エアドロ、と省略形で呼ばれることも多いiPhoneの定番機能「AirDrop(エアドロップ)」。近くのiPhoneユーザに向けて、写真やムービーなどのメディアファイルを送信するときに利用されます。セキュリティの関係上、原則として連絡先登録を済ませた人物が対象となりますが、「iPhone同士で直接1対1の通信」を行うことが最大の特長です。

AirDropは、BLE(Bluetooth LE)とWi-Fiのコンビネーションにより実現されます。付近にあるiPhoneの検出には低速ながら消費電力は少ないBLEを利用し、接続が確立できたら通信経路をWi-Fiに切り替え高速伝送する、という流れが基本です。そのため、ムービーのように数百メガバイトあるファイルでも、わずかな時間で相手のiPhoneに届きます。

しかし、AirDropでできることはファイル転送だけではありません。WEBページのアドレス(URL)のような短い情報や、住所などの連絡先データも扱えます。正確には、UIImageやNSStringなどアクティビティタイプとして定められたデータ種となりますが、ファイル以外も対象にできます。

そのAirDropは、iOS 17で機能が拡張されます。従来は相手のiPhoneがBLEの検出範囲から外れてしまうと、通信は強制終了されていましたが、2台のiPhoneともiCloudにサインインしていれば、インターネット経由で転送処理が継続されるようになります。

2台のiPhoneを近づけるだけで住所や電話番号などの連絡先データを転送できる新機能「NameDrop」も、AirDropの機構を利用しています。高速ファイル転送だけでなく、連絡先データのスピーディな交換にも役立つようになりますよ。

  • iOS 17の新機能「NameDrop」はAirDropの技術を利用しています