロンプトを入力するコンポーザーでは、アスペクト比(16:9/1:1/9:16)、解像度(480p/720p/1080p)、ビデオの長さ(5/10/15/20秒)、バリエーション数(1〜4)を選択して設定できる。スタイルプリセット機能(ストップモーション、バルーンワールドなど)も用意されている。

  • スタイルプリセット

    スタイルプリセットの「カードボード&ペーパークラフト」

生成後、プロンプトを編集できるほか、以下のようなクリエイティブ・ツールも利用できる。

  • Re-cut:生成動画から特定の部分を選択して残し、その前または後を拡張してシーンを仕上げる。
  • Remix:生成動画内の要素を置き換えたり、削除、または再構想する。たとえば、図書館の大きな扉が開く動画から、ドアの種類を変更したり、環境設定を宇宙船に変更するといったことが可能である。
  • Blend:2つの動画を1つのシームレスなクリップに融合させる。
  • Loop: 特定のセクションをトリミングし、リピート再生可能な動画を作成する。
  • Storyboard:タイムラインを使って、シーケンス全体にわたる複数のアクションを指示して動画を演出する。

Soraで生成された動画には、AIで作成されたことを示すC2PAメタデータが埋め込まれる。また、参照素材のアップロードに際して、ユーザーは18歳未満の人物、露骨または暴力的な内容、著作権で保護された素材を含まないことに同意する必要がある。不適切な利用はアカウントの禁止や停止につながる可能性がある。

現時点では、違法行為を防ぐ取り組みを優先し、実在人物を含むアップロードを厳しく制限している。一方で、クリエイティブなツールとして発展させることとのバランスも考慮し、初期テスター向けに肖像権対応のパイロット機能を提供している。また、ディープフェイク対策の改善を進め、より多くのクリエイターがSoraを活用できる環境の整備を目指している。