日本HPは11月16日、メディア向けの発表会を開催し、いくつかの新製品と法人向け新ソリューションを発表しました。忙しい方向けにまとめておくと、今回明らかになったのは下記の通りです。
- HP eSIM Connect:au回線の無制限プランが5年分付属するノートPC 2モデル
- HP Protect and Trace with Wolf Connect:専用通信モジュール搭載でOSが起動する前から監視可能な新ソリューション
- Poly新製品:映像処理をより賢く、音声のエコーを減衰させてクリアにする新機能
- HP Z6 G5AワークステーションPC:Ryzen Threadripper Pro 7000WX搭載で最大96コア
au回線が60カ月も無制限に使える「HP eSIM Connect」
今回は法人向けソリューションが主題となっている発表会で、中でも大きく取り扱われたのが新製品「HP eSIM Connect」。HPが販売するモバイル法人向けノートPCにおいて、通信回線の利用権がセットになっている点がポイント。KDDIとのコラボレーションでau回線が無制限で利用できるというもので、しかも期間が5年(60カ月)とかなり長いです。データの通信が買い切りになっているため、重量課金制とは違って心置きなく外でも業務が行えるとしています。
HPの希望小売価格はかなり高く見えますが、実際はSIer等のパートナー経由で法人向けに限定して供給が行われる見込み。予想実勢価格はDragonflyが約26万円前後、ProBookは約14万円程度とかなり意欲的な価格になるとのことで、担当者曰く「強力なPC構成とデータ通信60カ月分がついているわりには、かなりがんばった値段にできたと思う」との談。法人向けは数が多く出るのでこの価格を実現できたと推察されますが、個人向けにもこの価格で発売されれば支持を得られそうだと感じました。
OSが起動していなくても、オフラインでも監視できるHP Protect and Trace with Wolf Connect
また、通信の話題からMDM(モバイル・デバイス・マネジメント)ソリューションへ。企業で扱うノートPCには機密情報が詰まっており、監視・管理が欠かせません。しかし従来のMDMツールはOS上で起動するものが多く、PCが起動していなかったり、オフラインだと使えないという課題がありました。
そこで今回、HPは「HP Protect and Trace with Wolf Connect」を投入してこの課題を解決。デバイスに「Cat-M」なる専用モジュールを内蔵することで、つねにオンライン状態を維持。OSが起動する前からBIOS状で認識され、Cat-MモジュールさえオンラインであればMDMツールを利用でき、遠隔ロックやデータ削除を行えるとしています。
発表会ではPCを紛失したと仮定し、このシステムを用いたデモが行われました。管理側のアプリケーションはクラウドにあり、ブラウザから操作する模様。ロック申請を行い、別の画面から承認すると紛失PCのロックが行われ、たしかに紛失PC側が電源オフ状態でもロックされている様子がわかりました。BIOSそのものがロックされているため、別のシステムをブートさせたり……という小細工も効きそうにありませんでした。
最大96コアモデルも投入、会議用ヘッドセットに新製品
そのほか、ワークステーションPC「HP Z6」においてRyzen Threadripper Pro 7000WXシリーズ搭載モデルを予告。Zen4ベースの高いシングルコア性能を備えつつ、最大96コアもの構成を用意してマルチスレッド性能を飛躍的に向上。豊富なPCIeレーンを生かしてGPUも3個まで搭載でき、生成AIのような超高負荷ワークロードもサポートするとのこと。
また、HPの周辺機器ブランド「Poly」から会議用ヘッドセットの新モデル「Voyager Surround 80 UC」も発表されました。これまではオンイヤー型しかありませんでしたが、要望に応えてオーバーイヤー型も用意。ブームのないマイクを内蔵し、ANC機能も備えて快適なビデオ会議を行えるとのことでした。