カメラマンいらずで自撮りができる“空飛ぶAIカメラ”「HOVERAir X1 Smart」、応援購入サイトのMakuakeで2億円を超える金額を集めたことで話題になりました。そのHOVERAir X1 Smartが、5月28日からいよいよ一般販売を開始。それに合わせ、HOVERAir X1 Smartを開発したZero Zero Roboticsの創業者でありCEOのMengqiu Wang氏が来日し、HOVERAir X1 Smartの開発秘話を語ってくれました。

  • Zero Zero Roboticsの創業者でありCEOのMengqiu Wang氏。手にしているのが、Makuakeでヒットを記録した空飛ぶAIカメラ「HOVERAir X1 Smart」

Makuakeで記録を作った空飛ぶAIカメラ、Amazonなどで販売を開始

HOVERAir X1 Smartは、自撮りに特化した薄型軽量の小型ドローン。フラットなボディの前面に搭載したジンバル付きカメラは、AIで人物を認識する機能を備えており、自分で操作することなく人物をフレームに収めた自撮り動画を自動で撮影してくれます。スマホアプリで「自分を後ろから追いかけて撮影する」「自分の周囲を回りながら撮影」など自撮りのパターンを選ぶだけで、ダイナミックな動きの自撮りが手間なく楽しめます。

  • フラットなボディを採用するHOVERAir X1 Smart。自分で操作する必要なく自撮りが楽しめる薄型軽量の小型ドローンだ

HOVERAir X1 Smart最大の特徴が、重量を徹底的にそぎ落とし、重さを99gに抑えたこと。重さが日本のドローン規制(100g以上)の対象外となるため、空港などの飛行禁止空域や法令で禁止されている場所、人で混雑する状況でなければ、事前の申請や免許は不要で使えます。

  • バッテリーを装着した飛行可能な状態でも99gしかない。日本においては「重量が100gを切っている」ことが何よりも重要となる

  • 「99grams」の表示が誇らしい

これらの手軽さや斬新な自撮りが楽しめる点が幅広い世代に響き、3月上旬にHOVERAir X1 Smartの応援購入がMakuakeで始まると購入者が殺到。4月20日の終了時点では、応援購入金額が約2億1241万円に到達。Makuakeでのカメラジャンルでは歴代1位の金額となりました。

5月28日から始まった一般販売では、HOVERAirの公式サイトやAmazonによるオンライン販売のほか、二子玉川 蔦屋家電(東京都世田谷区)や代官山 蔦屋書店(東京都渋谷区)、枚方T-SITE(大阪府枚方市)では店頭で購入できます。製品のラインナップや価格は以下の通り。

製品名称 一般販売価格 内容
基本セット 59,980円 HOVERAir X1 Smart本体、バッテリー×1、予備プロペラ×2、Type-Cケーブル×1、収納バッグ×1
標準セット 64,980円 HOVERAir X1 Smart本体、バッテリー×2、予備プロペラ×2、Type-Cケーブル×1、収納バッグ×1
プレミアムセット 69,980円 HOVERAir X1 Smart本体、バッテリー×2、充電ハブ×1、充電アダプター×1、予備プロペラ×2、Type-Cケーブル×1、収納バッグ×1
オールインワンセット 74,980円 HOVERAir X1 Smart本体、バッテリー×3、充電ハブ×1、充電アダプター×1、予備プロペラ×2、Type-Cケーブル×1、収納バッグ×1

自然な表情を勝手に撮ってくれるカメラマンを作りたかった

HOVERAir X1 Smartの一般販売開始に合わせ、 Zero Zero Roboticsの創業者でありCEOのMengqiu Wang氏が来日。HOVERAir X1 Smartをはじめ、HOVERAirシリーズの開発にまつわる話を聞きました。

Mengqiu Wang氏が“空飛ぶカメラ”を開発しようと決めたのは、大学院に通っていた10年以上前。「誰かを撮影するのは時間がかかるし、何より撮影している人が写らない。自分たちを写してくれる第3の存在が欲しいと感じた」と語ります。さらに当時、両親が写った写真を見たところ、どれも直立不動で硬い表情の写真ばかりだったのに驚いたそう。「何かを楽しんでいる自然な瞬間を、カメラを意識せずに撮られた写真や動画が理想といえる。カメラをカメラマンにする方法はないか探求した」と振り返ります。

  • 「普通のカメラだと撮っている人は写らない」という点も、Mengqiu Wang氏が従来のカメラに感じていた不満の1つだ

「人生の瞬間を効率的に撮影するには、空を飛ばすのが一番」と目を付けたのがドローンでした。当初から「薄型&折りたたみ式」「ケージを設けてプロペラは露出させない」という形状で改良を進め、2016年に「Hover Camera Passport」として製品化。2023年に投入した最新モデル「HOVERAir X1」は欧米でヒットしました。

  • 2015年から開発してきた試作機。折りたたみ可能なフラットデザイン、ケージ付き、という基本設計は9年前から変わらず貫かれていることが分かる

シリーズを通してこだわったのが、プロペラを囲う「ケージ」を必ず設けていること。「私たちの製品作りは何よりも安全性を重視しているので、ケージは必須の装備だと考えている。ケージを取り去れば容易に軽量化できるが、その手段は頭にない」と語ります。

  • HOVERAir X1 Smartのプロペラは格子状のプロペラガードに囲われており、回転中に触れてケガをする心配は少ない。普通の白いプラスチックに見えるが、航空機にも使われている軽量&高剛性の特殊な素材だという

海外でのHOVERAir X1のヒットにあぐらをかくことなく、派生モデルとして開発を進めたのが、日本市場向けのHOVERAir X1 Smartです。「日本はとても大切な市場なので、日本で誰もが手軽に使えるHOVERAirを作りたかった」と語るMengqiu Wang氏。ですが、ドローンに対して厳格な規制が設けられている日本では、機体の重量が100g以上になるとさまざまな手続きや制約が加わることから、100g未満に仕上げることが最優先の課題となりました。

HOVERAir X1をベースに、本体の小型化や折りたたみ機構の省略で軽量化を図りつつ、決定打となったのがケージに用いた素材。一見すると普通のプラスチックに見えますが、実は航空機でも使われている特殊な素材だそう。「カーボンファイバー(炭素繊維)より軽いのに耐久性や柔軟性に優れており、壁にぶつかったり落下しても壊れにくい」とメリットを語ります。ベースとなったHOVERAir X1はこの特殊素材を用いておらず、HOVERAir X1 Smartだけのぜいたくな装備だそうです。

今後、アプリの改良や新しい飛行モードの追加などの改良を実施していくそう。「私たちはユーザーからの『こういった機能が欲しい』という声に耳を傾けている。若い人にもぜひ体験してもらい、意見や感想を寄せてほしい」と語ります。新たな製品の開発も進めているそうで、「空を飛ぶモノとは限らない」とヒントをくれました。こちらも気になります。

  • HOVERAir X1 Smartのさらなる機能改良に意欲を見せるMengqiu Wang氏

発売記念割引や店頭での体験も実施

HOVERAir X1 Smartの一般販売は、オンラインではHOVERAir Japan公式サイトとAmazonで、オフラインでは二子玉川 蔦屋家電、代官山 蔦屋書店、枚方T-SITEで展開します。Amazon限定のキャンペーンとして、オールインワンセット(色はブラック)を3,000円引きで購入できるクーポンコード「HOVER3KOC6」を提供します。キャンペーン期間は5月31日(金)いっぱい。

HOVERAir X1 Smartを店頭で試せるトライアルも実施します。会場は「阪急うめだ本店8階 b8ta Osaka - Hankyu Umeda」(大阪市北区、5月31日まで)、「蔦屋家電+」(東京都世田谷区、7月3日まで)、「b8ta Tokyo - Yurakucho」(東京都千代田区、8月31日まで)。