シャオミの「Redmi 14C」は、約6.88インチの大画面かつ手頃な価格が魅力のスマートフォンです。同社のオンラインストアのほか、家電量販店でも販売中で、オンラインストアの価格はメモリー4GB/ストレージ128GBモデルが17,980円。8GB/256GBモデルは23,980円です。MVNOではIIJmioで4GB/128GBモデルの取り扱いがあり、ギガプランのMNPとのセットで申し込んだ場合は一括で980円と、現行モデルのスマホの中では最安値クラスの価格設定になっています。今回、4GB/128GBモデルを一週間ほど試用したうえでのレビューをお届けします。

  • Redmi 14C

    約6.88インチの大画面液晶ディスプレイを搭載する「Redmi 14C」

ポイント1 約6.88インチの大画面ディスプレイ

コスパの良さには定評のあるシャオミですが、「Redmi 14C」にも「この価格なのに?」と思えるポイントがいくつもあります。1つめは、冒頭にも触れたディスプレイの大きさ。約6.88インチの液晶ディスプレイは、折り畳みではないスマホとしては最大クラス。大きい分だけ見やすいですし、一度にたくさんの情報を表示できます。解像度は1,640×720ドットのHD+なので、すごく高精細というわけではありませんが、十分にきれいなディスプレイ。コントラストや発色もよく、テキストを読んだり、写真や動画を見るのにストレスを感じることはありませんでした。

  • ディスプレイ

    解像度は1,640×720ドットで260ppi。コントラスト比は1,500:1で、強い光の下での最大輝度は600nit

ポイント2 120Hzのリフレッシュレートをサポート

2つめは、120Hzのリフレッシュレートがサポートされている点です。動きの速い映像やスクロール時にちらつきが抑えられる高リフレッシュレートのサポートは、今やミドルレンジ以上のスマホでは当たり前になってきています。初期設定ではアプリケーションにあわせて最適化される設定になっているのですが、開発者向けの機能を使って実際のリフレッシュレートを確認したところ、120Hzが適用される場面はかなり限定的でした。筆者が試した範囲で120Hzとなったのは、YouTubeで一部の動画を再生したときだけ。ホーム画面は90Hz、ブラウザのスクロールなどは60Hzでした。ゲームの高フレームレートモードも、サポートされていないとのことです。

  • リフレッシュレート設定

    アプリケーションにあわせてリフレッシュレートが最適化される設定になっている

ポイント3 色によって素材が異なるデザインへのこだわり

本体サイズはH171.88×W77.8×D8.22mm。カメラの出っ張りも少なくスリムです。ディスプレイにあわせてサイズは大きくなっていますが、その割に重さは204.8g~と、ずっしりこない程度に収まっています。ちなみに重さが「~」となっているのは、カラーによって重量が異なるため。カラーバリエーションは3色ですが、色によって背面の仕上げが異なっており、それが重量の違いとなっています。

このデザインへのこだわりが、3つめのポイント。今回仕様したスターリーブルーは「夜空のグラデーションを表現」したデザインになっていて、丸型のカメラ部分から放射状に線がキラキラと光る、光沢仕上げの個性的な背面になっています。重さはこのスターリーブルーが最も軽い204.8gで、レザーのようなエンボス加工がされたセージグリーンが207.1g、ガラス製カバーを採用するミッドナイトブラックが211.9gとなっています。

  • 背面全体
  • 背面アップ

    光の当たり方によって放射線状のグラデーション線がキラキラと光る、かなり個性的なデザインが採用されている

  • 右側面

    右サイドには音量キーと電源ボタンを配置。電源ボタンは一見そうは見えないが、指紋認証センサーを兼ねている。生体認証は顔認証にも対応

  • SIMカードトレイ

    左サイドにはSIMカードトレイを配置。2枚のnanoSIMとmicroSDカードを一緒にセットできる。デュアルSIM対応だが、一方でeSIMには対応していない

  • 上面

    上部には3.5mmヘッドフォン端子を備えており、有線のヘッドフォンが使用可能。BluetoothヘッドフォンはSBCとAACのみサポート

  • 底面

    下部にはUSB Type-C端子とスピーカーがある

SoCにはエントリーモデル向けのMediaTek Helio G81-Ultraを採用。各種ベンチマークテストの結果は、やはりエントリーモデルなりの結果といったところです。メモリーが4GBなのもちょっと物足りない感じがしますが、設定でストレージの一部を仮想メモリーとして使用できるようになっています。

  • Antutuスコア

    「AnTuTu Benchmark Android」のスコアは「257010」

  • 「PCMark for Android」の「Work 3.0 performance」のスコア

    「PCMark for Android」の「Work 3.0 performance」のスコアは「8951」

  • 「Geekbench 6」の「CPU Benchmark」のスコアは、Single-Coreが「407」、Multi-Coreが「1,327」

  • 「3DMark」の「Wild life」のスコア

    「3DMark」の「Wild life」のスコアは「601」

ポイント4 リア/フロントとも高精細なカメラを搭載

背面には一見するとカメラが4つあるようですが、上はライトで、下はデザイン。実際の撮影に使用されるカメラは左右の2つ。右がメインとなるF1.8の5,000万画素カメラで、左はQVGAの補助レンズとのことです。フロントカメラは、F2.0の1,300万画素。エントリーモデルながらリア/フロントとも、高画素かつ明るいカメラが搭載されているのが4つめのポイントです。

  • カメラ部

    通常の撮影に使用しているのは右の5,000万画素カメラだけ。左は補助

リアカメラでは、ポートレートモードや夜景モード、十分な光量が得られるシーンでは高精細な「50MP」モードでの撮影も楽しめます。自動シーン認識で設定が最適化されるので、基本的にはシャッターを切るだけでベストな写真が撮れるしくみ。ただし手ブレ補正等はないので、特に暗いシーンではしっかり構えて撮る必要があります。なお写真でも動画でも、美肌やフィルターを適応した撮影が可能。「シネマティック」というフィルターを使うと、フィルムで撮影したかのような、雰囲気のある仕上がりも楽しめます。

  • 等倍の撮影サンプル

    これは等倍で撮影

  • 2倍の撮影サンプル

    ワンタップでズームは2倍になる

  • 10倍デジタルズームの撮影サンプル

    最大10倍デジタルズームが可能。元の画素数が高いので、拡大してもそれなりに見える

  • シネマティックの撮影サンプル

    フィルターの「シネマティック」をオンにして撮影

  • 料理写真の撮影サンプル

    料理などもシーンにあわせた最適な設定で撮影ができる

  • ポートレートモードの撮影例

    ポートレートモードで撮影

  • 夜景の撮影例

    暗いシーンも明るく撮影できるが、手ブレしやすくなるので注意が必要

  • セルフィーの撮影例

    フロントカメラのポートレートモードで撮影

ポイント5 大容量かつ急速充電対応のバッテリー

バッテリーは、たっぷり5,160mAh。スペック上は22時間の動画再生が可能となっていますが、ディスプレイの明るさをMAXにして実施した「PCMark for Android」の「Work 3.0 battery life」ベンチマークテストの結果は7時間44分でした。画面が大きく、また液晶ということもあり、バッテリー持ちはディスプレイの明るさの大きく影響を受けます。試しに他は同じ条件のまま、明るさを自動調整する設定でテストを行ったところ、14時間7分という結果になりました。

バッテリーの容量が大きいと、その分だけ充電に時間がかかるのもネックなのですが、「Redmi 14C」は18Wの急速充電に対応しています。ちなみに付属しているACアダプタは、33Wまで対応のもの。試したところ、電池残量15%から約30分で50%までリチャージすることができました。この大容量バッテリーと急速充電対応が5つめのポイントになります。

  • 急速充電

    付属のACアダプターのケーブルを接続すると「急速充電」と表示される

  • パッケージ内容

    2万円を切る価格ながら、33WのACアダプターやケーブル、ケースも付属する

まとめ とはいえ、エントリーモデルなりの割り切りも必要

「Redmi 14C」は、ゲームをストレスなくプレイしたい人にはおすすめしませんが、WebサイトやSNSをチェックする、メッセージをやり取りする、動画を見る、写真を撮るといった一般的な使い方なら必要十分なスマートフォンです。紹介してきたように「この価格なのに?」と思えるポイントも多く、2万円を切る価格にはお得感もあります。前モデルにあたる「Redmi 12C」は、接続端子がMicroUSBというのが残念だったのですが、今モデルではUSB Type-Cが採用されているのも安心できるポイントです。

その一方で、エントリーモデルなりの割り切りが必要なところもあります。たとえば通信は4Gまでで、5Gはサポートされていません。防塵/防水性能はIP52レベルですし、Felicaも非搭載。大画面を活かした分割画面表示などにも対応していません。スピーカーがモノラルなのはいいとして、横位置にしたときに音の聞こえ方のバランスが悪いのも気になりましたが、ヘッドフォン端子を備えているので有線のヘッドフォンが使えるメリットもあります。

割り切りは必要ながら、とにかく安いスマホが欲しい人や、手軽に持てるサブ端末としては魅力的な一台ではないでしょうか。