筆者は長く組織に属してPCを使用した経験はないものの、現在の企業は社内PCや従業員に貸与したPCへ、インストールできるアプリを制限しているという。
振り返れば牧歌的なDOS時代やWindows 3.x/9x時代に属していた組織はフリーダムだった。その感覚があるため、"組織によるアプリ制限"はピンとこないのが正直な感想ながらも、組織用PCのセキュリティを担保しなければならないIT管理部門は、アプリの選定からバージョンアップの可否まで目を見張らなければならない。
昨今の大規模トラブルや国内のランサムウェア攻撃を鑑みても、IT管理部門およびセキュリティ管理部門の責任は重大だ。
プラットフォーム側も手を拱(こまね)いて見ているわけではない。ビジネスおよび教育機関向けMicrosoft Storeには、組織内にアプリの導入・展開を制御する機能を用意してきた。
基幹業務アプリの展開にも利用できたため、使用してきた組織も少なくないだろう。だが、いずれも将来的な廃止が予定されている。MDM(モバイルデバイス管理)およびNAM(モバイルアプリケーション管理)を行うMicrosoft Intuneへの移行が選択肢の一つだが、Microsoftはもう一つの選択肢も用意してきた。それがwinget(Windowsパッケージマネージャー)である。
Microsoftは現地時間2024年7月29日に公開した公式ブログで、Microsoft Storeアプリのダウンロードと他PCへの展開機能をバージョン1.8からサポートしたことを案内した。
winget自身は以前のバージョンからMicrosoft Storeのリポジトリーを対象にしたパッケージインストール機能を提供してきたが、バージョン1.8はダウンロードおよびライセンスの取得に対応している。
たとえばMicrosoft Storeで配布中の「Windows電卓」の場合、「winget download Calculator -s msstore」を実行すると、パッケージとライセンスファイルのダウンロードが可能。あとはPowerShellコマンドレットのAdd-AppxPackageで各PCにインストールできる。
IT管理部門は検証を終えたMicrosoft Storeアプリをwingetでダウンロードして、社内のファイルサーバーに配置&導入方法を従業員に展開すれば、業務負担の軽減につながるのではないだろうか。
Microsoftも「ビジネス向けMicrosoft StoreのEnterprise Offline機能に代わるもの」と説明している。本機能は自宅などで使用する個人用PCには基本的に不要だが、複数台のWindows 10/11を稼働させ、アプリの管理に難儀している方にも有用な手段となるだろう。
筆者も日々のアプリ更新はwingetに丸投げしているが、管理者権限でPowerShellを起動する方法が直感的ではない。Windows 11 バージョン24H2から利用可能になる予定の、コマンドラインから管理者に昇格する「sudo」コマンドのサポートが待ち遠しい。