家電量販店チェーンのエディオングループが手掛けるプライベートブランド「e angle」。昨年暮れ、そのラインアップに食器洗い乾燥機「ANG-DW-A13」が加わった。消費者のニーズを汲んだユニークな発想の製品が揃う同ブランドだけあって、これまでの食洗機にはない「洗剤自動投入機能」を搭載しているのが大きな特徴。発売後大きな反響を呼んで売れ行きも急伸中だという。

その開発の経緯や発売後の動向を説明するメディア向けの紹介イベントが、去る3月6日、エディオン最大級の店舗「エディオン横浜西口本店」にて開催された。ここではその模様を紹介しよう。

  • 洗剤自動投入機能を搭載した食器洗い乾燥機「ANG-DW-A13」

元販売員ならではの視点で開発された食器洗い乾燥機

エディオンの「e angle」は、同社が「くらしを、新しい角度から。」をコンセプトに企画・開発しているプライベートブランド。2018年の誕生以降、これまでに冷蔵庫や洗濯機、電子レンジ、除湿機、イヤホンなど家電製品を中心とした17アイテムを発売している。

  • エディオンのプライベートブランド「e angle」の製品。冷蔵庫や洗濯機、電子レンジ、イヤホンなどの製品が発売されている

昨年12月に同ブランドから発売された食器洗い乾燥機「ANG-DW-A13」は、据え置きタイプでは国内初の洗剤自動投入機能を搭載しているのが特徴だ。

商品の企画・開発を担当したのは、営業本部 商品企画統括部 商品開発部チーフの木村健吾さん。エディオンのさまざまな店舗で積んできた販売員としての経験を生かしたいという想いから、自ら志願して「e angle」の立ち上げ後に現在の部署に異動し、商品の企画・開発に携わっているという。

  • 食洗機の企画・開発を担当した営業本部 商品企画統括部 商品開発部チーフの木村健吾さん

今回、食洗機を商品化しようと思い立った背景として、木村さんは「年々、共働き世帯が増加しており、現在は全世帯の7割を占める。それに伴い家事の“時短”や“効率化”のニーズも高まる一途。そこで“嫌いな家事”アンケートで上位にランクインする“食器の洗い物”に目をつけた」と説明。

さらに「これまでだと洗濯物や掃除が“嫌いな家事”上位の常連だったが、近年は自動化が進んだことによりランクが下がってきている。そうした中でも上位に留まっているのが“食器の洗い物”。食洗機の普及率が10年以上ほぼ横ばいで、自動化が進んでいないのが一因」と分析した。

こだわりは「洗剤自動投入機能」。ニーズは高いと実感

普及が進まない主な原因として、木村さんは「現在の据え置きタイプの食洗機には洗濯機のような洗剤自動投入機能がないため毎回計量して投入する必要があること、設置の際に分岐水栓の取り付け工事が必要で賃貸住宅だとハードルが高いことが挙げられる」と指摘。そこで「ANG-DW-A13」には、これらの問題を解決する機能を搭載することに決めて開発に取り組んできたという。

なかでもこだわったのが「洗剤自動投入機能」。洗濯機の場合はすでに2017年に洗剤自動投入機能付きモデルが登場しており、エディオンでは5年で販売台数の3割を占めるまでにシェアが伸長した。お客さんからも「一度(自動投入機能付き洗濯機を)使ったらやめられない」と評判で、食洗機も同機能のニーズは高いと実感したことが開発の後押しになった。

そこで1年近くの歳月をかけて試行錯誤を繰り返し、同機能を搭載する場所やタンクの容量、洗剤がタンクの底に残らない仕組みなどを考えていったそうだ。

  • 食洗機の洗剤自動投入機能。本体前面下部にタンクを格納する仕組み

  • タンクは底面が緩い勾配になっており、中に入れた洗剤が残らない仕組みになっている

  • 当初は扉の内側に写真のような洗剤自動投入機能を搭載する方向で開発が進んでいたが、食器を収納できる量が減ってしまうことや扉の重さが増えてしまうことが理由で断念したという

もうひとつの「設置方式」に関しては、従来からの「分岐水栓式」に加え、バケツと給水ホースによる工事不要の「自動給水式」にも対応。原状回復の必要がある賃貸住宅でも工事なしで設置できるようにした。ちなみに専用バケツはコンパクトに折りたたむことも可能で、未使用時にジャマになりにくい配慮がされている。

  • 「ANG-DW-A13」の操作パネル

  • バケツと給水ホースによる工事不要の「自動給水式」にも対応

  • 専用バケツはコンパクトに折りたたむことが可能

同製品は、このほかにも最高75度の高温と高水圧で360度あらゆる方向から徹底的に洗い上げる「トルネード除菌洗浄」を搭載。ステンレス製の庫内には食器を約40点収納可能で、4人家族でも安心して使用できる大容量を実現しているなどの特徴を持つ。

チャイルドロックや予約機能などのあんしん・快適便利機能も充実。基本的に食器を入れてスタートボタンを押すだけで洗浄できるが、フライパンや鍋などに適した「調理器具洗浄」や、耐熱温度の低いプラスチック製食器に適した「ソフト」など、洗浄コースも充実している。

  • ステンレス製の庫内には食器を約40点収納可能

昨年(2023年)12月の発売後の反響は大きく販売台数も急伸中。購入動機は「洗剤自動投入」が39%、「選べる設置方式」が34%とツートップで、とくに20~30代のタイパ(タイムパフォーマンス)重視世代や賃貸居住者に好評とのこと。新生活シーズンを迎え、販売拡大にさらなる拍車がかかりそうだ。

1日中楽しめる「エディオン横浜西口本店」をじっくり見学!

今回のメディア向けの紹介イベントが開催された「エディオン横浜西口本店」は、「ワクワクを、買いに行こう。 -買い物ゴコロを刺激する、家電と遊びの新体験!- 」をコンセプトに昨年(2023年)12月15日にオープンしたばかり。

横浜駅西口の南幸地区に位置し、複合商業施設「CeeU Yokohama」の2~3階の一部フロアと、4~7階の全フロアを使用したエディオン最大級の店舗となっている。今回のイベントでは、その視察ツアーも行われた。

店内のうち、2階はエディオンの玄関口となる「モバイルフロア」で、スマートフォンやそのアクセサリーなどのモバイル機器を取り扱う。ゲオとの提携による中古スマホの買取・販売コーナーや、巨大ガチャ「モンスターガチャ」なども設置されている。

  • 巨大ガチャ「モンスターガチャ」。取材時は3階にも設置されていた。抽選会などで使用されているとのこと

3階は理美容がメインの「ヘルス&ビューティーのフロア」。エディオン初のフェムテックコーナーも設置されており、落ち着いたピンクを基調とした優しい雰囲気の空間で女性の健康の課題や悩みを気軽に相談することができる。

まだ馴染みの薄いフェムテックに関して発信をしていくため定期的にイベントも行われているとのこと。ルームバイクやマッサージチェアなどが置かれたトレーニングコーナーがあるのもこのフロアだ。

  • 3階のフェムテックコーナー

  • リラックスタイムに役立ちそうなアイテムが紹介されている

4階は生活家電やリフォームの「ライフスタイルのフロア」。ショールーム型のリフォームコーナーや、ニトリとのコラボでトータルコーディネートを提供するコーナー、便利なオモシロ家電が揃うサンコーレアモノショップなどがあり、家電好きにはたまらないスペースになっている。前述の食洗機が販売されているのもこのフロアだ。

5階はテレビやパソコン、オーディオ、ウォッチなどの「デジタルライフのフロア」。完全ワイヤレスイヤホンコーナーでは、各社の商品を自由に試聴することも可能。こちらにもニトリとのコラボで利用シーンを提案するコーナーが用意されている。

  • 5階の自由にセルフ試聴できる完全ワイヤレスイヤホンコーナー

6階はゲームやトレカなどの「アミューズメントのフロア」。巨大なLEDウォールが設置されており、新作ゲームや製品の案内、各種告知などに利用されている。

合計8台のゲーミングスペースが用意され、エディオンの他店と連動したネット対戦イベントなどにも活用されているゲーム対戦場「オクタゴン」や、地域最大級の品揃えを誇るトレカ買取販売店と130席のデュアルスペースがある「トレカキャピタル」など、ゲーム好きなら1日いても飽きない空間になっている。

  • 6階の巨大LEDウォール

  • ゲームコーナーのゲートも巨大なディスプレイになっている

  • 6階のトレカキャピタル。豊富な品揃えが特徴

  • 6階のゲーム対戦場「オクタゴン」

7階は、おもちゃやホビーの「玩具・プラモデル・フィギュアのフロア」。商品の販売だけでなく、プラモの本格的な塗装にチャレンジできるビルドスペースも用意。工具や塗料は貸し出しが行われているので、平日でも仕事の帰りなどに立ち寄ってプラモ作りを楽しむことが可能だ。

さらにフロアにはミニ四駆サーキットも設置。3レーンに加え、家電量販店初の5レーンのコースもあり、実際にミニ四駆を持ち込んで走行させることもできる。

  • 7階のビルドスペース。工具や塗料を借りて気軽にプラモ作りにチャレンジできる

  • 7階に設置されている3レーンの本格的なミニ四駆サーキット

  • 7階には、家電量販店初の5レーンのミニ四駆サーキットも用意されている

どのフロアも品揃えが充実しているだけでなく、体験型の設備が用意されていて1日中楽しめるつくりになっているのが印象的。ひとりでも家族連れでも充実した時間を過ごせると思うので、一度足を運んでみてはいかがだろうか。