シャープは、幅52cmの小型サイズながら上向きのハイトスピーカーを搭載した、Dolby Atmos対応のサウンドバー「AQUOSオーディオ HT-SB700」を11月25日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭価格は30,000円前後を見込む。

  • AQUOSオーディオ「HT-SB700」

  • HT-SB700

立体音響のDolby Atmosに対応し、全方位から音に包み込まれる臨場感を手軽に楽しめるという一体型サウンドバーで、HDMIケーブル1本でテレビと接続可能。ハイトスピーカーを備えていないAQUOSテレビ(EQ/FN/FLライン)との組み合わせに最適としており、想定サイズは42〜55型まで。他社製のハイトスピーカー非搭載テレビと組み合わせて使うこともできるという。

  • ハイトスピーカー非搭載のAQUOSテレビに、HT-SB700を組み合わせて音質強化を図れる(下)

  • 48型AQUOSテレビと、HT-SB700(下)を組み合わせたところ

  • HT-SB700を、別途用意した42型AQUOSテレビやスタンドと組み合わせたところ

シャープの「AQUOSオーディオ」では、8K放送の22.2ch立体音響を楽しめるAQUOS 8Kテレビ向けの高級サウンドバー「8A-C22CX1」(2020年発売)を筆頭に、首掛けタイプや手元に置くタイプの「AQUOSサウンドパートナー」といった製品群を展開している。ハイエンドの8A-C22CX1とは開発背景が異なり、「手ごろな価格帯で映画などの立体音響を楽しめるサウンドバー」として、今回新たにHT-SB700を投入する。

  • AQUOSオーディオの製品群

52mm径のフロントスピーカーに加え、前方に20度傾斜させた同じサイズのハイトスピーカーを左右に各1基搭載した2.0.2ch構成。内部ではフロントスピーカーを配置した部分がバスレフポートとつながっており、ハイトスピーカーは密閉構造。出力はフロントスピーカーが20W×2、ハイトスピーカー15W×2で、総合出力は70W。

  • 内部構成は2.0.2ch

  • 前方に20度傾斜させた、上向きのハイトスピーカーを備える

「手軽に立体音響を楽しむ」というコンセプトで作られており、サブウーファーを別体で用意したり、本体に内蔵したりといった設計にはなっていない。低音用のバスレフダクトを内部に設けることで、「コンパクトなサイズ感ながら低音を出せるような設計にした」とのこと。

  • 内部構造

  • Dolby Atmosサウンドの再生イメージ

HDMI端子(eARC/ARC対応)は1系統。eARC対応のAQUOSテレビと接続することで、NetflixやAmazon Prime Video、Disney+、U-NEXTといったネット動画サービスで配信されているDolby Atmos(Dolby Digital Plus)対応のコンテンツを再生できる。

ほかにも、BDレコーダーやBDプレーヤーといった外部ソースからサウンドバーへとロスレス音声フォーマットで伝送可能。Dolby Atmos(Dolby TrueHD)で収録された映画などを高音質に楽しめるとする。

  • ネット動画サービスのDolby Atmosコンテンツを再生可能

  • HT-SB700の対応音声フォーマット

短時間ながらHT-SB700の音を聞くことができた。48型のAQUOSテレビと組み合わせた状態で、Dolby Atmosのデモコンテンツや映画を観てみると、音や声の定位が画面の映像にピタリと合い、コンパクトな見た目に反して広がり感のあるサウンドが楽しめる。サウンド面を強化していない一般的なテレビでは、画面の下から音声が出ているような聞こえ方で違和感を覚えることが少なくないが、HT-SB700を追加すればそういった問題を解消できそうだ。

  • パンチンググリルの中にスピーカーユニットがある

Dolby Atmos対応をうたうサウンドバーのなかでは比較的手ごろな3万円という価格設定ながら、斜め上向きのハイトスピーカーを積んでいる点も重要な評価ポイント。サブウーファー非搭載なので、コンテンツによっては低音の迫力を補うBASSモードをオンにする必要があるかもしれない。今回は48型AQUOSとの組み合わせで聞いたが、もう少しコンパクトな42型のほうがマッチするサイズ感ではないか……という印象も受けた。

5つのサウンドモードを搭載しており、再生するコンテンツや好みに合わせてHT-SB700のサウンドを調整可能。音楽コンテンツ向けのMUSIC、映画に適したCIEMAのほか、人の声を聞き取りやすくするNEWS、深夜に小音量で聞くNIGHTと、フラットなイコライザー処理をかけて再生するDIRECTが選べる。また、ハイトスピーカーのオン/オフを切り替えたり、サラウンド効果をオン/オフして音場を調整することも可能。AUDIOボタンを長押しすると、小音量時に小さい音を聞きやすくするDRC機能も装備している。なお、これらのサウンドモードはアナログ音声入力でも有効となる。

  • 付属のリモコン

  • リモコンからサウンドモードや音場に関する各種設定が行える

AQUOSテレビのリモコンで操作できる「AQUOSファミリンク」に対応。付属のリモコンを使わずに、テレビのリモコンでサウンドバーの電源オン/オフや本体スピーカーとの切り替え、ボリューム調節、サウンドモードの切り替え、ミュートといった各種操作が行える。ほかにもテレビ側の電子番組表と連動し、視聴している放送番組に適したサウンドモードを自動で選ぶ「ジャンル連動」にも対応する。

  • 「AQUOSファミリンク」対応。AQUOSテレビのリモコンにあるボタン(赤丸の部分)から、各種操作が行える

本体前面には入力や各種モードを確認できる白色LEDを備えているが、対応するAQUOSテレビのメニュー画面から、HT-SB700のサウンド設定をひと目で確認することもできる。

  • AQUOSテレビのメニュー画面で、HT-SB700のサウンド設定を確認可能

  • 本体前面に白色LEDを装備。上面には電源ボタンや音量調整ボタン、入力切り替え、Bluetoothボタンを備える

有線入力はHDMIのほかに、角形の光デジタル音声入力(48kHz/24bit対応)と、アナログのステレオミニ入力を各1系統備える。さらにBluetooth受信機能も備え、HT-SB700をワイヤレススピーカーとして利用可能。Bluetooth 5.3準拠で、コーデックはSBCとAACに対応している。AQUOSサウンドパートナーと連携する機能があると使い勝手がさらに増すようにも思えるが、Bluetooth送信機能は非搭載だ。

  • 背面の入力端子(USB端子はサービス用のもので、USBオーディオ再生には対応しない)

  • 裏面のゴム足

映像への没入感を妨げないよう、シンプルでノイズレスなデザインを採用。カラーはブラックで、画面からの反射を抑えるマットな質感に仕上げた。本体の本体サイズと重さは520×113×72mm(幅×奥行き×高さ)、約1.7kg。ACアダプター(ケーブル長1.5m)、長さ1.2mのHDMIケーブル、リモコン用の単4形乾電池2本などが付属する。

  • 製品概要

なお、HT-SB700をテレビの前に設置した際、テレビ側のリモコン受光部が隠れて操作できなくなることを防ぐために、赤外線リモコンリピーターの代わりとなる小さな拡散シートも同梱。サウンドバーの背面上部に両面テープで貼り付けて使用する。

  • 付属の拡散シートを、HT-SB700に取り付けたところ

  • 拡散シートには両面テープがついている