5月26日に発売されたファーウェイの高級スマートウォッチ「HUAWEI WATCH Ultimate(アルティメット)」(市場想定価格 135,080円前後)。アウトドアのレジャーやスポーツにも力を入れるビジネスパーソン向けのモデルで、一番の特徴は水深100mまでのダイビングに対応したことです。
筆者はダイビングが趣味で、いつも「SCUBAPRO」というダイビングメーカーのダイブコンピューターを着けて海に潜っています。それがHUAWEI WATCH Ultimateなら、普段は健康管理に活用しながら、そのままダイビングにも使えることに興味津々。西伊豆・大瀬崎(静岡県)でのダイビングで使ってみました。
ダイビング時にも安心して利用できる強固なボディ
HUAWEI WATCH Ultimateは、海をイメージしたディープブルーのセラミックベゼルが印象的なモデル。デフォルトの文字盤もブルーで、インダイヤルには、最後にダイビングを行ってからの時間と、飛行禁止時間が表示されます。
ダイビングをした後、通常は12時間程度、飛行機に乗らない方が良いとされています。その理由は、ダイビング中に水中でタンク内の空気を使って呼吸をすることで、体内に窒素が吸収されてしまうから。
窒素は時間がたてば身体から自然に出ていくのですが、その時間が短く、体内に窒素が残った状態で飛行機に乗ると減圧症になるリスクが高くなってしまいます。減圧症は重症の場合、呼吸困難や胸痛などを伴う病気です。
そのため筆者は、沖縄などでダイビングを行った場合、翌日以降の飛行機で帰るようにしています。とはいえ、朝早い便だと、体内からちゃんと窒素が抜けたのか不安になることも。それがHUAWEI WATCH Ultimateなら科学的根拠に基づいた飛行禁止時間が表示されるので、安心につながります。
文字盤は全面が強固なサファイヤガラスで、筐体は高強度で高硬度の非晶質ジルコニウムをベースとしたリキッドメタル。普段の利用で壁にこすってしまったことがあったのですが、傷が付くことはありませんでした。
ベルトは、チタン合金のものに加え、ダイビングやスポーツ向けに長短2本のゴム製ベルトが同梱。気が利いています。筆者は短い方のベルトを使いましたが、長いベルトを使えば、ウェットスーツの上からでも着用可能です。
ファーウェイのスマートウォッチは、既存モデル「HUAWEI WATCH GT 3 Pro」もダイビングに対応しています。ただ、使用可能な水深が30mまでとなっており、筆者が潜るポイントによっては30m以上になることもあるので、常時利用するのは難しいと感じていました。
でもHUAWEI WATCH Ultimateは、水深100mまで対応しているので、レジャーとしてダイビングを楽しむには十分。10気圧の防水性能があり、ISO 22810防水規格とEN 13319潜水機器規格にも準拠しています。
ダイビングの前にモードや必要な項目を設定
HUAWEI WATCH Ultimateのダイビングモードは、レクリエーショナルダイビング、フリーダイビング、テクニカルダイビング、ゲージの4つ。レジャーのダイビングはレクリエーショナルダイビングになり、素潜りならフリーダイビング、40m以上の深海ダイビングはテクニカルダイビング、ゲージでは深度と潜水時間などの基本的なデータのみが表示されます。
ダイビングの前には、必要な項目の設定を行います。筆者はレクリエーショナルダイビングの設定から、ガス、水の種類、保守レベル、最大PO2、安全停止時間、通知、アラート、通知方法を入力しました。
レクリエーショナルダイビングの設定項目
- ガス…空気、酸素の割合が多いエンリッチド・エアの割合を選択
- 水の種類…海水、淡水、カスタムから選択
- 保守レベル…減圧計算の保守レベルのGF(Gradient Factors)値を設定。一般的に40/85
- 最大PO2…大気中に含まれる酸素の圧力を示す圧酸素分圧の上限を設定。一般的に1.40
- 安全停止時間…減圧症の予防のため水深5m台で停止する時間を3、4、5分から選択
- 通知…深度30m、潜水時間30分の時に通知ができる
- アラート…深度40m、潜水時間1時間で警告
- 通知方法…サウンドとバイブレーション、バイブ、サウンド、なしから選択
HUAWEI WATCH Ultimateを使って実際にダイビングしてみた
一般的なダイブコンピュータは、水中にエントリーすると自動的にダイビングモードが作動し、水中からエキジット(ダイビングを終え、海から上がること)すると動作を終了して時計モードに戻ります。HUAWEI WATCH Ultimateも自動で開始・終了できるのですが、その設定はデフォルトでは無効になっています。
自動開始・終了の設定は、アプリ一覧の「ワークアウト」から「ダイビング」に移動して、ダイビングモードの横にあるネジマークの「設定」から行います。自動開始を有効にすると、自動開始深度より深く潜ると、自動的にダイビングモードを開始します。
筆者はダイビング時にこの自動開始・終了の設定方法がわからなかったので、ダイビングモードから開始アイコンをタップしたり、ウォッチの下ボタンを押して、手動で起動させていました。そのため、うっかり起動を忘れてしまったことも。
おすすめは事前にしっかり自動開始・終了の設定をしておくこと。手動で行う場合は潜る準備を始める前に起動させておくと、うっかり忘れは防げると思います。
ダイブコンピュータの役目は、今の水深や潜水時間、今の水深にいられる時間を示すNDL(無限圧潜水時間)などを表示すること。HUAWEI WATCH Ultimateの場合は、右下ボタンを押したり、右上ボタンのクラウンを回したりすることで画面表示を変えられます。
目的の深度に到達すると、PO2(現在の深度における酸素のみの圧力)やCNS(高いPO2環境にいる時間)も表示。ダイビング中CNS値は増加し続け、PO2が増加するにつれてCNSの増加速度も上がります。
ダイビング時は、HUAWEI WATCH Ultimateを左手に、いつもの「SCUBAPRO」を右手に着けて、水深や潜水時間などに違いがないかを確認。両方共同じ数値を示していたので、安心して使えることを実感しました。画面には水温やコンパス、ストップウォッチも表示することができます。
ダイビング終了時には、水深6mまで上昇すると安全停止が始まったことを、サウンドとバイブ、ポップアップ表示で教えてくれます。水中でもちゃんとサウンドは聞こえ、手首にもしっかりと振動を感じました。
中でも画面の周囲に色が付いてカウントダウンしてくれるのは、残りの時間がどれくらいなのか視覚的にわかりやすかったです。安全停止時間が終了すると、同じようにサウンドとバイブ、ポップアップ表示がありました。
ダイビング中、上昇速度が早すぎる場合はアラートが表示されるのですが、今回のダイビングではアラートが表示されることはありませんでした。
ダイビングを終了して水面に戻ったら、上ボタンを長押ししてダイビングモードを終了させます。その後、ウォッチを真水で優しくすすいで、ショートカットメニューから「水分を排出」をタップすることで、ウォッチに入り込んだ水を排出。
ダイビング情報がアプリでより詳しくわかる
最近ではスマホと連携して、より詳しいダイビング情報が得られるダイブコンピュータも増えています。ただ筆者が使っているのはそのタイプではないので、ファーウェイの「ヘルスケア」アプリに表示されたダイビングのログにワクワクしました。特に自分がどのように潜ったのかがわかる深度のチャートが興味深かったです。
筆者のデータには安全停止のリマインダーしか表示されていませんが、ダイビング中、気になる箇所をウォッチの上ボタンの長押しでマークしておけば、より具体的な場所を記録可能。珍しい魚の住み家などをマークしておけば、次のダイビング時の目印にできそうです。
HUAWEI WATCH Ultimateはダイビングのほかにも100種類以上のワークアウトに対応しています。いつものウォッチ1つでウォーキングやランニング、ダイビングまでも楽しめることに万能さを感じました。
水中でも画面表示が見やすく、ボタン操作でいろいろなデータが手軽に確認できるのも便利。アプリで潜水深度や速度のチャートなど詳細データがわかるのも良いなと思いました。
ただ、さまざまなことができるウォッチだけに機能が多すぎて、最初の自動開始・終了を設定する方法がわかりにくいとも感じました。また、アプリでの運動記録が月ごとの表示なので、ワークアウトの種類ごとにまとめて見られるといいなと思います。
HUAWEI WATCH Ultimateは、通常使用で14日間使えるロングバッテリーなので、大瀬崎に充電器は持っていきませんでした。実際、ダイビングモードで2回記録した後のバッテリー残量は67%もありました。
大瀬崎から戻ってからも、充電せずに何日使えるか試したところ、ダイビングから5日後でも29%のバッテリー残量。通常利用はもちろんですが、ダイビングに使用しても1泊2日で4回のダイビングくらいなら、余裕でバッテリーが持つことでしょう。
今回、ダイビングでHUAWEI WATCH Ultimateを使ってみた感想はかなり好印象。ただ、48.5mm径と手首が細い人が着けるにはややサイズが大きいので、今後、小さめサイズやデザインのダイビング対応ウォッチの登場にも期待したいです。