シャープが世界で初めて「水で焼く」家庭用ウォーターオーブン「ヘルシオ」を発売したのが2004年。今年はヘルシオ誕生から20年の節目の年になります。そんなヘルシオに新製品が3モデル登場しました。

いずれも30L容量のファミリー向けサイズの製品で、6月20日に2段調理可能な「AX-LSX3B」と「AX-RS1B」、7月25日にはベーシックモデルの「AX-N1B」が発売されます。

熱烈なファンも多いヘルシオオーブンはどこが進化したのか? プレス向け発表会にてチェックしてきました。価格は3モデルともにオープン。市場推定価格はAX-LSX3Bが213,000円前後、AX-RS1Bが163,000円前後、AX-N1Bが119,000円前後です。

  • 左からベーシックモデル「AX-N1B」(マットブラック)、「AX-RS1B」(マットホワイト/ダークメタル)、「AX-LSX3B」(ブラストメタルホワイト/プレミアムブラック)

  • 発表会会場には20年前に発売された初代ヘルシオも! 今でも通用しそうな魅力的なデザインです

ヘルシオオーブンの人気機能「まかせて調理」とは

ヘルシオの最大の特徴といえば、水蒸気よりも高温な「過熱水蒸気」を使った調理。シャープによると、水で過熱することで一般的なコンベクションオーブンよりも高い熱量での調理ができるうえ、食材を極力空気に触れさせないことで酸化も抑えられるそう。このため、食材の美味しさを引き出せるほか、栄養素を守りつつ余分な油や塩分を落とすことも可能だといいます。

そして、忙しい家庭にとって嬉しいのが、過熱水蒸気の「温度の低いほうに多くの熱を与える」という特性。ヘルシオオーブンは、この特性を利用した「まかせて調理」という機能でも絶大な人気があります。

  • AX-LSX3Bの「まかせて調理」メニュー画面

まかせて調理は、異なる食材でもすべて「良い感じ」に加熱調理するという機能。たとえば、冷凍や冷蔵、常温の食材をすべて一緒に調理しても、ヘルシオが温度の上昇具合から自動的に加熱時間を調整してちょうど良く調理してくれます。冷蔵庫にある余った食材を角皿に並べて「まかせて調理」するだけなので、料理が苦手な人や、忙しい人にとってはかなり嬉しい機能なのです。

  • 「まかせて調理」の一例(写真は調理前)。ハンバーグに付け合わせの野菜、さらには生卵をホイルに包んで乗せればゆで卵も作れます

  • 調理後の写真。生卵やレトルトパウチをそのまま調理できるのもヘルシオの「まかせて調理」ならではの特徴です

「まかせて調理」は今回発表された3モデルすべてに搭載されていますが、じつはモデルによって少しずつできることが違います。

上位2モデルはまかせて調理に「焼く」「網焼き・揚げる」「炒める」「蒸す・ゆでる」の4つの調理法が用意されていますが、最上位モデルのAX-LSX3Bのみ「上段でまかせて調理、下段では惣菜あたため」のように2段同時調理が可能です。一方、ベーシックモデルのAX-N1Bはまかせて調理に「焼く」のみ搭載しています。

  • ベーシックモデルのAX-N1B。このモデルのみ付属する天板は1枚のみ。オーブンなどで2段調理をしたい場合は別売りの角皿を購入する必要があります

新モデルの気になる進化機能は「ほかほかキープ」!

新製品は、このまかせて調理がさらに進化しました。最上位モデルのAX-LSX3Bはまかせて調理終了後に、最大30分間料理を温かい状態で保持する「ほかほかキープ」機能を搭載。

シャープによると「まかせて調理が簡単すぎて、思ったより早く調理が終わってしまうことがある」というユーザーの声をもとに作られた機能だそうです。たしかに、ほかほかキープの30分があれば、あと1~2品をあわてずに作れそう。

  • ほかほかキープ中の最上位モデルAX-LSX3B。ほかほかキープ機能を搭載しているのはこのモデルだけです

AX-LSX3BとAX-RS1Bの2つのモデルに搭載された新機能には「らくグリ!調理」があります。こちらは新たに付属する小さめサイズの「ヘルシオトレー」を使って調理する自動メニューです。

  • プレミアムモデルのAX-RS1B(マットホワイト/ダークメタル)。最上位モデルとの違いは「ほかほかキープ」やまかせて調理の下段同時調理、AIによる音声操作や対話機能など

  • AX-LSX3BとAX-RS1Bの2つのモデルに付属する新「ヘルシオトレー」。標準の角皿の半分ほどのサイズで、底に波形がついています

いままで「まかせて調理」を使うには、少量だけ作りたい場合も大きな角皿を使用する必要がありました。さらに、調理によっては角皿に焼き網をセットする必要があり、さらに片付けが面倒になります。

一方、新たに付属するヘルシオトレーは幅270×奥行き170mmとかなりコンパクト。ステーキハウスのステーキプレートくらいの大きさです。このため、取り回しがしやすく、洗うのも簡単そう。さらに、トレー底に波形がついているため、グリル時に焼き網も必要ありません。

  • 1~2人用のおかずが一度に料理できるサイズ。この分量で「まかせて調理」すると……

  • 写真は2人分のお弁当のおかずを一度に作ったところ

ヘルシオトレーに似たサイズや形状の角皿は市販されていますが、ヘルシオトレーはトレー下部にある突起も特徴のひとつ。この突起でトレーを少し浮かすことで、庫内にセットしたときにトレー下にまでしっかり熱風が入り込むように工夫されているのです。

  • ヘルシオトレーの裏側

  • トレーを庫内にセットしたところ

  • 会場では「らくグリ!調理」で作られたハンバーグと野菜のグリルの試食もできました。火が通りにくそうなニンジンも中心まで柔らかで甘みが強く感じられました

このほか、3モデルともに「ワンディッシュメニュー」も新搭載。これは、食材と調味料をお皿にのせてメニューを選ぶことで、どんぶりやパスタといった一皿料理ができるという機能です。これは同社のオーブンレンジなどにすでに搭載されている人気機能だったのですが、とうとうヘルシオでも利用できるようになりました。

  • 会場に展示されていた「たらこの彩りごはん」

  • 皿の上で調理が完結するので、手間がかからない上に洗い物が少ないのが嬉しいですね

「家事負担の軽減」が進化のポイントに

今年はウォーターオーブン「ヘルシオ」20年の節目でしたが、新モデルはどちらかというとマイナーバージョンアップという印象。とはいえ、自動調理にコンパクトなトレーが使えるようになったのはかなり大きなメリットです。

じつは筆者も自宅でヘルシオを使っていたのですが、調理は簡単なのに毎回大きな角皿を洗うのが面倒だと感じていました。このため「加熱水蒸気で作ったほうが美味しい」とわかっていても、自分用の少量調理なら電子レンジを使ってしまうことも……。

しかし、新ヘルシオトレーならコンパクトで洗いやすそうなうえ、トレーをそのまま皿としても使えそうなので、もっと気軽に毎日使えそうです。皿の上で全部の調理が完結するワンディッシュメニューの搭載とともに、ズボラ派には嬉しい進化だと感じます。

  • AX-LSX3BとAX-RS1Bは電子レンジのアンテナ形状も変化。電子レンジを使った冷凍食材のあたために強くなるなど、じつは目に見えない部分も進化しています