加熱式たばこ「IQOS(アイコス)」の日本登場から10年。記念となる2024年に新製品の「IQOS イルマ i シリーズ」が発表されました。それに合わせた発表会には、フィリップ モリス インターナショナル(PMI)のCEOであるヤツェック・オルザック氏も来日してスピーチ。同時にCCO(チーフ・コンシューマー・オフィサー)のステファノ・ヴォルペティ氏も来日しており、お話をうかがいました。

  • IQOSデバイスの新モデル「IQOS イルマ i シリーズ」

IQOS イルマ i シリーズは日常に溶け込むデバイス

ヴォルペティ氏は日本市場について「極めて重要」と強調。その中で最も重要なのは「消費者の要求水準が高い」という点で、日本の消費者に納得されるような製品を提供できれば、「必ず世界でも勝てるということを意味する」とヴォルペティ氏は断言します。世界的に成功を収めるための市場として日本を位置づけ、IQOS新製品の日本先行発売にもつながりました。

すでに日本市場で一定の成功を収めている点も、日本市場の重要性としてとらえられています。「日本では我が社の純売上の75%がこの加熱式たばこの売上となっています」とヴォルペティ氏。

  • フィリップ モリス インターナショナル CCO(チーフ・コンシューマー・オフィサー) ステファノ・ヴォルペティ氏

ビジネスだけでなく、カルチャーの面でも重要とヴォルペティ氏は指摘します。PMIは加熱式たばこカテゴリーでは先導的なポジションにあり、「パイオニアとして継続的にイノベーションを続けていかなければならない」(ヴォルペティ氏)という立場。その中で日本は加熱式たばこで先進的な市場となっており、成功するためのチャレンジができるという、企業風土の面でも重要な市場だというのです。

ちなみに2024年1月には、東京都における加熱式たばこの販売本数がたばこ販売量全体の50%を超えたそうで、「これは世界においても初めて達成した記録」(ヴォルペティ氏)とのこと。チャレンジが成功している証しだとしています。

  • 左から、「IQOS イルマ i プライム」、「IQOS イルマ i」、「IQOS イルマ i ワン」。カラーはブリーズブルー

  • 自分の好きなようにカスタマイズできるアクセサリーも豊富

そんな背景にあって新製品のIQOS イルマ i シリーズ。まだ紙巻きたばこを利用しているユーザーに対して、加熱式たばこへの移行を進めるために大切なことは、「紙巻きたばこユーザーの日常生活にうまく溶け込めること」(ヴォルペティ氏)といいます。

ヴォルペティ氏は、フレックスパフ機能(※)やフレックスバッテリー機能(※)によって「パーソナライズ可能な製品」であり、個人の好みに合わせた形で日常生活にうまく溶け込める――とアピールします。具体的には、紙巻きたばこだと吸い方によって1本あたり吸う回数は変わりますが、フレックスパフであればそれと同様に自分のペースで吸えます。

新機能のポーズモードは、紙巻きたばこや高温加熱式たばこでは難しかった、喫煙を中断して再開できる機能。たばこスティックがムダにならずに日常生活にうまく溶け込める機能だとヴォルペティ氏は話します。

※「フレックスパフ」はパフ(吸い回数)を最大4回まで追加する機能。「フレックスバッテリー」は、たばこスティックを挿すホルダーのバッテリー設定を専用アプリから変更する機能(連続使用回数など)。

当局とも協力して世界でIQOS拡大

PMIは、紙巻きたばこに比べれば加熱式たばこのほうが人体や公衆衛生に対して害が少ないという立場です。「非喫煙者は吸い始めない。喫煙者は禁煙する。それが最善」としつつ、その上で「禁煙しないのであれば加熱式たばこなど煙の出ない製品に切り替えるべき」という考え方です。

日本では、2018年から2022年にかけて紙巻きたばこの販売数量が25%減少したとされており、加熱式たばこへの移行が進みました。これをさらに推進し、各国の当局とも一緒になって切り替えを進めていきたい――というのがPMIのスタンスです。

その意味では昨今、特に東南アジアで煙の出ない製品に対する規制が行われている現状があります。ヴォルペティ氏は詳細には語らなかったものの、「すでに煙の出ない製品は世界の80カ国以上で展開されており、各国の当局と手を携えているところ」と説明してくれました。

「ミッションとして、紙巻きたばこの販売を終焉させることがあり、そのために複数の煙の出ない製品のポートフォリオを展開している」(ヴォルペティ氏)

PMIは現在、加熱式たばこ、電子たばこ、経口ニコチンパウチという3種類を展開中です。こうしたポートフォリオを組み合わせて成人喫煙者の「煙の出ない製品」への移行を促しつつ、安全性などの知見を蓄積することによって、各国の当局と協力していく考えです。

中でも「いま一番大きなポテンシャルを持っているのは加熱式たばこのIQOS」(ヴォルペティ氏)と強調します。紙巻きたばこからの移行で最も実績があり、2,800万ユーザーのうち2,000万人以上が紙巻きたばこから完全に移行したというデータもあり、コンバージョンレートが70%を超えるという「信じられないくらい高い比率」(ヴォルペティ氏)とします。

ちなみに、IQOSなどの煙の出ない製品は日本以外でも欧州などで増えており、「売上比率が50%以上という国は世界で25カ国、その大半が欧州」(ヴォルペティ氏)とのこと。その中でも1位のブランドがIQOSだといいます。筆者は年に数回は海外取材もしていて、欧州では街なかで紙巻きたばこを吸う人をよく見かけます。あまりIQOSユーザーは多くない印象でしたが、着実にユーザー数は多くなっているようです。

いずれにしても、3つのポートフォリオは「まさにPMIの強み」とヴォルペティ氏。IQOSを主軸としつつも各国の事情に合わせて製品を展開し、紙巻きたばこから煙の出ない製品への移行を進めていくことで、2030年に総売上高の3分の2を煙の出ない製品に置き換えることを目指すとしています。