3月24日に発売されたスマートウォッチ「Amazfit GTR Mini(アマズフィット ジーティーアール ミニ)」を試用してみました。

価格は19,800円と手頃。筐体の一部にはステンレススチールも使われており、外観が洗練されていることもポイント。機能も豊富で、バッテリー持ちも12日間あるなど、コストパフォーマンスに優れた印象も受けます。本稿では、Amazfit GTR Miniを使ったうえでのインプレッションをお届けします。

  • Amazfit GTR Mini。写真のカラーはミッドナイトブラック

円形ディスプレイ&ステンレス、お値段以上の高級感

Amazfit GTR Miniは、直径1.28インチの円形ディスプレイを備えています。円形ディスプレイを備えたモデルは、Amazfitシリーズとしても初めてではありません。しかし、廉価帯の製品でありながら、ミニマルで洗練されたデザインに整っているのは、Amazfitシリーズでも珍しいところ。従来モデルのなかでは、すでに販売終了になっている「Amazfit GTR 2e」などが近いでしょうか。

  • 「Amazfit GTR Mini」。Amazfitシリーズの価帯モデルではApple Watchのような四角のディスプレイが多かったですが、本機は円形ディスプレイを採用。画素密度は326ppi。カラーは「ミッドナイトブラック」「ミスティピンク」「オーシャンブルー」の3色が用意されています(写真はミッドナイトブラック)。文字盤はアプリから変更できます

ディスプレイには、2.5D強化ガラスが使われているほか、指紋防止コーティングも施されています。筆者が試用した範囲では、うっかり固いものにぶつけたりしても傷は付きませんでした。例えば、自動販売機の取り口に、ウォッチを装着した手を入れても、問題ありません。防水性能も5ATMをサポートしており、雨天での使用も心配ありません。

筐体側面にはステンレススチールが使われていることも特徴。そのため、外観は2万円弱の製品とは思えない高級感があります。側面には、2時位置にリューズが一つあるだけ。そのほかのボタンは用意されていません。

  • 側面にはステンレススチールが使われていて、2時位置にリューズがあります。リューズにはロゴマークも。また、ディスプレイ面から側面、そして裏面にかけて、指の腹でなぞっても、目立った引っ掛かりがないことも好印象でした

一方で、肌に触れる面は、ステンレススチールではなく、プラスチックが使われています。金属が肌に触れるのが心配という人でも安心して使えるでしょう。

  • 裏面には、心拍センサー(BioTracker 3.0PPGバイオメトリックセンサー)を搭載。肌に触れる面はプラスチックやガラスが中心に使われていると思われます。ケースの肌触りはとても滑らかです

ストラップバンドには、シリコン素材が使われています。バンドの肌触りや装着感の質は中程度くらいですが、不快感はそこまで感じませんでした。バックルはピン式です。ただし、ワークアウト用に少しキツく締めて、そのままにしておくと腕に跡が残ります。長時間快適に使うには、小まめな微調整が必要になるでしょう。

  • バンドはピンバックル式で、装着時の外観もスッキリしています。ただ、バンドはそこそこ柔らかいものの、ハイエンド帯の製品と比べると少し硬さも残ります。ワークアウト向けにピッタリ装着したままだと跡が残りやすいです。日常使用では少し緩めが良いでしょう

基本的な機能は? 活動量計メインで使いたい人向き

Amazfit GTR Miniは、「Zepp」アプリを介して、スマートフォンと連携します。この点は、従来シリーズ通りです。

  • 「Zepp」アプリの画面。詳細は省きますが、プロフィール欄の「デバイスを追加」から「腕時計」を選んで、初期設定を進めます

ワークアウトの計測や、心拍数、睡眠などの測定、アラームなど、基本的な機能は一通り備わっているので、活動量計としての運用を中心に考えている人ならば、十分に満足できるでしょう。

  • 複数の指標をまとめて計測できるメニューが便利。また、24時間の、血中酸素レベル測定/心拍数モニタリング/ストレスモニタリングなどにも対応しています

  • ワークアウト中の画面イメージ。なお、ウォーキングやジョギングの計測中に表示される消費カロリーは、筆者が普段使っているApple Watchのそれと比べると少し多めに表示されている印象を受けました

  • 日々の運動量は「PAI」の数値の管理によって、維持する仕組み。最初はとっつきにくいが、ルールさえ理解すれば合理的です。なお、VO2Maxや完全回復時間の表示などにも対応しています

ちなみに、新機能としては、Zeppアプリからポートレート写真をウォッチフェイスに登録できる機能も追加されています。ただ、筆者としては、使う機会はなさそうです。

  • ウォッチフェイス機能を使うには、Zeppアプリの「プロフィール」タブから「Amazfit GTR Mini」を選び、「文字盤」→「Portrait」欄の「今すぐ使う」をタップ。そこからポートレート写真を選択すればOKです

使っていてよかったところ・イマイチだったところ

Amazfit GTR Miniを数週間試用してみて気になったのは、たまにアプリ起動の反応が鈍くなったことです。

例えば、同機のリューズを押すと、アプリアイコンの一覧画面が表示されます。このUIは非常に見やすいです。しかし、アプリアイコンをタップしてから、アプリが表示されるまでのスピードが、サクサク動くときもあれば、もっさり感じるときもありました。この点は価格相応の体験かなと思いました。

  • アプリ一覧のUIは見やすかったです

一方、良かったと感じたのは、3点あります。1つ目は先述したようなデザインの良さです。2万円台でこの外観はやはり魅力的です。

2つ目は、バッテリー持ちです。仕様には省電力モードで最大20日間、通常使用で最大14日間、ハードな使用で7日間と記されていますが、筆者のライフスタイルでちょこちょこワークアウトをしながら使った感じでも、7~10日間はバッテリーが持ちました。充電管理は楽ですね。

  • 充電は、専用の充電器をマグネットでウォッチ背面に装着して行います

3つ目は、睡眠の計測データが、アプリから見やすかったこと。睡眠の深さが波線の形で細かく表示されるので、変化を詳細に追えているのがよかったです。ウォッチの形状的に角や突起も少なく、安心して睡眠計測に使えることも嬉しいところ。

  • Zeppアプリから睡眠を記録したグラフを表示した様子。お手洗いに行ったタイミングもしっかり記録されていた。バッテリー持ちも良いので、睡眠を含めてライフログに使うには、適しているデバイスだと思います

  • 朝にはモーニングアップデートとして、その日の天気や、前日の目標達成状況なども通知してくれる

以上のように、処理性能やバンドの装着感など、価格相応に感じるタイミングがゼロというわけではありませんでしたが、同時に通常使用でさほど気になるほどでもありませんでした。むしろ洗練されたデザイン性や、豊富な機能性、長いバッテリー寿命を兼ね備えて約2万円という価格はかなり魅力。コストパフォーマンスの良さではぜひ注目しておきたい一台だと思います。