高機能トースターの元祖ともいえるバルミューダの「BALMUDA The Toaster」には、通常モデルとプロシリーズの2ラインがあります。後者のプロシリーズ「BALMUDA The Toaster Pro」(K11A-SEシリーズ)は、11月16日からリニューアルされました。

新モデルではパンのリベイクがより美味しくなり、庫内サイズと焼き網サイズも大きくなっています。今回のリニューアルにあわせてバルミューダは、BALMUDA The Toaster Proだけの機能「サラマンダー」を使ったプレス向け試食会を開催。プロシリーズならではの料理を披露しました。スタンダードモデルとプロシリーズ、どちらにするか迷っている人の参考になれば幸いです。

  • 新型のBALMUDA The Toaster Pro。スタンダードなブラック(写真右)のほか、リニューアルにあわせて新色のホワイト(写真中央)、ハンドル部がシルバーのブラッククローム(写真左)が追加されました。ブラッククロームのみ限定カラーで2023年12月発売予定。推定市場価格はいずれも37,400円です

  • 京都の長屋で行われたBALMUDA The Toasterプロシリーズの試食会。京都はパンの消費量が日本一という街です。写真は調理家電の開発に欠かせないバルミューダのシェフ、岡嶋伸忠氏

スタンダードモデルの「BALMUDA The Toaster」は10月にリニューアル済み!

BALMUDA The Toasterシリーズは発売以来、「普通のトースターで焼くよりパンが美味しい」と評価の高い製品。引っ越し祝いなどの贈り物に選ばれることも多いそうです。

パンを美味しく焼ける理由は大きく2つ。ひとつは独自のスチームテクノロジーです。BALMUDA The Toasterはパンを焼くときに「5cc水を補給する」という一手間を必要としますが、庫内に水蒸気を充満させてパンの水分と香りを閉じ込め、表面はサクっと中はモチモチに仕上げます。

  • リニューアルした新型のBALMUDA The Toaster Pro。本体サイズは幅357×奥行き321×高さ209mmと、従来モデルと同じ

  • Proシリーズも、もちろんスチームテクノロジーに対応。扉を開くと本体上部に水の投入口があります

もうひとつの理由は、パンにあわせて上下のヒーターを別々にコントロールする1秒単位の温度制御。BALMUDA The Toasterはスチームテクノロジーが注目されがちですが、美味しさの大部分を担っているのはこの温度制御なのです。

ところで、プロシリーズのリニューアルに先駆けて、スタンダードモデルのBALMUDA The Toasterも10月にリニューアルしています(K11Aシリーズ)。このK11Aシリーズと、新BALMUDA The Toaster Proのリニューアル点は同じです。

まずは温度制御を見直し、従来モデルよりも「外カリ・中モチ」な食感をより強く引き出すようになりました。加えて庫内サイズが広くなり、両シリーズともに従来モデルと比べて庫内と焼き網の奥行きを2cm拡張。奥行きが増したことで、市販の直径19cmピザをそのままリベイクできるようになりました。

  • 本体サイズは同じまま、庫内サイズの奥行きが広くなりました

焼き網の形状も変わっています。従来は真っ直ぐなストレート形状の焼き網でしたが、新シリーズは波形に。従来モデルで食パンを焼くと裏側の焼き目が薄い印象がありましたが、網を波状にすることで熱が効率的にパン裏側に届くようになったとのこと。

新型で焼いたトーストを試食してみると、温度制御の変更のおかげか、表面はサクッと軽い食感で、中のモチモチフワフワ感がアップ。裏面の焼き色が強くなったこともあり、従来モデルで焼いたトーストよりも香ばしさを強く感じました。

  • 新型BALMUDA The Toaster Proの食パンモードで3分間トーストした食パン。従来は裏面の焼き色が薄く仕上がることが多かったのですが、裏面(写真下)にもほどよい焼き色が付いています

新型に触れてみてちょっと気になったのは、焼き網のセット方法です。従来モデルは焼き網を庫内のフレームに乗せるだけでよく、取り出すのも簡単でした。

一方でリニューアル後の新型は、焼き網をセットするとき「焼き網のフックを庫内奥のフレームに引っかけ、バネを伸ばしつつ焼き網の反対側を扉のフックに引っかける」――と、少々面倒。網が大きくなったのはうれしい点ですが、メンテナンス性は落ちた印象です。

  • 新型BALMUDA The Toaster Proの焼き網を装着しているところ。焼き網をぐぐっと引っ張りながら、扉にあるフックを網に引っかけます。実はこれ、初代BALMUDA The Toasterと同じ方式です

プロシリーズならではの「サラマンダー」、真価を実感した試食会

と、ここまで紹介したきたとおり、今回のリニューアルはBALMUDA The Toasterシリーズ共通のもの。スタンダードモデルとプロシリーズの違いは「サラマンダー」モードの有無ですが、サラマンダーモードは従来のままで変わっていません。

「サラマンダー」とは、レストランなどが備えている業務用の調理器具。食材の表面だけを高温で炙って、「焼き」をいれる器具です。BALMUDA The Toaster Proのサラマンダーモードでは、庫内上側のヒーターのみで食材を一気に高温加熱。「自分好みの焼き色」や「食材の香ばしさ」といった演出ができます。

  • プロモデルにのみ搭載された「Salamander(サラマンダー)」モード。全火力を上ヒーターに集中させ、スタンダードモデルの約1.4倍という火力を実現します

  • マイナビニュース +Digitalの林編集長もサラマンダーモードで調理したコース料理を試食。トースターで調理したとは思えないキレイな前菜が運ばれてきてニコニコです

試食会では「サラマンダーモードがあれば、こういった使い方ができるのか!」というコース料理が提供されました。

たとえば、前菜は薄切りにしたライ麦パンに、クリームチーズやラペをはじめとした野菜を乗せた一品。薄切りライ麦パンはパサパサになりやすい食材ですが、サラマンダーモードの高火力で表面だけを短く炙ることでパンの香ばしさを引き出しつつ、薄切りパン特有の乾燥を抑えています。

  • 麦の香りを出すため、パンをサラマンダーモードで炙ってから盛り付けた前菜

フライパンで調理した白身魚のソテーは、調理後にサラマンダーモードで皮を炙ってカリカリに仕上げています。これはまさにレストランのサラマンダーと同じ使い方です。

サラマンダーモードはこういった「表面だけ短時間で焼き付け、食材はみずみずしいまま仕上げる」ことが得意。牡蠣の炙りなど、香ばしさとジューシーさを両立させたい料理にはぜひ使ってみたい機能です。

  • 新型のBALMUDA The Toaster Proで皮をクリスピーに仕上げた白身魚のソテー

  • フライパンで焼き目を付けたあと、BALMUDA The Toasterで中心まで火を通したローストビーフ。この一皿は付け合わせポテトの焼き色にサラマンダーモードを使用しています。付け合わせながら絶妙な焼き色に「自分好みに焼き色を調整できる」という、サラマンダーモードならではの使い方

最後のデザートは京都らしくほうじ茶のクレーム・ブリュレ。クレーム・ブリュレは仕上げにグラニュー糖をかけ、砂糖をバーナーで炙ってキャラメリゼします。これで「表面が薄くほろ苦くカリカリ」という独特の食感と味を作り出すわけです。BALMUDA The Toaster Proのサラマンダーモードなら、高火力なのでバーナーがなくてもこのカラメル層を作れます。

  • デザートのクレーム・ブリュレ。ほうじ茶が入っているため、見た目は黒いですが焦げているわけではありません。スプーンで叩くと表面がパリンと割れるカラメル層ができています

以上、サラマンダーモードを活用したBALMUDA The Toaster Proのコース料理でした。スタンダードなBALMUDA The Toasterは「難しいことを考えずにパンを美味しく食べられる」トースターですが、サラマンダーモードを使った調理は「試行錯誤しながら自分が気に入る料理を作る」という印象。これ1台で料理のバリエーションがグンと増えそうです。上手に使うにはそれなりの経験と一手間が必要なのですが、料理好きにとっては、作る課程も仕上がりも一層楽しくしてくれる1台です。