米Googleは5月10日(現地時間)、開発者カンファレンスGoogle I/Oで、「Generative AI wallpaper」、「Magic Compose」、「Immersive View for routes」、「Magic Editor」など、今後Androidで利用できるようにする予定の新機能を披露した。生成AIも組み合わせたAI技術を活用しており、「Google AIをエンジンとする最も表現力豊かなOS」とアピールしていた。

Googleは2年前にMaterial Youを導入し、ユーザーが選択した壁紙に基づいた統一感のあるカラーでAndroid全体をパーソナライズできるようにした。この秋に「Generative AI wallpaper」で生成AIを用いてオリジナルの壁紙を作成し、それを壁紙に設定できるようになる。

デモではベースになるテーマを選び、表示されるプロンプトの提案から自分のイメージに合う言葉を選んで壁紙の画像を生成した。タップのみの操作でプロンプトを入力することなく完成したが、言葉から画像を生成するtext-to-image diffusionモデルを用いた機能だ。

また、写真から立体感のあるシネマティック画像の壁紙を生成する「Cinematic wallpaper」、ユーザーが選択した絵文字の組み合わせから壁紙を生成する「Emoji wallpaper」といった壁紙のカスタマイズ機能も提供する。これらは6月にPixelデバイスから利用できるようにする予定。

  • 「Emoji wallpaper」と「Cinematic wallpaper」

    「Emoji wallpaper」と「Cinematic wallpaper」

他にも、「Android 14」で、ロック画面の時計のカスタマイズ、よく使う機能にロック画面から直接アクセスできるショートカットのカスタマイズ、モノクローム・テーマといったパーソナライズ機能を提供する。

  • ロック画面の時計のカスタマイズ

    ロック画面の時計のカスタマイズ

「Magic Compose」は「メッセージ」アプリで利用できる生成AI技術を用いた新しい入力支援機能だ。メッセージの内容に基づいてメッセージ文を提案してもらったり、ユーザーが指定したトーンで作成を依頼できる。例えば、「Wanna grab dinner?」(夕食を食べに行かない?)というように入力し、「Excited」(積極的)、「Chill」(まったり)、「Shakespere」(シェイクスピアのように)、「Lyrical」(叙情的に)といった提案からトーンを選ぶと、その調子をとり入れた個性的なメッセージをいくつか提案してくれる(例:”Exceited”なら「Hungry?😋Lets get dinner!!」など)。Magic Composeは夏のベータ提供開始を予定している。

今年2月に東京を含む複数の都市で利用できるようになった「Immersive View」(イマーシブビュー)。ストリートビューで用いられている何十億もの写真と航空写真を組み合わせて作成したデジタルモデルによるリアルな街並みを自由に移動し、没入感のある体験で街を探索できる。そのイマーシブビューを散策だけではなく、ルート検索で利用できるようになる。ルートを調べるだけではなく、自転車専用レーンや歩道、交差点、駐車場などの様子を確かめたり、タイムスライダーを使って天候の変化の影響や特定の時間帯の交通量などを事前に把握できるという。

Immersive View for routesは今後数カ月中に、東京、アムステルダム、ベルリン、ダブリン、フィレンツェ、ラスベガス、ロンドン、ロサンゼルス、ニューヨーク、マイアミ、パリ、シアトル、サンフランシスコ、サンノゼ、ベニスなどでロールアウトを開始する予定。

Googleは近年、写真に写り込んでしまった人や物を消す「Magic Eraser」(消しゴムマジック)、ピンボケ写真を鮮明に修正する「Photo Unblur」(ボケ補正)などAIを活用したコンピュテーショナルフォト機能に力を入れている。Google I/Oでは、生成AIを組み合わせたAI技術によって写真を再構築するような編集を可能にする「Magic Editor」のスニークピークを行った。

下の例は、オフセンターに写ってしまった子供を中心に移動させる編集のデモ。子供を選んで写真の中心に移すと、オリジナル写真では写っていない風船の左側が生成AI技術によって自動的に作成された。そして空を選択し、鮮やかな晴天に整えた。被写体、空、背景など、画像の特定の部分を選択する簡単な作業で、あとはAI任せで高度な編集を完了できる。Magic Editorは今年後半に一部のPixelスマートフォンで早期アクセスを開始する予定。

  • Magic Eraserのデモ

    フレーミングが少しずれて残念な写真を、「Magic Editor」を使って完璧な一枚に整える

Android 14 Beta 2

Google I/Oの開催にあわせて、開発中のAndroidの次期版「Android 14」のBeta 2が公開された。

Ultra HDR画像をサポートし、対応機器で10bit圧縮の静止画キャプチャが可能。また、カメラ拡張機能のアップグレードと改善によって、より長時間の処理時間が可能になり、対応するデバイスでは低照度撮影など計算量が多いアルゴリズムを使用できる。グラフィック関連ではCanvasレイヤーから高度なGPU機能を利用できるようになり、オーディオ関連ではUSB有線ヘッドセットでのロスレスオーディオのサポートが追加された。

Beta 2はインストールできるデバイスが拡大され、Google Pixelのほか、iQOO、Lenovo、Nothing、OnePlus、OPPO、realme、TECNO、vivo、Xiaomiのデバイスでも利用できる。Android 14の開発は、6月にリリース予定のBeta 3から最終リリースに向けた「Platform Stability」に入る。

  • Android 14はUltra HDRをサポート

    Android 14はUltra HDRをサポート