パナソニックは、テクニクス(Technics)ブランドの完全ワイヤレスイヤホン最上位機種「EAH-AZ80」を6月15日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭価格は36,600円前後を見込む。カラーはブラックとシルバーの2色。同日発売の「EAH-AZ60M2」は別記事で紹介する。
AZ80には、テクニクスの高級オーディオ機器開発で培った音響技術を活用。ドライバーは、従来の上位機「EAH-AZ60」で使っていたバイオセルロース振動板のものから、高剛性のアルミニウム振動板を用いた10mm径ダイナミック型ドライバーに変更している。
アルミニウム振動板は、テクニクスの高級有線イヤホン「EAH-TZ700」(2019年発売)でも採用しているもの。これにより、テクニクスが目指す「音に色付けしないきめ細かな再生と、広い音場感を実現した」という。
ドライバーの後端に空間と通気孔を設け、空気の流れを精密にコントロールしてリアルなボーカルや力強く正確な低音を再現するという「アコースティックコントロールチャンバー」と、ドライバーの前の空間形状を最適化して高域の伸びを改善する新開発の「ハーモナイザー」も備える。
ノイズキャンセリング機能は、“業界最高クラス”をうたう「デュアルハイブリッドノイズキャンセリング」を装備。外側のマイクで周囲のノイズを取り込んで大幅に減らすフィードフォワード方式ではデジタル制御、内側のマイクで取り込んだノイズを減らすフィードバック方式ではアナログ制御を採用し、両方を組み合わせることで高精度なノイズ低減処理を行う。EAH-AZ60と比較して、人の声や日常ノイズが含まれる中高音域のノイズキャンセリング」機能をさらに向上させた。
イヤホンを装着したまま周囲の音や人の声を聴けるアンビエント(外音取り込み)機能を搭載。周囲の音をそのまま拾い上げる「トランスペアレントモード」と、音楽を一時停止して、周囲の会話やアナウンスなど人の声に特化して周囲の音を取り込む「アテンションモード」を備える。フィード・フォワードマイク、フィルタ性能の向上により、高域の音がより聞き取りやすくなった。
通話機能には、パナソニック製電話機の開発ノウハウを活かしており、自分の声だけをクリアに相手に届けられるという、独自の通話音声処理技術「JustMyVoice」テクノロジーを引き続き採用している。
JustMyVoiceは、発話者の音声とそれ以外の音を区別しノイズを低減するビームフォーミング技術や、1秒間に15,000回以上音を分析するという音声解析技術などを組み合わせ、さらに発話者の音声帯域を抽出して声とそれ以外の音を的確に検知する技術も採用している。
具体的には、マイク本体に内蔵している通話用・通話用サブの2つのマイクを活用し、声とそれ以外の音を区別して通話ノイズを低減。さらに、発音検知マイクによって装着者の骨に伝わる声の振動を検知し、独自のアルゴリズムで発話者の声の帯域を特定する。
AZ80では新たに、風ノイズが入る環境下で、音声信号に発話検知マイクの音声を加えるようにした(以前は発話検知にのみ発話検知マイクを使用していた)。風ノイズ環境下での発話の明瞭度がアップするという。このほか、発話音声解析アルゴリズムを見直すことで音声の“こもり感”も改善している。
対応コーデックはSBC、AAC、LDAC。業界初となる、3台の機器との同時接続機能「3台マルチポイント接続」に新たに対応した。業務用のスマホと私物のスマホ、タブレットやPCなど、複数のデバイスを同時に使っているときにシームレスに切り替えできるとする。なお、デフォルト設定は2台の設定になっており、3台マルチポイント接続を利用するには専用アプリからの設定変更が必要だ。また、3台接続時はLDACは利用できない。
イヤホン本体は、従来のEAH-AZ60のしずく型から「コンチャフィット形状」に変更。これまでイヤホンの両端で耳を圧迫する力によって支えていたのに対し、EAH-AZ80は、イヤホン下側にふくらみをつくり、耳甲介に収まる形状とした。耳を圧迫する力に頼らずに安定させられるため、長時間装着していても疲れにくくなったとする。
イヤホン単体の連続再生時間は約7時間(ANCオン)、充電ケース込みで約24時間。ケースはUSB-C充電と、Qi対応ワイヤレス充電に対応する(ワイヤレス充電パッドは別売)。イヤホン本体はIPX4相当の防滴仕様。
イヤホンの重さは片側7g。付属のシリコン製イヤーピースは、周辺部と中心部で硬さを変え、高いフィット感と遮音性を両立させたものを採用しており、XS1/XS2とS1/S2、M/L/XLの計7サイズを用意する。