英Nothing Technologyのカール・ペイCEOは5月18日、自身のTwitterにおいて、同社の次期スマートフォン「Nothing Phone (2)」のSoCとしてクアルコムの「Snapdragon 8+ Gen 1」を採用することを明かし、その理由を説明した。

  • Nothing Phone (1)

    Nothing Phone (1)

2022年に同社初のスマートフォンとして発売された「Nothing Phone (1)」ではミドルハイ向けのSoCである「Snapdragon 778G+」を採用していたが、次期モデルではハイエンドSoCにグレードアップされる。Phone (1)との比較でアプリの起動速度は2倍、全体的なパフォーマンスは80%向上するという。また、SoCに内包されるISP(画像信号プロセッサ)の性能も格段に上がるため、Phone (2)では4K 60fpsでの動画撮影にも対応できるとする(現行機は30fps)。

Snapdragon 8+ Gen 1の採用は、より高速なCPU・GPUの搭載を望んでいたユーザーにとっては朗報といえる一方、高性能化をアピールしながら最新ではなく一世代前のSoCをあえて採用するのは珍しい選択でもあり、カール・ペイ氏の一連のツイートではその点を掘り下げて説明されている。

  • Nothing Phone (2)はSnapdragon 8+ Gen 1を搭載予定

    Nothing Phone (2)はSnapdragon 8+ Gen 1を搭載予定

同氏はSnapdragon 8+ Gen 1を選んだ理由として「TSMCの4nmプロセスで製造されており、消費電力と熱管理に関してはハイエンドSoCとしては最高レベルであること」「1年前に登場したSoCであり、徹底的なテストや最適化が済んでいること」などを挙げ、「私たちはスペック競争でトップになることよりもユーザーエクスペリエンスを優先する」とブランドとしての姿勢を語った。

最新技術にこだわることは、時にユーザーの実益を考えると必ずしも正当化できる範囲のコストに収まらないことがあるとも打ち明けており、合理的な価格とのバランスを考慮した結果、最新の「Snapdragon 8 Gen 2」を候補から外してコストを抑えつつ、先代との比較では大幅に性能を高められる少し前のハイエンドSoCを採用するという結論に至ったようだ。

氏の発言にある「TSMCの4nmプロセスだから」という部分について補足しておくと、Snapdragon 8 Gen 1とマイナーチェンジ版のSnapdragon 8+ Gen 1はいずれも4nmプロセスではあるが、前者はサムスン製、後者はTSMC製に切り替わっており、8+ Gen 1へのマイナーチェンジで発熱や電力消費の問題が多少改善されたのではないかという意見も多い。後発のSnapdragon 8 Gen 2も同じくTSMC 4nmであるため、Nothingでは8+ Gen 1と8 Gen 2だけでなく、(TSMC製ではない)8 Gen 1も含めて比較検討した結果として8+ Gen 1を選んだと推察できる。