8月25日にマクセルから発売された不思議な“かまぼこ型”の新作モバイルバッテリー「MPC-C6601」のサンプルをお借りして、2週間ほど使ってみました。ただ個性的なルックスというだけではなく、使っていくうちに実用面でのメリットも見えてきました。
公式サイトなどでは「アーチ型モバイル充電バッテリー」として紹介されている本製品ですが、実物を手にした第一印象は「かまぼこっぽい」。今回試用したサンプルが白色なだけに余計にそう感じたのかもしれませんが、丸みを帯びつつも片側だけ平らなボディはどこか見慣れたフォルムです。
サイズは幅45mm×高さ98mm×厚さ23.5mmと、かまぼこにしては(かまぼこではないのですが)小さめ。重量も約135gと軽く、いざという時のためにバッグにひとつ放り込んでおいても負担にならないサイズです。
一般的なモバイルバッテリーは箱型のものが多いので、こういう変わった形状だと内部の空間効率が落ちてあまりコンパクトにならないのでは?と疑問を持たれるかもしれませんが、普段見ることのないモバイルバッテリーの中身のことを考えると、乾電池のような円筒形のセルを並べて詰めていることがほとんどなので、おそらく意外と無駄の少ない形状なはず。それでいて、セルの形に合わせて外装も円筒形にしたスティック型とは違って、机に置いても転がっていかない安定感もあります。
この一風変わった“かまぼこ型”ならではのメリットが最も発揮されるのは、スマートフォンをモバイルバッテリーで充電しながら使う場面。バッテリーの寿命を考えればあまり良くないのは重々承知しておりますが、実際モバイルバッテリーに頼るような場面では充電が終わるまでスマートフォンを置いて待ってはいられないことが多いですよね。
そういった「ながら充電」の場面では、バッグやポケットにモバイルバッテリーを入れたまま長めのケーブルを伸ばして使う手もありますが、短いケーブルでスマートフォンとモバイルバッテリーを重ねて持つ人も多いのではないでしょうか。
この「重ね持ち」スタイルではMPC-C6601の独特な形状が効き、安定感・持ちやすさともに良好でした。写真の例ではスマートフォン本体とそのまま重ねていますが、滑りにくいTPU素材やレザー系のケースを着けていると、より安定感が増します。
MPC-C6601のバッテリー容量は、公式サイトの説明文では「容量6,600mAh」、製品裏面の印字では「3.6V 6400mAh(23.04Wh)」および「5V 3900mAh」と書かれています。
前提知識がないと少し理解しにくいと思うので補足すると、まず6,600mAhと6,400mAhのブレに関しては、公称容量(typ.)が6,600mAhで最低容量(min.)が6,400mAhということでしょう。あくまで表示方法の違いです。
そして、一見「全然違うじゃないか!」とギョッとするかもしれない3,900mAhという表記の意味は、モバイルバッテリー内部のセルは3.7VですがUSB出力で給電する時には5Vに昇圧されるので、5V換算での容量を併記したものです。
実用上、「スマートフォンを何回(何割)充電できるかな」と考える場合にはこちらのほうが見やすく、たとえばパッケージ記載の例でいえば2,000mAh程度のスマートフォンを2回充電できるとされています。もっとも最近のスマートフォンで2,000mAhというのはかなり少ないので2回充電できる機種は極めて限られると思いますが、おそらく想定されている例としてはiPhone SE(第2世代/第3世代)あたりのことでしょう。
色々な数字が書かれていてちょっと混乱するかもしれませんが、ある意味とても正直に容量を記載してくれている製品でもあり、理解できればむしろ好印象なポイントでもあります。
端子は入出力兼用のUSB Type-Cと出力用のUSB Standard-Aが1口ずつ。出力は最大5V 2.4A、入力は最大5V 3Aです。USB PD(Power Delivery)には対応せず平凡なスペックですが、日常的にモバイルバッテリーを使うヘビーユーザー向けというよりは応急処置的な使い方に適したモデルなので、継ぎ足し充電が中心と考えれば十分な充電速度といえます。
従来品比で2倍という約1,000回の充放電サイクルに耐える長寿命なセルを採用したことも特徴です。社会的に環境への意識・関心が高まるなか、長く使える製品ということもひとつの大きなアピールポイントとなるでしょう。
また、昨今ではモバイルバッテリーをはじめとしたリチウムイオン電池内蔵製品の回収体制が整っていないことによる廃棄方法の問題も表面化してきていますが、マクセルはJBRC会員企業なので、本製品もいずれ使い終えたらJBRC協力店のリサイクルBOXに入れて安全に処分できます。「将来捨てる時のこと」もモバイルバッテリーを選ぶ上ではしっかり考慮しておきたい点です。