米NVIDIAはサーバー向けのGPUアーキテクチャにおいて、これまでの2年スパンからはやめた1年スパンでの新アーキテクチャ投入を目論んでいるようだ。10月1日(現地時間)に公開された投資家向け資料に記述があり、VideocardzやSemiAnalysisが報じている。

  • NVIDIA次期AI向けアーキテクチャ「X100」が2025年にも登場 - 更新は1年おきへと加速 画像は筆者撮影

NVIDIAは現行アーキテクチャとして「Hopper」を2023年に発表しており、2024年には搭載製品としてNVIDIA H200を投入予定。今回公開された投資家向けの資料においては、2024年中に並行して次期アーキテクチャ「Blackwell」を発表し、あわせて搭載製品であるNVIDA B100を発表すると記述がある。CPU「Grace」を組み合わせたGB200NVLやGB200、PCIeカード型のB40についても記載され、2024年はHopperから世代がひとつ進むことになるようだ。

  • 画像はNVIDIA投資家向け資料のスライドから

また、さらに注目すべきは2025年中に「NVIDIA X100」なる製品の投入が行われるかもしれない点だ。これまでNVIDIAはアーキテクチャの刷新を2年ごとに行ってきており、民生向けであるゲーミング製品への展開を含めて2年おきの緩やかなペースで新製品を投入してきた。しかし、資料ではBlackwellの投入が行われる2024年から2年をあけず、2025年中に「NVIDIA X100」の投入が行われるという。

このスパン短縮についてSemiAnalysisは、AI向けハードウェアにおけるNVIDIAの優位性をさらに維持していくためだと指摘。いまでこそソフトウェアと周辺機器含むハードウェアで包括的なシェア拡大を実現しているが、AMD「Instinct MIシリーズ」やIntel「Gaudi」などの競合が存在するうえ、クラウドベンダーも独自のAI向けチップを開発中。Amazon「Trainium2」は来年にも提供が始まる見込みで、Google「TPUv5e」はすでに提供中。Meta「MTIA」、Microsoft「Athena」の開発も追随している。

こうした競合の動きに合わせて、NVIDIAは独占状態が長くは続かないと考えているのかもしれない。アーキテクチャ更新による性能向上をさらに推し進め、優位性の維持に努めようとしているとSemiAnalysisは述べている。

ちなみに、BlackwellはHopper世代と異なりゲーミング向け製品にも同じアーキテクチャが適用されるらしい。また、「NVIDIA X100」が採用するコードネームについても情報は明らかにされていない。著名な研究者からとられるのが通例だが、Xから始まる人名なのか、Xは仮称なのか、今のところ不明だ。