LGエレクトロニクス・ジャパンが5月30日正午からMakuakeで先行販売する、ミニマルデザインの4Kレーザープロジェクター「LG CineBeam Q」。支援受付開始を前にメディア向け体験会が開催されたので、ひと足先に実機に触れた印象をお伝えします。
LG CineBeam Q(型番:HU710PB)は、“置き場所を選ばないミニマルデザイン”を特徴とする、CDケース十数枚を重ねたくらいのサイズ感のプロジェクター。本体サイズ/重さが107.8×135×136.5mm(幅×奥行き×高さ)/1.49kgと、大画面投写できる4Kレーザープロジェクターとしてはかなり軽量かつコンパクトに仕上がっています。
さらに、デザインのアクセントになっている360度回転アームは、持ち運び用のハンドルにも設置用のスタンドとしても使えるのがユニーク。CineBeam Qでは最大120型の4K映像を壁などに映せますが、回転アームの向きを変えれば天井に映すことも可能。メタリックな外装仕上げ(カラー名はシルバー)とあいまって、どんな置き方をしてもスタイリッシュでカッコいいです。
単体でNetflixやAmazon Prime Video、Disney+、YouTubeといったさまざまな動画配信サービスやWebブラウザを使えるよう、LG独自の「webOS」を搭載しているのも大きな特徴。無線LAN機能(IEEE 802.11ac/a/g/n準拠)とBluetooth機能を備えており、手持ちのスマートフォンやタブレットの映像をAirPlay 2やMiracastを使ってワイヤレス再生したり、別売のBluetoothスピーカーをつないで音声を流したりできます。もちろん、手持ちのメディアプレーヤーやPCなどを、プロジェクター背面のHDMI端子やUSB Type-C端子に有線接続して使うこともできます。
電源は付属のACアダプターのほか、USB Type-Cによる給電にも対応。USB PD(Power Delivery) 65W以上の出力に対応したモバイルバッテリーとつなげば、コンセントの位置にとらわれず自由に設置できます。
一般販売価格(予定)は16万9,800円ですが、Makuakeの先行販売では35%オフの10万9,800円で購入できる10台限定「最速割」プラン(本体保護プロテクター付き)をはじめ、複数の支援プランを用意します。4Kレーザープロジェクターで20万円を切るのは他社製品を見回しても選択肢がほとんどなく(流通在庫のLG製「HU710PW」で実売25.8万円)、片手で持ち運べるサイズ感ともなると「CineBeam Q」は唯一無二の存在ともいえそうです。
支援募集期間は6月29日までで、各プランの価格(送料込み)と用意する台数は以下の通り。
- 最速割 35%オフ:10万9,800円(10台限定、プロテクター付き)
- 超早割 32%オフ:11万4,900円(20台限定)
- 早割 29%オフ:11万9,800円(30台限定)
- Makuake早割 26%オフ:12万2,900円(70台限定)
- Makuake割 26%オフ:12万5,900円(110台限定)
- LG割 23%オフ:12万8,900円(110台限定)
Makuakeのプロジェクトページは5月27日2時ごろをメドにオープンする予定。なお一般販売のタイミングについては「時期未定」としていますが、早ければ今夏、遅くとも2024年中を想定しているもようです。
ここからは、もう少し細かくスペックを見ていきましょう。
CineBeam Qの映像素子はDLP方式で、画素ずらしによって4K解像度(3,840×2,160)を実現。光源には3チャンネルRGBレーザーを使い、DCI-P3 154%(全体)の色域と450,000:1というコントラスト比によって「鮮明なディテールとリアルな黒再現」を追求しています。
実機のデモ映像やwebOSの画面を短時間見た限りですが、人の顔を視認でき手元でメモが取れるような暗さでも見やすく、あざやかな色合いだと感じました。明るさは500ANSIルーメンで、けっして高輝度ではありませんが、照明を多少落とした程度の環境でも使える必要十分なスペックを確保。対応する画面サイズは50〜120型、投写可能範囲は133〜319cmで、6畳以上の空間で使うことを想定しているようです。
画質面では、映像の表現力を高めるHDR再生に対応しており、一般的なHDR10とテレビ放送向けのHLGのほか、HDRゲームの普及団体HGiGが定めた規格にも準拠します。映画などを制作者の意図通りの映像で視聴できる「FILMMAKER MODE」を備え、オートスタート機能も利用できる点はLGの現行テレビなどと共通の仕様です。
また、ネット動画などのフルHD映像を4Kアップコンバートする超解像技術「Super Resolution」や、フレームレートの低い映像に疑似フレームを挿入してなめらかに見せる「TruMotion」にも対応し、ストレスの少ない映像視聴を可能にします。
上位の小型プロジェクターでは一般的な、自動フォーカス調整と自動台形補正(4ポイント)にも対応。レンズ上部に装備したセンサーなどを使い、プロジェクター本体の角度や距離にあわせて、表示画面のカタチやピントを自動調整してくれます。手動でのエッジ調整(4/9/15ポイント)も行えるので、投写画面に凹凸があるシチュエーションで使いたい場合や、より精度にこだわりたい向きには重宝しそうです。
システムのバージョンは「webOS 6.0」。最新版のwebOSではありませんが、前出のNetflixやAmazon Prime Video、Disney+、YouTubeのほかにも、HuluやU-NEXT、Paravi、DAZN、Apple TVといった主要な映像配信サービスをサポートしています。ここにないサービスのコンテンツも、AirPlay 2やMiracastを使って手持ちのスマートフォンなどからシェアしたり、内蔵ブラウザを使ったりして楽しめるとのこと。ちなみに、音楽ストリーミングサービスではSpotifyが利用できます。
サウンド面でユニークなのが、Bluetoothスピーカーの2台同時接続に対応している点。別途対応するスピーカーを用意すれば、ワイヤレスでのステレオ再生が行えます。また、背面のHDMI端子はeARCをサポートしており、CineBeam Qで再生している音声を別売のサウンドバーやAVシステムなどから出力することもできます。単体では3W出力の内蔵モノラルスピーカーのみとやや物足りないので、Bluetoothスピーカーかサウンドバーと組み合わせるのが良さそうです。
なお、特にアピールはされていませんでしたが、LG製テレビなどでおなじみの「AIサウンド」機能を搭載しており、設定画面からオンにできました。独自のディープラーニングを活用し、見ているコンテンツのジャンルに合わせて最適なサウンドとバーチャル5.1.2chサウンドを実現する機能で、単体でもできる限り臨場感あるサウンド再生ができるよう設計したことがうかがえます。
背面には最大4K/60Hzの映像入力をサポートするHDMI端子(HDCP 2.2/CEC対応)と、USB Type-C端子を各1基装備。USBメモリーを直接挿して保存されているコンテンツを再生できるほか、DisplayPort Altモード対応機器とつないで、最大4K/30Hzまでの映像をUSB-C経由で入力することもできるそうです。なお、ゲーミングプロジェクターとしての活用は想定していないようで、HDMIの入力遅延の数値は非公表とのこと。
最後に、付属のリモコンも見ていきましょう。丸い十字キーの上にはNetflix、Disney+、Amazon Prime Videoの3つのダイレクトボタンを備え、webOSのホーム画面に戻ったり、入力を切り替えたり、各種設定を呼び出したりすることもできます。LGテレビのようなマジックリモコンではありませんが、サクサクとひと通りの操作をこなせました。
ホームエンタテイメント向けの小型レーザープロジェクターは、2024年に入って複数のメーカーから新製品が投入されており、選択肢がじわじわ増えてきた感があります。LG公式のプロモーションビデオのように、自宅で好きな動画を見たり、壁面やオートキャンプ中の車室をプロジェクションマッピングのように彩ったりと用途はいろいろ考えられますが、出張時にCineBeam Qを連れ出してみるのも意外とアリかもしれません。ホテルの壁を大画面代わりにして仕事をこなしつつ、リラックスタイムにはエンタメプレーヤーとして使う……という算段です。
小型4Kレーザープロジェクターとしてはある意味“破格”なLG CineBeam Qですが、そうは言ってもおいそれとは手を出しにくい価格帯なのが気になるところ。個人的には、その場では購入できないとしても、実機を試せる場やサービスが今後提供されれば、より多くの人が購入意思を高めるのにつながるのではないか……と感じました。