米Microsoftは9月18日(現地時間)、グラフィックツール「ペイント」にレイヤー機能と透過処理を導入することを明らかにし、Windows Insider PreviewのCanaryおよびDevチャンネルでプレビューテストを開始した(バージョン11.2308.18.0以上)。本格的なデジタル作画に欠かせないレイヤー機能が追加されることで、ペイントでより豊かで複雑なデジタルアートを作成できる。

レイヤーはフィルムのように機能し、テキストやシェイプ、その他のイメージ要素を別々のレイヤーとして管理し、重ね合わせることで1枚の画像を完成させる。下の画像は、背景、文字が描かれたレイヤー、紙吹雪が描かれたレイヤー、猫が描かれたレイヤーを重ねて1枚の画像になっている。各レイヤーが独立しているので、文字のレイヤーのテキストを変更することで、他に影響を与えることなく簡単にテキストだけを変えられる。「背景を削除して、別の背景を挿入する」といった操作も簡単に行える。

ペイントでレイヤー機能は、ツールバーの右端に配置されたレイヤー・ボタンをクリックしてアクセスする。画面右端に展開するレイヤー・パネルで、新規レイヤーの追加、並べ替え、結合、複製、削除、表示/非表示など、レイヤーのコア機能を利用できる。

レイヤーに欠かせないのが透過だ。レイヤーで画像にテキストだけを重ねたければ、テキスト・レイヤーのテキスト以外の部分は透明である必要がある。新しいペイントは透過PNGによる新規作成をサポートし、透明部分はキャンバス上で市松模様で表示される。画像をPNGで保存することで透過が保持され、他のソフトウェアでも透過PNGとして開ける。

9月7日にペイントで背景をワンクリックで削除する機能のプレビューが開始された。この機能がアップデートされ、画像から背景を削除すると、切り抜いた部分が白の塗りつぶしではなく透過処理される。これによって背景を削除したオブジェクトを画像に重ねるといったことを簡単に行えるようになった。

これらを活用することで、複雑なデジタルアートの作成が従来よりもずっと容易になる。PhotoshopやCanvaのような強力なグラフィックツールを使っている人にペイントのレイヤーは超基本的な機能でしかないが、そうしたツールを全く使ったことがない人にとってレイヤーは分かりにくい機能だ。ペイントの新機能はレイヤーの使い方を簡単に学べる入門として価値がありそうだ。