◆PCMark 10 v2.1.2600(グラフ64~69)

PCMark 10 v2.1.2600
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/pcmark10

  • グラフ64

  • グラフ65

  • グラフ66

  • グラフ67

  • グラフ68

  • グラフ69

一応ちゃんと2Dアプリケーションも使える、という確認のためにPCMark 10も実施してみたが、御覧の通り全く問題ない、という結果である。ところで冒頭のスライドではOpenCLを使ったエンコードが高速になるとか説明していたが、実際OpenCL周りはどうか? ということで、PCMark 10のテストの中でOpenCLを利用するテスト結果を抜き出したのが表2である。単位はsecで、要するにその処理を行うための時間なので、短いほど高速ということになる。

■表2
Test Group Test RTX 3060 RX 6600 RX 7600
VideoConferencing EncodePrivate 21.10 21.05 21.00
DetectPrivate 105.07 322.35 313.33
PlayPrivate 29.86 29.87 30.00
EncodeGroup 21.04 21.10 21.05
DetectGroup 31.07 137.59 145.80
PlayGroup 29.92 29.88 29.94
Spreadsheet MonteCarlo 1.69 1.36 1.38
EnergyMarket 1.17 0.84 0.96
PhotoEditing Unsharp2 1.53 0.68 0.77
Contrast 1.74 1.48 1.30
Denoise 1.17 0.32 0.31
Batch 4.87 3.20 2.68
VideoEditing Downscale 476.50 449.50 447.00
Deshake 161.50 157.50 156.50

ということで比較して見ると、Video Conferencingに関して言えばGeForce RTX 3060が最高速で、Detection(テレビ会議で顔の位置を認識する)がRadeon RX 6600/7600に比べて3~5倍高速である。逆にSpreadsheetとかPhotoEditingのDenoiseなどではRadeon RX 6600/7600の方が圧倒的に高速だし、Unsharpingなども結構性能差がある。

ではRadeon RX 6600とRadeon RX 7600では? というと、明確に違うのはPhotoEditingのBatchくらいのもので、あとは大きな違いはない(VideoConferencingのDetectGroupなど、Radeon RX 6600の方がやや高速である)感じで、言うほど違いが無いという気がする。勿論このあたりは使うアプリケーションによって差があるだろうが、ただOpenCLを本気で使うなら、もう少しCU数の大きい上位のビデオカードを使うべきだと筆者は考えて居るので、このグレードの製品でそこまで気にすることは無いだろうと思う。

◆消費電力測定(グラフ70~76)

最後に消費電力測定である。今回は解像度2K、DLSS/FSRは全て無効化という状況で、3DMark SpeedWay(グラフ70)、CyberPunk 2077(グラフ71)、Hitman 3(グラフ72)、Metro Exodus:PC Enhanced Edition(グラフ73)、Watch Dogs:Legion(グラフ74)の5つについて実行中の消費電力変動と、ベンチマーク中の平均消費電力(グラフ75)、及び待機時との消費電力の差(グラフ76)を示してみた。

  • グラフ70

  • グラフ71

  • グラフ72

  • グラフ73

  • グラフ74

  • グラフ75

  • グラフ76

確かにスペック通り、Radeon RX 7600はRadeon RX 6600に比べると50W前後の消費電力増加が見られる。ボードそのもののTBDの差は30Wだが、これは要するにGPU性能が上がった事でGPUネックになる可能性が減り、結果CPUとかメモリの稼働率も上がり、その分消費電力が上乗せになった、という事と考えられる。ただそれでもWatch Dogs:Legionを例外としてGeForce RTX 3060よりも消費電力は少なく、また待機時の消費電力は一番低いというあたりは、間違いなく性能/消費電力比は向上している。純粋に性能/消費電力比だけを問題にすればRadeon RX 6600の方が良い場面もあるが、もうRadeon RX 6600では2Kでも厳しい場面がある事を考えると、若干の性能/消費電力比の悪化で大幅な性能の上乗せが期待できるRadeon RX 7600は十分に良い選択肢と見なして良いかと思う。

考察

絶対性能は申し分ない。確かに8GBというメモリ容量は、2.5K以上のゲームを遊ぶには厳しい(今回も幾つかのベンチマークがこの8GBの限界にぶち当たった)ので、2Kまで(それ以上はFSRを併用)という縛りは付くが、その範囲で遊べれば十分という人にはRadeon RX 7600は非常に良い製品に仕上がったとしても良いかと思う。

しかも何しろ価格が安い。たったの$269である。Radeon RX 6600の売り出し価格より安いのに、これだけ性能が上がるのはもう申し分ない。まだ日本での発売価格はこの原稿執筆時点では未公開なのでなんとも言えないが、Ryzen 7 7800X3Dの時の換算レートが\160/$程度だったので、\43,800とかだろうか? 日本円での価格がどうなるか次第だが、おそらく5万円を大きく切ってこの性能は素晴らしい、の一言に尽きる。

ちなみに今回筆者は担当しないが、NVIDIAはこのRadeon RX 7600の対抗馬としてGeForce RTX 4060 Tiを用意するらしい。恐らく性能で上回る(こちらは最大16GBのSKUもあるらしい)のだろうが、価格もその分上がるだろう。どうもこの記事が公開される「前」に、GeForce RTX 4060 Tiが発表されるらしいのだが、絶対性能はともかくこの性能/価格比に勝てるのだろうか?

■参考記事(2023/05/23掲載):
「GeForce RTX 4060 Ti」(8GB版)の実力を徹底検証 - RTX 3070と同クラスで圧倒的な省電力!
https://news.mynavi.jp/article/20230523-2685984/