MMD研究所は10月19日、2023年9月に実施したMNOのシェア・満足度調査の結果を発表した。前回調査は2023年2月で、各キャリアのメインブランドは微減傾向、オンライン専用プランは横ばい、サブブランドが微増傾向になっているという。

  • イメージ

メイン利用/サブ利用の通信サービス

まず、予備調査の対象40,000人に、メイン/サブとして利用している通信サービスを聞いた結果から見ていこう。左のグラフはスマートフォンの利用者にメイン利用の通信サービスを聞いた結果、右のグラフはサブとして利用している通信サービスがあるという人にそのサービスを聞いた結果だ。

  • グラフ:メイン利用/サブ利用の通信サービス

    メイン利用/サブ利用の通信サービス

メイン利用の通信サービスは、「docomo」28.9%、「au」16.3%、「SoftBank」10.7%と各キャリアのメインブランドが上位に並ぶ。それに続くのが「Y!mobile」10.0%に「UQ mobile」7.9%のサブブランドふたつ。前回調査では「Y!mobile」に続く5位が「Rakuten UN-LIMIT」だったが、今回は「UQ mobile」が「Rakuten最強プラン」を上回る結果となった。3キャリアのオンライン専用プランがその後に、「ahamo」5.3%、「povo」2.4%、「LINEMO」1.3%とメインキャリアと同じ順番で続く。

上記をすべてあわせたMNO全体の占有率は90.2%で、前回調査の90.3%からほぼ変わらず0.1ポイントのダウン。内訳としては3キャリアのオンライン専用プランは1.1ポイントの増加、サブブランド2つは1.9ポイントの増加となっている。

サブ利用のサービスでは、MVNOの利用率が2.1%低下。サブブランド2つの合計が12.1%と、メイン利用のサービスにおける17.9%と比べて比率が低く、オンライン専用プラン3つの合計は14.2%とメイン利用のサービスにおける9.2%よりも比率が高いというのが興味深い。

そして次の表は、メイン利用の端末におけるMNO利用者の2022年2月からの利用率の推移をまとめたもの。こちらはMVNOの利用者を除くデータとなっているため、それぞれの利用率は先のグラフとは異なる値になっている。

  • 表:メイン利用の端末での利用率の推移

    メイン利用の端末での利用率の推移

楽天モバイルを除く3キャリアのメインブランドは合計でマイナス1.5ポイントの61.9%と、引き続き減少傾向。とくにauはマイナス1.0ポイントと、前回調査に続き最高のダウン幅となった。好調なのはUQ mobile/Y!mobileのサブブランド2つで、合計して19.8%と利用率を1.4ポイントのばしている。サブブランドを持たないドコモではahamoが0.5ポイントのシェアアップとなっているが、au/SoftBankのオンライン専用プランであるpovo/LINEMOはともに0.2ポイントのダウン。各社のメインキャリアからサブブランドへの移行が進んでおり、サブブランドをもたないドコモではahamoがその受け皿になっているという状況だ。

楽天モバイルは、前回調査から今回調査までの間に新プラン「Rakuten最強プラン」への移行があったが、利用率は8.2%で変わらず。ゼロ円プランの廃止もあってこのところ微減が続いていたが、ようやくその影響から脱したと考えられる。

ドコモ「irumo」「eximo」、au「auマネ活プラン」 新プランの認知度は?

この夏には、6月にドコモの「irumo」「eximo」、8月にauの「auマネ活プラン」と新プランの導入が続いた。その認知/利用状況も調査している。

  • グラフ:「irumo」の認知~利用状況

    「irumo」の認知~利用状況

「irumo」については、全体での認知度は37.6%、ドコモのサービス利用者では56.0%となっている。

  • グラフ:「eximo」の認知~利用状況

    「eximo」の認知~利用状況

「eximo」についても状況はさほど変わらず。全体での認知度は32.3%、ドコモのサービス利用者では50.8%なので、「irumo」にくらべて約1割ていど認知率が下がるといったところだ。

ただし「irumo」「eximo」のどちらも、ドコモ利用者で「聞いたことはあるがサービス内容は知らない」という回答が31.5%/28.2%となっており、まだプラン内容の周知には至っていないようだ。

そして、それよりも厳しい状況にあるように見えるのが「auマネ活プラン」だ。

  • グラフ:「auマネ活プラン」の認知~利用状況

    「auマネ活プラン」の認知~利用状況

全体での認知度は「irumo」「eximo」と似たようなものだが、au利用者においても「全く知らない」が54.8%と半数以上で、「聞いたことはあるがサービス内容は知らない」も31.1%、サービス内容を知っているという人は14.0%にとどまる。「irumo」「eximo」とはプランの位置付けも異なるため単純な比較はできないが、今後いっそうの周知活動が必要になりそうだ。

満足度が高いのはオンライン専用プラン、トップは「ahamo」

最後に、MNOが提供する9サービスの利用者を対象に調べた満足度と推奨度を見てみよう。

総合満足度でトップとなったのは「ahamo」で、それに「LINEMO」「povo」が続くという結果。前回調査ではトップだった「UQ mobile」が5位となり、オンライン専用プラン~セカンドブランド~楽天モバイル~メインブランドと順番がはっきり分かれる結果となった。ちなみに順位変動があったのは「UQ mobile」の1位から5位へのダウンと、それに伴い前回調査で2、4、5位だった「ahamo」「povo」「Y!mobile」がひとつずつ順位を上げた点だけだった(前回「LINEMO」は「ahamo」と同点2位だったため据え置き)。

  • 表:MNO 9サービスの総合満足度

    MNO 9サービスの総合満足度

利用しているサービスについて家族や友人に薦めたいかどうかを10点満点でスコアをつけ、それを集計して算出するNPS(ネット・プロモーター・スコア/顧客推奨度)は次のようになった。

  • グラフ:MNO 9サービスのNPS

    MNO 9サービスのNPS

各キャリア(楽天モバイル含む)のメインブランドが低めのスコアで、オンライン専用プランは比較的高め、サブブランドはその中間という傾向自体は前回調査と共通。メインブランドは高スコアから順に「docomo」「Raukten最強プラン」「au」「SoftBank」となっており、これも前回調査と同じ。オンライン専用プランは前回調査が「ahamo」「povo」「LINEMO」の順だったが、今回の調査では「LINEMO」「povo」「ahamo」と順位が逆転している。サブブランドも前回上位だった「UQ mobile」を「Y!mobile」が逆転しており、ソフトバンクがメインブランドでは引き続き厳しい評価を受けているもののオンライン専用プラン/サブブランドでは評価を上げているという状況が見られている。

調査概要

  • 調査名:2023年9月MNOのシェア・満足度調査
  • 調査期間:2023年9月22日~9月27日
  • 有効回答:<予備調査>40,000人 ※人口構成比に合わせてウエイトバックを実施
    <本調査>2,700人 ※各サービスの利用者300人ずつ
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査対象:<予備調査>18歳~69歳の男女 <本調査>MNO利用者
  • 設問数 :<予備調査>15問 <本調査>9問