バルミューダは10月12日、同社初となる卓上調理家電「BALMUDA The Plate Pro(バルミューダ・ザ・プレート・プロ)」を発売します。家電ジャンルとしてはホットプレートですが、見た目はまるでステンレスのぶ厚い「板」、まさにプレート。私たちがよく知るホットプレートとは一線を画す本体です。

BALMUDA The Plate Pro(以下、The Plate Pro)のもっとも大きな特徴は、このぶ厚い3層構造のステンレスクラッドプレート。プロシリーズの第2弾ということもあり(第1弾は「BALMUDA The Toaster Pro」)、見るからに高級感のあるThe Plate Proは一体どんな「焼き」を振る舞ってくれるのか、プレス向けの発表&試食会で体験してきました。機能よりも体験を重視するバルミューダらしい新製品です。

  • ステンレスのまな板のようにも見える「BALMUDA The Plate Pro」。一見するとホットプレートには見えないデザインです。直販価格は42,900円

【動画】会場でステーキを焼く様子。ジュージューという音にはじける脂。食べる前から「美味しいに違いない」と確信させてくれます
(音声が流れます。ご注意ください)

6.6mmの超厚プレートでムラなく美味しく調理

家庭用のホットプレートといえば、電熱ヒーターの上に3mm厚ほどの黒い天板を乗せた構造が一般的ですね。多くの場合、付属する天板には数cmの「フチ」があり、さらに食材が焦げ付かないようにフッ素コーティングなどが施されています。

一方でThe Plate Proは、食材を乗せる天板が金属製の1枚板(Plate)。しかも、板の厚みは一般的なホットプレートの約2倍となる6.6mmもあります。

  • 本体サイズは幅573×奥行き334×高さ88mm、重さは約5.2kg。本体中央のステンレスプレートが存在感を放ちます

  • 製品を横から眺めると、プレートの厚みが2cm近くあるように思えますが、断面を見てみると実際のプレート厚は6.6mm

フライパンや鍋といった調理器具は「厚みがあるほうが美味しく調理できる」といわれていますが、The Plate Proも厚みにこだわった製品。厚みがあることで、「熱ムラの解消」と「温度の維持」を実現します。

通常、ホットプレートは天板下に管状のヒーターを配置していますが、天板の厚みが薄いとヒーターに近い部分のみ温度が高くなりがち。The Plateはプレートに厚みをつけることによって、焼き面に熱をまんべんなく伝えられるのです。

  • The Plate Proのクラッドプレート(写真左)と、一般的なホットプレートのアルミ製天板の断面。厚みがまったく違いますね

  • The Plate Proのプレートを外したところ。ヒーターがぐるっと配置されています

  • 一般的な3mm厚ホットプレートとThe Plate Proの天板温度の違い。薄い天板は熱ムラが大きいことがわかります

また、薄いプレートだと、食材を乗せた瞬間に熱が食材へと移動。天板の温度が一気に下がるというデメリットもあります。The Plate Proはプレートに厚みがあるため蓄熱性が高く、調理時に温度があまり下がりません。

バルミューダはThe Plateの調理特性について、「高温を維持することで食材の余分な旨みをすばやく蒸発。外はカリッと焼き上げつつ、中はジューシーに旨みを閉じ込めるような調理が得意」としています。

  • マイナビニュース +Digitalの林編集長が目の前で調理されたステーキを試食。外は香ばしく、なかは肉の旨みがギュッと閉じ込められています

  • ステーキは見るからに美味しそうですが、筆者が感動したのは肉と同時に調理したアスパラガス。温度を下げずに調理できるからか、水分が閉じ込められてみずみずしくプリッとした食感に仕上がっていました

もちろん、メリットばかりではありません。プレートがぶ厚いので余熱にそこそこ時間がかかります。最高温度を220℃に設定した場合、プレートの温度が220℃に達するまでに約14分かかりました。

温度設定は4通り。少し狭い?

The Plate Proで焼く食材の美味しさは、正確な温度制御も理由のひとつ。バルミューダによると、一般的なホットプレートは温度設定機能があっても、調理中にプレート面の温度が上下して40℃以上のズレが生じることもよくあるそう。

  • 設定温度200℃にしたときの、The Plate Proと一般的なホットプレートの温度推移の比較

対してThe Plate Proは、基本的に温度のズレを5℃以内におさえます。The Plateの温度設定は、160℃、180℃、200℃、220℃の4通りです。最低温度の160℃は、パンケーキやクレープなどを焦げ付かさずに焼きやすい温度帯。最高温度の220℃は、高温で肉を焼いたときに発生する油煙がでにくいギリギリの温度帯になります。

この4つの温度帯があれば、ほとんどの調理に支障はなさそうです。とはいえ、無段階の温度調節ができるホットプレートも多いなかで、「4段階しか温度設定ができない」のはユーザーによっては賛否が分かれるかもしれません。個人的には、60℃などの低温で保温ができる温度帯もほしいと思いました。

  • The Plate Proは4つの温度を切り替えるだけのシンプルな操作

  • 会場ではクレープを自分で焼けるブースも。プレートが均一に160℃をキープするため、焼きムラがなく、素人がゆっくり調理しても焦げませんでした

プレート上で肉を切り分けたり、金だわしでガシガシ洗ったり。

家庭用ホットプレートの多くは、焦げ付きを減らすために天板をフッ素コーティングしています。よって、基本的に金属のヘラでガシガシ調理することは厳禁。プレート上で刃物を使ったり、金だわしで手荒にプレートを洗ったりするのもコーティングによくありません。

The Plate Proはコーティングなし。天板はステンレスとアルミニウムのクラッド(複合)構造です。アルミニウムは熱伝導性が高く、ステンレスは耐食性が高いという特徴があり、5mm厚のアルミニウムを0.8mm厚のステンレスで挟みこむことで両方の特性を生かしています。

プレート表面が頑丈なステンレスということで、うれしいのはプレート上で肉や野菜を切り分けられること。コーティングしていないので、食材が焦げ付くこともあるのですが、焦げ付きを金属ヘラでガリガリ削ったり、調理後のお手入れでは金属タワシでガシガシ洗ったりすることもできます。

  • プレート上で包丁を使って、目の前で美味しそうな肉を切り分けられます。コーティングがないため、肉の焦げ付きはゼロではありません

  • 張り付いた焦げを、調理途中に金属ヘラでガリガリ削って取り除いているところ

  • プレートは平面なので余分な脂などは周りにしたたり落ちる構造。流れた脂などはプレート下にあるトレーが受けます。油受けトレーは取り外して丸洗いできます

  • こちらはエビを丸ごと。コーティングを気にせずラフに扱えるのはラクです

360°から手が伸びる、クラッドプレートは食材のためのステージ

ここまでは、The Plate Proの特徴的なところ、食材を美味しく調理できる理由、使い勝手について紹介しました。実際に体験してみると、実は最大の魅力はエンターテインメント性ではないかとも感じます。

プレート部分はフチがない「板」のため、食材調理中は360°どこからも調理の様子がしっかり見えますし、プレート部は本体よりも一段高く配置されているので舞台のような趣(おもむき)も。プレート周囲に「フチがない」ことで、食卓の中央にThe Plateを置いたとき、どの方向からも手を伸ばして料理を取りやすいというメリットもあります。熱いプレートにうっかり触れてヤケドしないように注意です……。また、実際に家庭で使うときは、調理する食材と料理にもよりますが、本体周辺への油ハネにも気を配る必要があるでしょう。

  • 約5mm角に叩いた肉を焼いて作ったハンバーガー。もちろんバンズもThe Plate Proで焼きます。できあがるまでの課程を見ているだけでも楽しい! この楽しさが一番の魅力かも

そしてなんといっても、The Plate Proの見た目と調理中の様子は人をワクワクさせてくれます。一見すると2cm近くのぶ厚い鉄板で調理をしているようなので、家庭でもまるで高級な鉄板料理のような雰囲気。調理道具に高級感があると、普段と同じ食材でも料理がより美味しく感じられそうです。

  • 付属する金属ヘラ。ヘラの先にメモリがあり、肉の厚さなどを手軽に計れる仕様です

  • バルミューダのオンラインストアや店舗で購入した場合は、購入特典として専用ケースも付属(専用ケースの価格は3,960円)。本体、クラッドプレート、付属するヘラの一式を収納できます

The Plate Proの標準は平面プレートですが、別売りでフチのついた「Griddle & Cover」と、たこ焼きプレート「Takoyaki Plate」も追加購入できます。Griddle & Coverは高さ2cmほどのフチがあるので、汁がでる食材の調理に便利。フタを使った蒸し料理も楽しめます。

  • 焼く、蒸す、煮込むができるGriddle & Coverは8,800円

  • 所有する家庭が増えた、たこ焼きプレート「Takoyaki Plate」は6,050円