米国発のオーディオブランドSonos(ソノス)は、初のパーソナルリスニング向けの製品としてワイヤレスヘッドホン「Sonos Ace」を発売します。家電量販店やオンラインショップで6月7日より先行予約受付を開始し、6月末に全国販売されます。カラーはブラックとソフトホワイトの2色をラインナップし、価格は74,800円。

  • Sonos Ace(左からブラック、ソフトホワイト)

サウンドバー連携で“自分だけのホームシアター”を実現

ワイヤレスホームシアターオーディオなどで知られるソノス初のワイヤレスヘッドホンだけに、Sonos Aceには映画やスポーツを迫力のサウンドで楽しめる機能が豊富に備わっています。同社のサウンドバー「Sonos Arc」(2020年発売/直販13万4,800円)と連携し、耳元のボタンを押すだけでサウンドバーからヘッドホンへ音を瞬時に切り替えることが可能。家族や周囲に気兼ねなく、パーソナルに迫力のシアターサウンドを楽しめます。

  • ヘッドホンの側面に各種ボタンを装備

  • 周囲に気兼ねなくシアターサウンドを楽しめる

また、Dolby Atmos対応の空間オーディオサウンドに対応し、包み込まれるようなサラウンド感のあるサウンドを再生。頭の位置や向きを検知する「ダイナミックヘッドトラッキング機能」により、体勢を変えると音の聴こえ方も変わり、まるで映画のシーンに入り込んだような没入感が楽しめます。

  • 発表会でプレゼンテーションを行った、プロダクト・マーケティング・マネージャー主任のDane Estes氏

さらに、2024年後半に予定しているアップデートにより、空間をマッピングして室内の音響環境を測定し、ヘッドホンを装着していないかのように自然な聴こえ方を実現する新機能「TrueCinema」に対応予定とのこと。

同社の特任プロダクト・マネージャーを務めるScott Fink氏は、「Sonos Aceは、家族や時間帯を気にせず映像に没入できるパーソナルなリスニング体験を提供する製品。リビングで7.1.4chの3Dオーディオに囲まれているようなサウンドを目指し開発された。今後追加されるTrueCinema機能は、ホームオーディオから音を出しSonos Aceのマイクで測定することで、その室内の音響環境を分析し再生音に反映させるというもの。ヘッドホンはどうしても頭の中で音が鳴っているように聴こえてしまう(頭内定位)が、TrueCinema機能を使えばヘッドホンをつけていることを忘れてしまうほど自然な広がりのある音を楽しめる」と説明しています。

  • 特任プロダクト・マネージャーを務めるScott Fink氏

なお、サウンドバー連携機能の対応機種は、当初は「Sonos Arc」のみとなりますが、今後のアップデートにより「Sonos Beam」(2021年発売/直販64,800円)や「Sonos Ray」(2022年発売/同39,800円)といった機種にも順次対応していく予定とのこと。

屋外やオンライン会議などで便利に使える機能も

ヘッドホン本体には合計8つのマイクを備えており、そのうち6つを使って周囲の音を測定し周囲の音を消音するノイズキャンセリング(NC)機能を搭載。ワンタッチでNC機能を解除し、周囲の音が聴ける「アウェアモード」も搭載しています。

残りの2つのマイクは通話用で、ハンズフリー通話やビデオ通話が可能。NC機能やアウェアモードと組み合わせることで、オンライン会議に集中したいとき、周囲にも気を配りながら通話したいときなどさまざまなシチュエーションに対応します。

  • 屋外でのオンライン会議などにも便利

このほか、ロスレス再生にも対応しており、aptX Lossless対応の再生機器と組み合わせることでワイヤレスでのロスレス再生が可能。また同梱のUSB Type-C to CケーブルおよびUSB Type-C to 3.5mmステレオミニケーブルを使った有線接続でのロスレス再生も可能です。

ワイヤレス使用時のバッテリー持続時間は最長約30時間。3分の充電で約3時間使用できる急速充電にも対応しています。

こだわり尽くしの製品デザインにも注目

Sonos Aceはソノスらしいシンプルながら曲線を生かした美しいデザインにも目を惹かれますが、そのデザインには並々ならぬこだわりがあるそう。

  • 曲線を生かした美しいデザイン

Sonos Aceのデザインを担当したシニア・インダストリアル・デザイナーのSam Prentice氏は、「ソノスとして初めてのウェアラブルな製品で、開発には3年かかった。ソノスを身につけるということはどういうことか、ということから考え、『1日中装着しても疲れない軽さや快適さ』『時代を超えて好まれるシンプルで洗練されたデザイン』『ブランドを主張しすぎない控えめなラグジュアリー感』を追求した」と説明。汗や化粧が付着しても拭き取りやすい素材にしたり、髪の毛やネックレスなどが絡まりにくいようヒンジを内部に入れたり、ひと目で左右がわかるようにヘッドホンの内側の色を変えたりと、ユーザーが快適に使えるよう細部までこだわり抜いたデザインに仕上がっていると自信を見せていました。

また、サステナビリティにもこだわっており、イヤークッションは簡単に外せて交換できるようにしたほか、ヘッドホン本体に17%の再生プラスチック、キャリングケースに75%の再生フェルト、パッケージや梱包材には100%再生紙を採用するなど、エコやSDGsも意識した設計になっています。

  • イヤークッションは簡単に取り外せて交換も可能

  • 再生素材を使ったキャリングケースが同梱される

デザインについて語るパネルセッションには、ゲストとしてモデル・アーティストの佐藤晴美さんが参加し、佐藤さんのデザインに対するこだわりや一足早くSonos Aceを使った感想などを語ってくれました。

  • モデル・アーティストの佐藤晴美さん(左)と、製品デザインを担当したSam Prentice氏(右)

発表会でのミニインプレッション

発表会では発売前のSonos Aceを少しだけ試聴する機会がありましたので、そのインプレッションをお届けします。最初に聴いたのは男性ボーカルのポップス曲ですが、まず感じたのは「空間が広く立体的なサウンド」であること。Sonos Aceは密閉型ですが、開放型ヘッドホンのような広がりのある音が印象的でした。さらに、ひとつひとつの音の分離もよく全体的にクリアな印象で、密閉型らしい骨太な重低音も楽しめます。

続いてオーディオブックを聴いてみると、登場人物のセリフが効果音やBGMに埋もれずしっかり聴きとることができ、人の声にフォーカスしたチューニングになっていることがわかります。音楽だけでなく、映画やドラマなどを見る際に使われることを想定した音作りなのでしょう。ネット動画のお供にするのもよさそうです。

最後に映画のワンシーンを視聴させてもらうと、セリフが聴き取りやすいのはもちろん、爆発音や効果音なども迫力のある重低音で楽しめ、やはり映画を見るときに使いたいヘッドホンだと感じました。途中、アプリから「空間オーディオ機能」をオンにすると、前方から聴こえていた音が自分の周囲から聴こえるように変わり、より没入感のあるサウンドに変化しました。違いがわかりやすいので、今後試聴する機会があればぜひ試してみてほしいですね。残念ながら独自機能のTrueCinemaはまだ試すことができませんでしたが、こちらも今年の後半には実装される予定とのことで期待が高まります。

NC機能を備えたハイエンド価格帯のワイヤレスヘッドホンはさまざまなメーカーから出ていますが、ソノスらしい機能とデザインで個性を感じられるSonos Aceは、2024年の注目アイテムのひとつになりそうです。