久しぶりに行動制限のない大型連休。お天気にもだいたい恵まれ、お出かけ予定の方も多いのではないでしょうか。でも1〜2日くらいは家でゆっくりしたいですよね。そんな時にちょうどいいボリューム感のApple TV+ 作品をピックアップしました。どれもクオリティ的に「ガッカリ」はないはず。見る作品に迷っていたら、ご参考にどうぞ!

好きですよね? ぐうたらなおっさんが実は切れ者なやつ『窓際のスパイ』

『窓際のスパイ』シーズン1・2

<スタッフ>
原作:ミック・ヘロン
製作総指揮:グレアム・ヨスト/ジェームズ・ホーズ/ウィル・スミス
監督:ジェームズ・ホーズ
<出演者>
ジャクソン・ラム:ゲイリー・オールドマン
リバー・カートライト:ジャック・ロウデン
ダイアナ・タヴァナー:クリスティン・スコット・トーマス
シドニー・ベイカー:オリヴィア・クック
キャサリン・スタンディッシュ:サスキア・リーヴス 他

英国の国内治安維持を担当する情報機関MI5、の落ちこぼれ部隊「スラウハウス(泥沼の家)」。若き部員リバー・カートライト(ジャック・ロウデン)は、失敗を理由にここへ左遷され、飼い殺しの日々を送っています。上司は、くたびれたシャツに穴の空いた靴下、小汚い事務所のソファで酒を飲んで寝ているうだつの上がらないおじさん、ジャクソン・ラム。ですが、彼がただ者なワケはないってことはすぐにわかります。スパイものの昼行燈(ひるあんどん)は大体要注意人物ですし、何よりゲイリー・オールドマンですから。

カートライトは、本部復帰のために何とか手柄を立てようと勝手にある人質事件を追いはじめます。しかし、その事件には裏があり、たどって行くとカートライト本人が知らないうちに関わっていた組織内の秘密が……。

メンバーたちのデコボコ感と連携、泥臭い現場のアクションとザラザラした上層部の駆け引きなど、折り重なる対比が物語に緊張感をもたらします。中でも注目は、カートライトとラムの関係です。若さと老成、正義感とニヒル、本部に戻りたいカートライトと諦めさせたいラム。全編にわたってあらゆる会話が皮肉っぽいからこそ、時々真意がチラ見えするのが面白いところ。わかりやすすぎるエンタメにはない刺激を楽しめます。

現在シーズン2まで公開中で、各6話(1話45分前後)なので、詰め込みすぎない一気見に最適なボリューム感です。

半日で生き方を見つめ直すなら『ビッグ・ドア・プライズ〜人生の可能性、教えます』

『ビッグ・ドア・プライズ〜人生の可能性、教えます』

<スタッフ>
監督:モリー・マクグリン/デクラン・ローニー/アヌ・バリア
製作総指揮/脚本:デヴィッド・ウェスト・リード
<出演者>
ダスティ:クリス・オダウド
キャス:ガブリエル・デニス
トリーナ:ジュリエット・アマラ
ルーベン神父:デイモン・ガプトン
リジー:クリスタル・R・フォックス
ジェイコブ:サミー・フルラス 他

ある日、小さな町の商店に忽然と現れた謎の機械「モルフォ」。2ドルを入れて、社会保障番号と指紋を入力したら、小さな青いカードで「その人の真の可能性」を教えてくれるというもの。平凡ながら幸せな生活を送っていた高校教師のダスティ(クリス・オダウド)は、初めは懐疑的に思うものの、徐々にモルフォのことが頭から離れなくなります。周囲の人々が“可能性”を知ることでどんどん変わって行く様子を目の当たりにし、ついに……。

第1話でダスティが初めてモルフォを見るのは、自分の40歳の誕生日です。「不惑」という言葉がある通り、一般的には自分の道に惑う年齢ではありません。しかし、ダスティの身近な人たちは、次々に思い切った行動に出て人生を変え始めます。もし「あなたの真の可能性は○○です」と誰かに言われたら、それを気にせずにいられるでしょうか。

極端なことはしなくても、人に言われたことがきっかけで何かしら行動を変えた経験は誰にでもあるのではないでしょうか。その積み重ねが今の自分を作っているのだとしたら、行動を変えて本当の可能性に近づくことは、誰にでも、何歳になっても、可能なはずです。

そんな中、ダスティに突きつけられたのはある意味衝撃の“可能性”。一方で、妻のキャス(ガブリエル・デニス)には解釈に困る結果が……。平凡に見えていた(だけどどこか不自然な)小さな町の中で、人々が抱えるいろいろなモノが、「モルフォ」によって噴出しはじめます。コメディタッチで重くなりすぎず、かつ人間性にザクザクとスコップを差し込み続けるパワフルさが刺さります。

現在、シーズン1の第8話まで公開中(全10話、毎週水曜日公開)。1話30分前後なので、半日あれば視聴可能なお手軽シリーズです。シーズン2の制作が決まっています。

ディストピアSFの密室世界、大人気小説が待望の映像化『サイロ』

『サイロ』

<スタッフ>
原作:ヒュー・ハウィー
製作総指揮:レベッカ・ファーガソン/グレアム・ヨスト/ヒュー・ハウィー 他
監督:モルテン・ティルドゥム
脚本:グレアム・ヨスト
<出演者>
ジュリエット:レベッカ・ファーガソン
ホルストン:デヴィッド・オイェロウ
シムズ:コモン
マーサ・ウォーカー:ハリエット・ウォルター
ビリングス:チナザ・ウチェ
ルーカス:アヴィ・ナッシュ
アリソン:ラシダ・ジョーンズ
バーナード・ホランド:ティム・ロビンス

5月5日(金)より、新たに注目のドラマシリーズ『サイロ』が配信開始となります。原作は世界的なベストセラー小説ヒュー・ハウィー著『WOOL』(上下巻/日本語訳:雨海 弘美)から始まる「サイロ」三部作。主演は『ミッション:インポッシブル』シリーズなどで知られるレベッカ・ファーガソン、監督は『イミテーション・ゲーム』でアカデミー賞にノミネートされたモーテン・ティルダムです。原作者のヒュー・ハウィーは、エグゼクティブ・プロデューサーにも名を連ねています。

舞台は終末後の世界。いつからか、わずかに残された人類は深さ1マイルにもなる“地下サイロ”を最後の住処とし、“ルール”を守って生き延びてきました。それは「外に出たい」と言わないこと。外に出るのは、罪人=外界を映し出すレンズを磨く「清掃人」のみ。しかし、その清掃人が生きて戻ることはなく——。

この作品が描くディストピアは、地下深くにつながるサイロという閉鎖空間。そこで起きる事件は、いわばすべてが密室劇です。SFダークフューチャーを舞台にしながらミステリ要素も強く、連続ドラマにはもってこいの原作と言えるでしょう。独自の世界観がどう描かれるのか、ビジュアル面にも注目したい作品です。

5月5日には一気にエピソード3まで配信され、その後は毎週金曜日に1話ずつ配信されます。来週を楽しみにして連休を終えられる、かもしれません。