Microsoftはエクスプローラーと並行して、OneDrive for Businessの強化に取り組んでいる。OneDrive for Businessは法人向けMicrosoft 365のサービスだが、のちに一般ユーザー向けのOneDriveにも同種の機能を展開する可能性が高いため、今回紹介することにした。公式ブログによれば、Web上のOneDrive for Businessで「Open in app(アプリで開く)」をサポートする。

  • コンテキストメニューに加わった「アプリで開く」

簡単にいうと、エクスプローラーの「プログラムから開く」をWeb UIで実現するというもの。取り組み自体は目新しいものではない。Microsoft 365 Roadmapを見ると2023年6月から機能改善リストに加わっており、2023年12月にロールアウトする予定だった(ID 124813)。エクスプローラーの同機能はWindowsにインストールしたアプリをレジストリで管理し、メニューから参照する仕組みだが、Web UI版も同様にデスクトップアプリを参照可能にするという。筆者のMicrosoft 365テナントでも動作を確認した。

  • 既定のアプリ選択UI

以前から、Microsoft Word/Excel/PowerPointのファイルは各Web版で開いて編集可能だったが、PDFなど一部のファイル形式はプレビューモードで閲覧するにとどまっていた。新しいWeb UIは柔軟性が高く、ローカル環境に関連付けする複数のアプリが存在する場合は、上図のようなアプリ選択メニューを表示し、必要に応じて選べる。もちろん、ファイルを開いて内容を編集した結果はm\、クラウドストレージに反映させる仕組みだ。

ただしローカル環境とは異なり、編集時にセキュリティプロンプトが現れるのは煩雑に感じるかもしれない。この機能は利用者からの強固な反対がなければ、一般ユーザー向けのOneDriveにも展開されるだろう。将来的には、開発者がこの機能を呼び出すAPIを追加する予定となっている。

  • ファイルオープン時の警告ダイアログ

Office Live Workspace → SkyDrive Pro → OneDrive for Businessと名を変えながら現在に至るMicrosoftの法人向けオンラインストレージ、当初から共有機能を中心に機能強化を図ってきた。有償とはいえ、TB級のクラウドストレージを得られる存在感は大きい。

いまやローカルストレージにファイルを保存するのではなく、クラウドストレージで管理する時代なのだろう。筆者も仕事関連のファイルはOneDrive for Business上に配置しているが、格納したファイルをAIが誤判断して削除するニュースも散見されることから、万全の信頼を置くことにはためらいもある。

つまるところクラウドストレージとNASを併用し、共同編集を終えたファイルやプライベートの重要なファイルはNASのファイルサーバーに格納することが1つの最適解なのだろう。これならノートPCや2in1 PCのユーザーでも、突然のトラブルやデバイス移行時の負担も大きく軽減する。NASにかかるコスト増と保守負担が発生するため、完全にプライベートでPCを利用するユーザーには少々おすすめしにくいが、スマートフォンやタブレットのバックアップ先として併用するなら有用だ。今はまだ、クラウドストレージの利点とリスクを意識しながら利用する時期だと思う。