2023年10月13日、韓国にて開催されているPCオンラインゲーム『League of Legends』(以下、LoL)の世界大会「League of Legends World Championship」(以下、Worlds)にて、日本チーム「DetonatioN FocusMe」(以下、DFM)とヨーロッパチーム「Team BDS」(以下、BDS)の試合が行われました。

この試合は、プレイインステージのロワーブラケットでの対戦で、負ければ大会敗退となる一戦でした。自分たちから仕掛ける構成を見せた「DFM」でしたが、「BDS」にペースを握られる展開が続き、0-2で敗北。これにより「DFM」は敗退が決まり、「Worlds」での挑戦を終えることになりました。記事では、試合直後の「DFM」GismoコーチとYutapon選手への単独インタビューの内容をお届けします。

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    韓国・ソウルのLoL Parkにて、「DFM」対「BDS」の試合が行われた

Gismoコーチインタビュー「難しい状況下におけるマインドに差を感じた」

試合直後、Gismoコーチへのインタビューを行いました。Gismoコーチは、日本国内リーグ「League of Legends Japan League」(以下、LJL)のSummer Split中の体制変更をきっかけに、アナリストからコーチに転向しています。この日行われた「BDS」との試合の振り返りや、「Worlds」の試合をコーチとして経験して感じたことなどを聞きました。

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    インタビューに応じてくれたGismoコーチ

――まずは、本日の試合を終えた感想を教えてください。

Gismoコーチ(以下、Gismo):言葉にできないですね。自分たちが想定していたよりも、まったく上手くいかなくて、今もあまり感情がまとまらないです。

――今回戦った「BDS」との試合に向けて、どういった準備や話し合いをされていましたか?

Gismo:「BDS」はトップレーンが強く、ユニークなチャンピオンを使う特徴があるチームです。そのほか、サポートのLabrov選手のロームタイミングや、ミッドレーンへのガンクなど、彼らがどういったゲームの動かし方をしてくる傾向があるかといった話を中心にしていました。

――初戦を踏まえて、「DFM」としてはどういった戦い方をしていこうと話していましたか?

Gismo:初戦では、思っていたよりも序盤のところで差がついて、中盤以降ゲームが上手くつくれなくなってしまいました。なので、バンピックや考え方から変えて、自分たちからも勝負できる構成をつくりにいきました。

――試合前のチームの雰囲気はいかがでしたか?

Gismo:世界大会で、かつ、あとがない状況で、それなりの緊張感はありました。ただ、初戦で負けたあとは、緊張よりも「もうやるしかない」という空気でした。ズルズルと戦っても、ゲームがより難しくなるので、自分たちの強みを押し付けてやっていくしかないと話をして、2戦目を迎えました。

――実際の試合では、やはり強みを押し付ける戦い方をさせてもらえない、相手の上手さがあったのでしょうか。

Gismo:今日の2ゲーム目に関しては、自分たちから仕掛けようとしたり、ミッドとジャングルで強くいこうとしたりする意識が強すぎて、本来行くべきところをおろそかにしてしまう場面がありました。そういった自分たちのミスが全体的に響いて、どんどん差がついてしまったと思います。

――今日の1ゲーム目と2ゲーム目のインターバル中には、どのような話をされていましたか?

Gismo:どちらのサイドを選択して、自分たちが何をしたいのか。そのためにどういうバンピックを組むか、どの順番で取っていくかといった話を中心にしていました。

――2ゲーム目で「DFM」はレッドサイドを選択しましたが、どういった狙いでのバンピックだったのか教えてください。

Gismo:レッドサイドは、相手にファーストピックで渡したくないチャンピオンをバンしなければならないという、多少のデメリットがあります。それでも、まずは相手が1ゲーム目でピックしていた、アイバーンを押さえたい意図がありました。そして、相手のトップのAdam選手に、後ピックでこちらのトップのカウンターを取られたくなかったので、それらを踏まえてレッドサイドを選びました。

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    インターバル中に話し合う「DFM」のコーチと選手たち

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    1ゲーム目での両チームのバンピック

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    2ゲーム目での両チームのバンピック

――Gismoコーチは、シーズン途中にアナリストからコーチになりましたが、コーチとして国内外での試合を経験して、今感じていることがあれば教えてください。

Gismo:コーチとしての難しさは明確に感じています。僕がもともと、アナリストやアシスタントコーチといった立ち位置にいたのは、自分があまりヘッドコーチ向きではない能力や性格だと考えていたからでした。もちろんviviDコーチもたくさん手助けしてくれましたが、やはりヘッドコーチという立場になってみると、自分の能力不足を感じました。

――ヘッドコーチ向きではないと考えられていたのは、例えばどういった部分からですか?

Gismo:わかりやすいものを挙げるとするならば、リーダーシップの部分ですね。やはりチームの先頭に立つ人は、リスクがあるけれどリターンもある、そういう決断をたくさんしなければならないと思います。

でも、僕はそこでリスクのほうが気になります。例えば、60%で当たるくじを引くときに、残りの40%をいかに消すかを考えるのが、今までの仕事でした。アナリストやアシスタントコーチは、ヘッドコーチや選手が下した判断を、問題ないかどうか検証するような考え方がベースにあります。なので、実際にそういったところの違いが大変でした。

――今回コーチという立場で「Worlds」を戦って感じた、世界との差があれば教えてください。

Gismo:世界のチームとの差は、いろいろあると思いますが、難しい状況になったときのマインドの部分でほかのチームとは差があると感じました。練習試合では体験できない状態や、不利な難しい状況に陥ったときに、どれだけパフォーマンスを出せるか。いつも通りとは言わないまでも、いかに自分たちが普段している判断を行えるのかというところで、差が出たのかなと思います。

――それでは最後に、応援してくださったファンへのメッセージをお願いします。

Gismo:形容しきれないくらい残念で、申し訳ない気持ちでいっぱいです。ただ、チームにいろいろあったなかでも、この「Worlds」まで応援してくださって、すごくありがたかったです。来場してくださったファンの皆さんの声も届いています。本当にありがとうございました。

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    この日も会場には、「DFM」に声援を送るファンが多く来場していた

Yutapon選手インタビュー「LJLの基礎力を上げる必要がある」

続いて、Yutapon選手にインタビューを行いました。Yutapon選手は、LJL Summer Split中の体制変更により、ADCからトップにロールチェンジしていましたが、「Worlds」からはADCに戻ってプレイしています。新たな体制で戦った「Worlds」の振り返りや、世界との差を縮めるために必要だと思うことなどについて聞きました。

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    インタビューに応じてくれたYutapon選手

――まずは、本日の試合を終えての感想を教えてください。

Yutapon選手(以下、Yutapon):これで「Worlds」が終わることになってしまって、すごく残念な結果だったなと、本当に悲しく思います。

――今日戦った「BDS」に対して、どのようなチームだという印象を持っていたでしょうか。また、実際に戦った印象としてはいかがでしたか?

Yutapon:「BDS」はトップのプレイヤーがすごく強力で、トップに重きを置いているチームだという印象を持っていました。今日の試合を戦ってみての印象は、相手ももちろん上手かったですが、自分たちがチームとしての動きを上手くできていなかったところが大きかったです。

――「DFM」は「Worlds」で初めて、apaMEN選手を入れた体制で試合に臨みました。Yutapon選手の目線で、この体制でのチームの完成度はどれくらいだと感じますか?

Yutapon:apaMEN選手が入って、短い期間のなかでも、すごく努力してくれましたが、やはりチームとしての完成度はまだまだだったかなと。これはapaMEN選手だけの話ではなく、チーム全体として上手くいっていなかったと思います。練習の時点では、いけなくもないという印象だったのですが、いざ本番を戦ってみたら思った以上に厳しかったです。

――練習と本番の違いは、どういったところからくるものが大きかったでしょうか。

Yutapon:それに関しては、試合をしっかりと見返して考えてみないと、今のところはわからないです。

――メンタル面の影響はどれくらいあったと感じますか?

Yutapon:それについては、常に半々だと思っています。メンタルが50%、プレイ自体が50%だと思っていて、個人的にはそれは今回も同じでした。

――試合前後のチームの雰囲気やメンバーとの声掛けなど、何か印象に残っていることがあれば教えてください。

Yutapon:雰囲気としては、apaMENさんは世界戦がほぼ初めてだったので緊張していたかもしれないですが、ほかのメンバーは普通だったと思いますね。

――今回Yutapon選手は、ADCに戻る形になりました。LJLではトップレーンを担っていた期間もありましたが、ご自身のパフォーマンスに変化はありますか?

Yutapon:ADCに戻ったことについては、あまり問題なかったですね。トップレーンをやっていた期間が妨げになることもなく、戻る前と特に変わらないと感じます。

  • Worlds 2023

    試合中のYutapon選手

――今年の「DFM」は、チームとして困難な状況もありましたが、1年を振り返ってどのように感じますか?

Yutapon:今年は本当に大変なこともあったなかで、それでもLJLのSpring SplitとSummer Splitで勝てたことに関しては、すごく良かったなと思います。ただ、やはりそのあとの世界戦で結果を残せなかったことは、とても残念です。

今までの世界戦では、「この相手ならこれくらいの試合ができるし、勝率も全然あるな」と考えて戦えていました。でも、今年は勝てるチャンスがあったはずの相手に、何もできずに負ける試合をくり返すことになってしまったので、本当に残念でした。

――今回の「Worlds」を戦って、世界との差を縮めていくために何が必要だと感じますか?

Yutapon:やはり日本のLJLというリーグ自体の、そもそもの強さ、基礎力を上げていかなければならないと思います。

――リーグの基礎力を上げるためには、何が必要でしょうか。

Yutapon:単純に既存の選手たちがもっと努力するか、新しいプレイヤーを呼び込んで、才能ある選手をさらに発掘するか。そのどちらかしかないかなと思います。

――世界の他地域と比べて、日本の練習環境などに不利な部分はありますか?

Yutapon:それは特にないと思います。ゲームに関しては、才能の面も大きいと思っているので、やはりもっと新しいプレイヤーが出てくる環境が必要だと感じています。

――先ほどGismoコーチにインタビューした際に、世界との差として難しい状況下におけるメンタルの部分を挙げられていました。選手としてもやはり、メンタル面での差は感じますか?

Yutapon:それは多々ありますね。自分だけではなくほかの選手が冷静でないと感じる状況はありましたし、そういった状況でほかの選手の支えになることができなかった部分もあります。そういったところで、チーム全体として上手くいかなかったなと思います。

――それでは最後に、応援してくださったファンへのメッセージをお願いします。

Yutapon:いろいろあった1年でしたが、ここまで応援してくれたファンの方々には本当に感謝しています。ありがとうございます。

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    苦しい状況のなかでも、諦めずに戦う姿を見せてくれた「DFM」

11月19日のグランドファイナルまで続く「Worlds」

世界大会「Worlds」は、1カ月以上にわたるスケジュールで開催されます。残念ながら、日本チームの「DFM」は敗退となりましたが、この後も「Worlds」では世界各地域のトップチームによる激戦がくり広げられます。

また、グランドファイナルでは例年、『LoL』の世界観や大会のストーリーを表した、豪華なオープニングセレモニーが行われます。今年のグランドファイナルは、韓国・ソウルの高尺スカイドームで、11月19日に開催。年に1度の「Worlds」ならではの、壮大なスケールで演出されるステージや、決勝ならではのドラマチックな戦いも見逃せません。

■2023年の「Worlds」開催スケジュール
・プレイインステージ:10月10日〜15日
・スイスステージ:10月19日〜23日、10月26〜29日
・ノックアウトステージ:11月2日~5日、11月11日~12日
・グランドファイナル:11月19日

  • Worlds 2023

    プレイインステージDay4終了時点でのトーナメント表

  • Worlds 2023

    10月19日~29日に行われるスイスステージのトーナメント表

  • Worlds 2023

    11月2日~19日に行われるノックアウトステージのトーナメント表