• プロジェクターのある年末、どうでしょう

コロナ禍により帰省もためらわれる年末の状況です。「今年の正月は自宅で大人しく過ごそうか」なんて人も多いのではないでしょうか。そうなると増えた在宅時間、少しでも充実させたいところ。

こんなタイミングで、筆者はLGエレクトロニクスのホームプロジェクター「LG CineBeam PH30N」(2020年5月発売)を試す機会がありました。実勢価格が(原稿執筆時点で)40,000円ほどの製品です。

  • LGエレクトロニクスの「LG CineBeam PH30N」。シュッとした見た目をしています

食パンサイズのホームプロジェクター

LG CineBeam PH30Nは手のひらに乗るホームプロジェクターです。大きさは129(W)×129(D)×39(H)mmと食パンサイズ、重さは約0.51kgと軽いことが特徴。スキ間や机の端っこなど、置く場所を選びません。

  • 本体カラーはホワイト。シンプルで上品な外観なので、部屋の家具とも調和しそう

背面のインターフェースにはHDMI端子、USB端子(USB 2.0)、3.5mmイヤホンジャックを搭載しています。ハイエンド機とは違い、ここは必要最小限の装備。自宅の利用環境に合うか確認が必要です。なおスマートフォンやPCとは「SCREEN SHARE」機能によりWi-Fi接続が可能で、外部スピーカーにはBluetoothで音声を飛ばせる仕様です(後述参照)。

  • 背面のインターフェースは必要最小限

画面サイズ / 投影距離は25インチなら83cm、100インチなら332cmとなっています。つまり壁から3mちょっと離せば、自宅の壁に100インチの大画面を映写できる計算です。ただパネル画素数は1,280×720ピクセル、最大輝度は250lmとエントリー級の製品なので、過度な期待は禁物です。

  • 付属のリモコンは単4形乾電池×2本で使用

底面には三脚ネジを備えているので、カメラの三脚を利用できます。またバッテリー駆動できるのもポイント。仕様上では最長2時間とやや短めですが、ちょっとした動画ならケーブルなしで好きな場所に設置して映像を楽しめそうです。

  • カメラの三脚に設置できます。光源はRGB LED、投影方式はDLP、消費電力は最大42W

解像感はなかなか、台形補正の効きもよい

実際に自宅で使用してみました。電源を起動すると、壁に投影されたのはLGの企業ロゴ。まずはレンズ上のフォーカスリングで焦点を合わせます。さて、本機にはプライベート旅行の動画(mp4)を入れたUSBメモリを挿していますが、うまく再生できるでしょうか。

  • 壁に映し出されたLGの企業ロゴ

リモコンを操作し、「メニュー」から「マイメディア」に進むと「動画ファイル」「音楽ファイル」「画像ファイル」の選択画面になりました。そこで動画ファイルを選択してUSBのアイコンを押すと、USBメモリに入れておいたmp4ファイルのタイトルが見つかりました。

  • メニュー画面

いざ再生してみると、なるほど、まずまずの解像感で映像が映し出されます。

  • 昼間にカーテンを締めて投影。まずまずの解像感です

壁まで距離がとれないシチュエーションでは、どうしても仰角が大きくなりがちですが、リモコンで台形補正すれば違和感なく視聴できます。

  • 下から見上げる角度で投影しても、台形補正により映像は綺麗な長方形に

スピーカーは1W(モノラル)で、音も鮮明です。大きな音量は出ませんが、自分で撮影した旅行動画を見るくらいなら充分といったところ。もっとも、大迫力のアクション映画を鑑賞するようなときは、Bluetoothで外部スピーカーと連携するといいでしょう。

  • 色鮮やかな映像だと、こんな映り方

  • マイメディアから「音楽ファイル」を再生したところ。小さいボディなのに、いい音が出ます(しかしプロジェクターで音楽ファイルを再生する場面って、あまりないような……)

  • 壁まで距離が取れなくても投影動画に見づらさはありません

100均の模造紙はスクリーン代わりになるのか?

白い壁紙の部屋なら、壁がそのままスクリーンに活用できそうですが、あいにく筆者の部屋はコンクリートの打ちっぱなし。あまりプロジェクター向きとは言えません。そこで100円ショップで模造紙を買ってきました。ピクチャーレールに吊るしてみようと思います。

  • 109×78.8cmサイズの白い模造紙4枚入り、100円(税別)です

すると、どうでしょう。やはり映像が綺麗になったように感じます。買ってきた模造紙はヨコ幅が109cmとのことで、めいっぱいに投影すると50インチ換算の大スクリーンになりました。なかなか迫力があります。

  • 100円の模造紙で50インチのスクリーンを実現。ちなみに50インチのテレビを買うとだいたい5~10万円ほどするでしょうか。なんだか得した気分です

持ち運びに便利なモバイル仕様とのことで、このあと部屋のあちこちに投影してみました。三脚をうまく使えば、天井にも映すことができそうです。

  • 壁の上部へ近くから撮影

  • 天井に映すとこんな感じ。少し輝度が足りないかも

夜になるのを待って、部屋を真っ暗にして投影してみました。映像がより鮮明になり、没入感が増した印象です。

  • 夜に投影すると、よりドラマティックな演出に(冒頭の写真がコチラです)。映像も明るく感じられ、より見やすくなりました。ちなみに机の上のPCモニターは22インチです

次に、PCとSCREEN SHAREで画面を共有してみました。SCREEN SHAREはデバイス同士をWi-Fiでつなげる機能で、Windows 10以降のMiracastをサポートするPC(およびAndroid 4.0以降の多くのスマホ)に対応しています。筆者の環境では、PCのディスプレイ設定にあるマルチディスプレイの項目で、「ワイヤレスディスプレイに接続する」を選ぶと無事に接続が完了しました。

  • PCの設定画面。なお「表示画面を拡張する」からセカンドスクリーンとしても利用可能です(あまり実用性はないかもしれませんが)

このSCREEN SHAREを使えば、PC画面も簡単に投影できます。仕事でプレゼンを行う際にも便利ですね。筆者はこれでNetflixを視聴してみました。どうせならと、LG CineBeam PH30Nを満充電した状態からバッテリー駆動で映画をスタート。すると、約1時間が経過したところで「充電してください」のアラートが画面に表示されました。

  • 同梱のACアダプター。本機は、最長で2時間のバッテリー駆動ができます。SCREEN SHAREでPCとワイヤレス接続しながら使うと約1時間のバッテリー持ちでした

  • SCREEN SHAREでPCとワイヤレス接続し、PC画面を複製表示しているところ

  • Netflixも表示してみます

  • Netflixのカテゴリ画面を投影するとこんな感じです

  • いままでピンと来なかった「プロジェクターで映画を見る」瞬間が目の前に

最後に、スマートホームとの連携も試してみました。すでに筆者の部屋はAmazonのEcho端末とスマートホームハブのNature Remoが連携している状態。そこでアレクサアプリで提携アクションを設定して、「アレクサ、プロジェクターつけて」と呼ぶと「はい、けんたろうさん」と返事があった後に「部屋の照明を消して」「プロジェクターの電源をつける」ところまで実現しました。しかし残念ながら、できる設定はここまで。声で動画の再生をスタートさせたかったのですが、Nature RemoからはLG CineBeam PH30Nの電源オン / オフしか操作できないようでした。

プロジェクターで映像の楽しみ方が広がる

実際にLG CineBeam PH30Nを使用してみると、映像の楽しみ方が広がったように感じました。これまで「プロジェクターを購入してホームシアターを構築する」なんて世界は、自分には無関係と思っていましたが、40,000円の製品でここまでできるとは。

コロナ後には、通勤バックで持ち運んで仕事に活用する、旅行バックに入れていき旅先で友人らに写真や動画を披露する、といった使い方もイメージできます。在宅時間の充実のため、ちょっとした贅沢をしたい、そんな人にオススメできる製品でした。

  • メーカー公式サイトによれば、長寿命のLEDGERランプ採用により3万時間(3.4年くらい)は持つ設計とのこと