大容量のドラム式洗濯乾燥機を導入したいけれど「大きすぎて置けない」という家庭は多いでしょう。そんな家庭をターゲットにした製品が、乾燥機能を省くことでコンパクトになったハイアールの12kgドラム式洗濯機「AITO(JW-TD120SA)」です。

ハイアールはこの12kg容量のAITOとともに、同じ系統のデザインを採用した容量9kgのヒートポンプ式乾燥機「FUWATO(JZ-K90A)」も発表。いずれも価格はオープンで、推定市場価格はAITOが128,000円、FUWATOが138,000円前後。発売日は両モデルとも4月下旬です。

  • 新製品のAITO JW-TD120SA(写真左)とFUWATO JZ-K90A(写真右)。プレス向け新製品発表会のゲストは、お笑いタレントの品川庄司さんとタレントの藤本美貴さん夫婦

海外ではメジャーな「単機能」のドラム式衣類ケア家電

日本ではドラム式洗濯機が乾燥機能を搭載していることが一般的ですが、海外ではドラム式でも洗濯機と乾燥機が独立している製品のほうが多いんです。

今回の新製品も、海外では当たり前の「洗濯機能だけのドラム式洗濯機」と「ヒートポンプ式乾燥機」という2モデルです。ハイアールは2022年に容量9kgの乾燥機能なしドラム式洗濯機「AITO(JZ-K90A)」を発売済みで、今回の新製品2機種はデザインをそろえた同じシリーズとなります。

  • 写真は発売中の9kg容量ドラム式洗濯機AITO(JZ-K90A)と、新しいヒートポンプ式乾燥機FUWATO(JZ-K90A)。横並びにしても違和感のないデザイン

新型のAITO JW-TD120SAは、洗濯容量が9kgから12kgへと大容量化。ただし本体は、容量9kgのJZ-K90Aが高さ86cmだったのに対し、新モデルは高さ94cmと高くなりました。新しい乾燥機と並べて設置したとき、高さに左右差が出てしまう点が残念。とはいえ「我が家は大量に洗濯物が出る!」という家庭には、洗濯容量が12kgという大容量モデルが選べるようになったのはうれしいところ。

  • 新製品のAITO JW-TD120SA(写真左)とFUWATO JZ-K90A(写真右)を並べて。9kgモデルと違って左右の高さの違いが気になります。本体サイズは新AITOが幅59.5×奥行き70×高さ94cm、新FUWATOが幅59.5×奥行き67.3×高さ84.5cmです

  • 新AITOは容量以外にも、60℃のお湯で洗濯する「除菌」コースを新たに搭載。従来のAITOもお湯で洗う機能はありますが、湯温は最大50℃でした。20℃~50℃は温度を自分で選択、60℃洗いをしたい場合は「除菌」コースを選びます

冒頭、海外では乾燥機能のないドラム式洗濯機が多いと書きましたが、そのメリットは複数あります。たとえば、ドラム式洗濯機は節水性が高く、揉み洗いに加えて「たたき洗い」もできます。一方で縦型の洗濯機より本体サイズが大きいため、スペースの問題で設置できない家庭も。

単機能のドラム式洗濯機は、乾燥機能を省くことでドラム式のメリットを生かしつつ、本体サイズを比較的コンパクトにできます。さらに「ドラム式洗濯機で洗濯するけれど、普段は天日干し」や「浴室乾燥機を使う」という家庭にとって、洗濯乾燥機よりも求めやすい価格で購入できる点も魅力です。

  • 本体の天井部に液体洗剤・柔軟剤用のタンク(自動投入機能用)を配置するドラム式洗濯機が多いなか、AITOはタンクが引き出し式。洗濯機の上に洗濯カゴなどの物を置ける点も、筆者が気に入ったところです

  • 「念入り」「ドライ」のように動作を洗濯コースに任せることもできますが、AITOは洗濯・脱水時のドラム回転数まで自分で選べます。優しく洗いたい衣類は低回転洗濯、早く乾燥させたい場合は高回転脱水といったように、洗濯にこだわりたいときに使い分けられます

  • 乾燥機能がないので、メンテナンスするのは基本的に糸くずフィルターだけ

設置の自由度が高いヒートポンプ式衣類ケア乾燥機

もうひとつの新製品は、ヒートポンプ式の衣類ケア乾燥機「FUWATO(JZ-K90A)」です。現在、国内の洗濯機でトップシェアなのは乾燥機能を持たない縦型の全自動洗濯機ということで、「乾燥機がほしい」というニーズにぴったり。

FUWATOの大きな特徴はヒートポンプ式を採用しているところ。ヒートポンプ式の乾燥は「大気中など周りから熱を集めて加熱する」という仕組みなので、ヒーター式乾燥と比べて電気代が格段に安いんです。しかも、ヒーター式よりも低温で乾燥するため、布傷みが少ないというメリットもあります。

  • ドラム式洗濯機みたいな見た目の衣類乾燥機、FUWATO

  • 日本で主流のドラム式洗濯乾燥機の場合、大容量タイプでも乾燥容量は6~7kgほど。FUWATOは「乾燥専用機」にすることで、9kgの衣類を一度に乾燥できます。写真は、FUWATOで一度に乾燥できる約9kgの衣類

  • 乾燥フィルターは衣類投入口の前方下部にあります。フィルターは2重になっており、最近のドラム式の乾燥フィルターにしてはメンテナンスが少し複雑そう

FUWATOは洗濯した衣類を乾燥させるほかにも、「衣類ケア」機能を搭載しているのもポイントです。たとえば、超音波ミストで乾いた衣類などに水分を浸透させ、「シワのばし」や「ふんわり仕上げ」「消臭」といったケアができます。

  • 会場に展示されていたタオル。左が天日干し、右がFUWATOで乾燥させたもの。乾燥機を使うことで、干すよりも柔らかくふっくらフワフワに仕上がります

  • 化繊のシャツならアイロンなしでもここまでシワが伸びます

  • ぬいぐるみや靴など、型崩れが心配なものを回転させずに乾燥。アタッチメントを使った「棚乾燥」コースもあります

ぜひ注目してほしいのは、FUWATOが「設置場所を選ばない」ということ。通常、乾燥機(ドラム式洗濯乾燥機も含めて)は、衣類の乾燥によって出た水分を捨てるために、本体を排水口に接続する必要があります。FUWATOは内蔵タンクにも水をためられるため、電源さえあればウォーキングクローゼットや玄関といった排水設備のない部屋にも設置できます。タンク容量はだいたい乾燥1回分です(乾燥させる衣類や量によって変わります)。FUWATOには寒い冬にコートやダウンを温める「あたため」コースもあるので、玄関先に設置するのも面白いかもしれません。

  • 本体左上の引き出し部分が排水タンク。タンクにたまった水を捨てるという作業が発生しますが、排水口がない場所にも置けます

AITOとFUWATOは、ドラム式洗濯乾燥機が一般的な日本において「単機能型のドラム式洗濯機・乾燥機」という珍しい製品。洗濯機と乾燥機が分かれていることで「洗濯終了後に衣類を洗濯機から乾燥機に移動させる」という手間は増えますが、そのぶん乾燥機のFUWATOは一体型にはないレベルの大容量です。

洗濯機と乾燥機を分けることで、1回目の洗濯物を乾燥機に入れて、すぐに次の洗濯を始めるといった使い方も可能。「一日に何度も洗濯機を稼働させることがある」という大家族や洗濯物が多い家庭では、むしろ一体型の洗濯乾燥機よりも便利に使えるかもしれませんね。