昨年末に創業40周年を向かえたアドビ。先日、米ロサンゼルスで開催されたクリエイター向けイベント「Adobe MAX 2023」の会場では、参加者の「アドビ歴」に応じて、イラストレーターのジェシカ・ミラーさんが手がける、数字のピンバッジがもらえるブーズが人気を集めていました。

  • アドビ新社屋で見つけた、懐かしいアレとは? - サンノゼの本社ツアーに参加

    今年オープンしたアドビ本社の新社屋「Founders Tower」

  • 「Founders Tower」前にデザインされた大きなロゴ

パッケージソフトからクラウド、最近では生成AIまで、そのビジネスは大きく変わってきましたが、クリエイターを支えるという根本はずっと同じ。そんなアドビが約30年間本社を置くサンノゼに、今年、新しいオフィスビルがオープンしたということで、その見学ツアーに参加してきました。

  • 「Adobe MAX 2023」で人気を博していた「アドビ歴」ピンバッジ

「Founders Tower」と名付けられたこの新社屋は、隣接する3つの本社ビルに新たに加えられたもの。1995年に最初のビルであるEast Tower、1998年にWest Tower、2003年に3つ目のAlmaden Towerが建設されていて、現在、Founders Towerをあわせた4つのビルで約4500人のアドビ社員が働いています。

  • 新社屋と既存のビル群とは、道路を渡る連絡橋でつながっています

1Fにはアドビのこれまでのあゆみを紹介するミュージアムがあり、アドビ歴25年の筆者には懐かしいパッケージも多数展示されていました。これらの展示物の多くは、社員が長年に渡って個々大切に保管していたものだそうです。

  • エントランス横にある、アドビのこれまでがわかるミュージアム

  • 懐かしいパッケージが並ぶショーケースにはアドビの歴史が凝縮されています

  • プリンタの描画を制御するために開発された「PostScript」のコードをプリントしたファイルとディスク

  • DTP黎明期を支えた「PageMaker」も展示されていました

  • 初期のIllustratorとマニュアル。昔のパッケージソフトには分厚いマニュアルがついていました

  • ミュージアムの奥には三方をディスプレイに囲まれるイマーシブなコーナーもあります

オフィスフロアは7階からで、7階には広々としたカフェスペースと、イベントスペースがあります。社内イベントに活用されているほか、地元コミュニティなど外部のイベントにも利用されているそう。つい最近もサンノゼ市長がここを訪れ、サンノゼの活性化を話し合うイベントが行われたと聞きました。アドビの社員の中には、地元コミュニティやボランティアなど、非営利団体の要職に就いている人も多いそうで、そのようなイベントにも利用されているそうです。

  • 7階のイベントスペースは階段状にベンチが設置された大きなホールになっています

  • 開放的なカフェスペース。たくさんのカフェテリアやレストランがあります

  • 吹き抜けの8階から7階を見下ろしたところ。ディスプレイはその時々によって表示が変わります

  • 帰りにスーパーマーケットに寄らなくて済むように、地元食材を扱うパントリーも用意されています

続く8階もレストラン&イベントスペースとなっていて、今年6月に「Adobe Acrobat」が30周年を迎えた際には、大規模なパーティーも開催されたとのこと。そのパーティーには、8月に亡くなったアドビ共同創業者のジョン・ワーノック氏も参加していたそうです。

  • 8階の広いイベント&レストランスペース。家族を連れてくることもできるとのこと

カフェスペースでは、国際色豊かでバラエティに富んだ食事が提供されていて、曜日毎に異なるメニューが楽しめるとのこと。支払いは社員証を通じて行い、現金のやり取りありません。このほか社員向けには「Adobe Life」という専用のアプリも提供されていて、共有スペースの予約や、レストランのメニューの注文なども、アプリからできるようになっています。

カフェに設置されているピザ窯も含めて、ビル内はオール電化。建物全体の使用可能なスペースが70万平方フィートなのに対して、5万平方フィートがキッチンというのはかなりの広さですが、これはオール電化の商業用キッチンとして、北米最大規模とのこと。電力はすべて太陽エネルギーと風力エネルギーという、再生可能エネルギーで賄われています。なお、駐車場には約1,200台の駐車スペースがありますが、そのうち200台は電気自動車用。EV充電サービスも無料で利用できます。

9階から18階までがワークフロアで、ところどころにカフェのような休憩スペースが設けられています。定期的に出勤する社員にはデスクも割り当てられていますが、休憩スペースで1日中、仕事をしている人もいるそう。「社員はどこでも、自分が快適だと思うところで働ける」と説明されました。

  • 休憩スペースには卓球台やビリヤード、ホッケーゲームなどもありました

  • 楽器が演奏できる部屋や、VRゲームがプレイできる部屋なども

  • オフィスフロアにいた社員の方は、新社屋の照明がお気に入りと話していました

チームがまとまって働ける独立した部屋もあり、プロジェクトごとに数カ月間、缶詰になることもあるとのこと。壁はホワイトボードのように書き込めるようになっていたほか、デスクにはすべて昇降デスクが採用されていました。

  • プロジェクトによって、数カ月単位で試用されるという大きめの部屋

  • 青で統一されたフロア。落ちついて作業やミーティングに集中できそうです

  • エレベーターの扉にはAdobe Stockの作品がデザインされていました

ビル全体に色彩心理学が取り入れられていて、オープンマインドになれるオレンジ、集中できる青など、フロア毎に異なるカラーが採用されていたり、優しい調光のライトで影ができないようになっていたりと、細部までこだわって働きやすい環境が作られていたのが印象的でした。アドビ社内には、ワークプレイスのデザインを研究する専門チームもあると聞いて納得。こういうところにも、40年間成長を続けられる秘密があるのかもしれません。