さまざまなアングルからの自撮り動画がワンオペ(1人)で撮影できる自撮り特化の“空飛ぶAIカメラ”「HOVERAir X1 Smart」が、応援購入サイトのMakuakeに登場しました。歩く自分の姿を後方から追いかけるなどの自撮り動画が、自分で操縦する必要なく完全にお任せで撮影できます。規制に引っかからない100g未満の軽さなので、航空法で求められる許可や承認が不要で誰でも使えるのもポイント。一人旅やお出かけが楽しくなるばかりか、SNSでバズる動画を撮りたい人にも響く製品だと感じました。

  • 自撮りに特化した“空飛ぶAIカメラ”としてMakuakeに登場した「HOVERAir X1 Smart」。多彩な自撮りモードを用意していることや安定した撮影ができることなど、99gの軽い機体からは想像できない実力を持っていた

日本市場に特化し、重さを99gにそぎ落とした

Zero Zero Roboticsが開発したHOVERAir X1 Smartは、自撮りに特化した薄型軽量の小型ドローン。フラットなボディの前面に搭載したジンバル付きカメラは、AIを利用して人物を認識する機能を備えており、自分で操作をすることなく人物をフレームに収めた自撮り動画を自動で撮影してくれます。自撮りのパターンも「自分を後ろから追いかけて撮影する」「自分の周囲を回りながら撮影」など数種類を用意し、好みのパターンを選ぶだけでさまざまな自撮りができます。

  • フラットなボディを採用するHOVERAir X1 Smart。海外で販売している上位モデル「HOVERAir X1」とは異なり、ボディは折りたたむことはできない。日本市場限定モデルのため、技適をちゃんと取得している

  • 底面には、地面の状況を把握するためのカメラやセンサーを搭載している

  • iPhone 15 Pro Max(右)と比べてもコンパクトなのが分かる

ドローンといえば、かつて空飛ぶカメラとして普及が期待されたものの、初期のトラブルが要因で次々に厳しい規制が加わることに。100gクラスの小型モデルでさえ、利用には事前の申請や許可が必要になり、日本ではドローンは気軽に使える趣味のツールや撮影ツールではなくなりました。

そのようななか登場したHOVERAir X1 Smartは、すでに海外で販売が始まっている兄弟モデル「HOVERAir X1」のコンセプトを受け継ぎつつ、重量を徹底的にそぎ落とすことで、日本の規制範囲外となる重量99gに仕上げた意欲作。空港などの飛行禁止空域や法令で禁止されている場所、人で混雑する状況でなければ、事前の申請や免許は不要で使えます。

  • バッテリーを装着した飛行可能な状態でも、重量は100gを切っている

99gのボディを手にすると、あまりの軽さに驚かされました。あのiPhone 5sでさえ112gだったので、それよりも軽いわけです。プロペラはプロペラガードで囲われており、うっかりプロペラに触れてケガをする危険性がないのは好印象です。軽量化で極限まで重量を削らないといけないのに、安全性を確保するプロペラガードを省略しなかったのは評価できます。

  • プロペラは格子状のプロペラガードに囲われており、回転中に触れてケガをする心配は少ない。ただ、プロペラガードはかなり細いので、うっかり力を加えないようにしたい

フラットなボディの前面には1軸のジンバル付きのカメラを備え、最大2.7K画質の動画が撮影できます。このカメラの特徴が、AIを用いた画像認識により人物を認識し、人物をフレームに収めた自撮り動画が撮影できること。人物の顔が見える正面だけでなく、後ろ姿もしっかり捕捉します。ジンバルは1軸補正ですが、電子補正を併用して動画の不快なブレや揺れを最小限に抑えてくれます。カメラの上にはタリーランプを備えており、撮影中に赤く光るのは動画カメラらしさを感じます。

  • 前面には1軸のジンバルを搭載したカメラを搭載。2.7K/30pのほか、1080/60pでの撮影も可能。縦長動画の撮影にも対応する。カメラの上にはタリーランプを備えている

離陸や着陸は手のひらで、強風でも安定性は文句なし

HOVERAir X1 Smartを使ってまず感じたのが、離陸や着陸がとても簡単なこと。自分の手のひらで離着陸できるため、足下の状況が悪くても問題ありません。

離陸は、HOVERAir X1 Smartのカメラをこちらに向けた状態で手のひらに載せ、自分の目の前に腕を上げた状態で電源ボタンを押すだけ。すると3秒のカウントダウンが始まり、ふわりと浮かび上がります。その後、指定した撮影パターンでの撮影が自動で始まります。人間の顔が見えないと警告が出て離陸しないので、「利用者がHOVERAir X1 Smartを目視している」状況でないと飛ばない安全設計は評価できます。着陸も簡単で、HOVERAir X1 Smartの下に手をかざせばふわりと着陸します。

  • 離陸や着陸は手のひらでOK。着陸の際は、上下に30cmほど距離が離れていても手を認識して着陸態勢に入ってくれる

【動画】日本語の音声でカウントダウンが始まり、スムーズに離陸する。この動画のホバリングモードでは、一定の場所に静止したままカメラだけ人間を追いかける。着陸の際も暴れることなく安定しているのが分かる

【動画】オービットモードで自分の周囲を自動で旋回している様子。1周したら、自動的に自分の方に寄ってきて着陸態勢になる。飛行時の騒音はそこそこある

離陸させたあとに驚くのが機体の安定性です。機体が小さく軽いことから、風が吹く屋外では風に流されたり容易に墜落するのでは…と思っていましたが、その心配は杞憂でした。日本海からの強風が吹きすさぶ海岸で撮影したところ、機体が大きく揺れたり傾いたものの、流されることなくちゃんと撮影してくれました。じゃじゃ馬で扱いが難しいトイドローンとは別物の仕上がりです。

【動画】強い風が吹く海岸で撮影。風にあおられて機体が傾いているが、大きく流されることなく定位置をキープし続けた。99gの軽い機体でこの安定性は驚く

注意したいのが、室内など狭い場所での利用。HOVERAir X1 Smartは前方と底面にカメラやセンサーを備えていますが、左右や後方、上部にはセンサー類がないので、壁などの障害物を検知できずにぶつかって墜落してしまいます。室内での利用は、体育館など空間の広い建物でないと難しい、と考えた方がよいでしょう。

  • 周囲の状況を把握するカメラやセンサー類は前面と底面にしかない

  • 離陸後に後退するシーンは多いが、背面にはセンサーはないので、後方への衝突には十分注意したい。「99grams」の文字が誇らしい

お任せで撮れる撮影モードは多彩、隠しモードも!

HOVERAir X1 Smartは、さまざまな自動撮影モードを備え、好みのモードを選んだうえで離陸させれば、自動で撮影を行ってくれます。あらかじめ搭載している撮影モードは以下の通りで、スマホアプリを使えば動く範囲や高度、撮影画質などがある程度カスタマイズできます。

  • 上部のボタンで撮影モードを選び、電源ボタンを兼ねる中央のボタンを押せば離陸が始まる

撮影モード 内容
ホバリング 離陸したらそこで静止したまま、カメラは人物を追い続けて動画を撮影
ズームアウト 人物をアップにした状態から上昇して離れ、人物と風景をワイドに動画撮影
フォロー 人物を認識し、一定の距離を空けた状態で後方から動画を撮影
フロントフォロー 人物を認識し、一定の距離を空けた状態で前方から動画を撮影
オービット 人物の周囲を旋回しながら動画を撮影
俯瞰撮影 人物の真上に向かって上昇しながら動画を撮影
ストップモーション撮影 人物が静止してポーズを取った段階で写真を撮影

【動画】「オービットモード」で撮影。アプリの設定で自分からの距離を1.5mからにしたので、迫力のある動画が撮れた

【動画】こちらも「オービットモード」だが、距離を4mにしたので印象の異なる動画になった。左右にはセンサー類がないので、飛行ルート近辺に人や障害物がいないかに気を配る必要がある

【動画】上昇しながら撮影する「俯瞰撮影」モード。設定により、回転を加えながら上昇できる

【動画】縦長の動画も撮影できる。カメラ自体は回転しないので、左右をクロップすることで撮影しているようだ

隠しモード的な機能として、HOVERAir X1 Smartを手動で操縦するマニュアルモードも用意しています。通常のモードで一定回数飛行させるとロック解除されて使えるようになり、一般的なドローンのようにスマホアプリで自由に操れます。あくまでもメインは自動撮影ですが、飛ばすことを楽しめるようにしたのは好ましいと感じました。

  • マニュアルモードの画面。撮影を目的にせず飛ばすことを楽しめる。前進と後退のボタン配置は、設定画面で逆に変更できる

撮影モードは今後のアップデートで増える可能性もあるので、一般的なカメラではまず撮れないユニークなモードが追加されることに期待したいと思います。指定した被写体の周囲を自動で動いて写真を撮影し、フォトグラメトリーの素材を蓄積するモードなどが登場するといいかもしれません。

撮影のフレーミングが意外にうまい

撮影した動画はHOVERAir X1 Smartの内蔵メモリーに記録され、スマホアプリ経由でワイヤレスでスマホに転送できます。上空から撮影した動画や、自分を追いかける動画など、インパクトのある動画は見応えがあります。動画は、離着陸の前後など不要な部分を自動でカットしたうえで保存してくれるのが気が利いていると感じました。

動画を見て感心したのが「意外にフレーミングがうまい」ということ。後方から撮影するフォローモードで自転車に乗ったシーンを撮影したところ、人物の動きを考慮した構図になることが多く、単純に人物を中央に据えた“日の丸構図”ばかりにはなりませんでした。AIとうたうだけの効果があると感じます。

【動画】「フォローモード」で走行する自転車を後方から追いかけて撮影した。なかなかカメラワークがうまいと感じさせる動画に仕上がっており、自動で撮影したとは思えない仕上がりだ。ある程度速度を出した自転車にも追従してくれる

ただ、人物の正面から撮るフロントフォローモードは、いつの間にか後方からの撮影になって前に来てくれない…ともどかしく感じる場面もありました。フロントフォローモードは多くの人が利用したいと思われるので、ファームウエアの更新による改良に期待したいところです。

【動画】「フロントフォローモード」にして撮影。途中でHOVERAir X1 Smartが後方に下がってしまうことがしばしばあるなど、まだ安定性に欠ける印象だ。歩きながらの撮影でも、同様の現象が見られた

撮影した動画には音声は入っていませんが、旅先などでの感動を動画に残すため、スマホのマイクを使って音声を吹き込み、撮影した動画と合成するユニークな機能を備えています。HOVERAir X1 Smartの飛行音を消す処理が入っているため、想像以上にノイズの少ない音声付き動画が生成できます。映像と音声のズレもほとんどなく、実用的に使えると感じました。

【動画】マイクでしゃべりながら撮影したところ。基本的に無音のドローン撮影動画に音声が入るのはなかなか斬新だ。Vlog撮影にうってつけだと感じる

バッテリー内蔵の充電器はぜひ欲しい

バッテリー飛行時間は約11分。「10分ちょっとしか飛ばせないのか」と思いましたが、動画はたいてい1分以内、長くて2~3分程度で1シーンの撮影が済むので、1回のフル充電で数回は飛ばせます。バッテリーは、HOVERAir X1 Smart背面のUSB Type-C端子経由で充電できるので、屋外でもモバイルバッテリーなどを使って容量を回復できますが、充電中は撮影できなくなるので予備バッテリーは欲しくなります。

バリバリ撮影したいなら、5,000mAhのバッテリーを内蔵した充電ハブと専用バッテリー2つが付属するプレミアムセットやオールインワンセットがおすすめ。撮影中でも、充電ハブの電力を使ってHOVERAir X1 Smartのバッテリーが充電できるので、バッテリー切れで撮影できない状況を回避できます。

  • プレミアムセットやオールインワンセットに付属する充電ハブ。5,000mAhのバッテリーを内蔵しており、電源がない状況でも単体でHOVERAir X1 Smartのバッテリーが充電できる

  • 充電ハブはコンパクトなので、ポケットなどに放り込んでおける

優秀な撮影助手としてSNSで注目されそう

一般販売価格は以下の通りで、HOVERAir X1 Smart本体とバッテリー1個が付く基本セットが59,980円と、各社のアクションカメラや360度カメラと同水準に抑えています。Makuakeの早期購入では、一般販売価格と比べて最大30%引きで入手できるなど、早期購入はかなりおトクな価格で入手できます。

製品名称 一般販売価格 内容
基本セット 59,980円 HOVERAir X1 Smart本体、バッテリー×1、予備プロペラ×2、Type-Cケーブル×1、収納バッグ×1
標準セット 64,980円 HOVERAir X1 Smart本体、バッテリー×2、予備プロペラ×2、Type-Cケーブル×1、収納バッグ×1
プレミアムセット 69,980円 HOVERAir X1 Smart本体、バッテリー×2、充電ハブ×1、充電アダプター×1、予備プロペラ×2、Type-Cケーブル×1、収納バッグ×1
オールインワンセット 74,980円 HOVERAir X1 Smart本体、バッテリー×3、充電ハブ×1、充電アダプター×1、予備プロペラ×2、Type-Cケーブル×1、収納バッグ×1

SNSでの自撮りはスマホやアクションカメラ、360度カメラが使われますが、いずれも基本的に手や自撮り棒の届く範囲からしか撮影できません。HOVERAir X1 Smartはそのような制約を取り払い、これまでにない視点からの撮影を可能にする点が魅力的だと感じました。スマホやカメラでは撮れないインパクトのある動画を撮りたい、SNSでバズる動画を撮りたい、と考える人にとって、“優秀な撮影助手”として活躍してくれそうです。

  • 動画モード:2704×1520/30fps、1920×1080/60fps、1920×1080/30fps (HDR)
  • 画像サイズ:4000×3000 (12MP)
  • 内蔵カメラのイメージスタビライザー:メカニカル(チルト)+電子式手ブレ補正(EIS)+水平ブレ補正(HL)
  • 内蔵メモリー:32GB
  • 最高速度:7m/s(水平)、1.5m/s(上昇)、1.5m/s(下降)
  • 最大耐風性:7.9m/s(耐風レベル4)
  • 最大飛行高度:15m
  • リアルタイムビュー伝送距離:最大30m
  • バッテリー容量:690mAh
  • 本体サイズ:142×111×27mm
  • 重さ:99g(バッテリー含む)