PACI Study(乳児アトピー性皮膚炎への早期介入による食物アレルギー発症予防研究/多施設共同評価者盲検ランダム化介入並行群間比較試験)は、全国の16施設で実施された。なお、少なくとも28日間持続する、または断続的な、かゆみのあるぶつぶつがあり、UK working partyのアトピー性皮膚炎診断基準を満たした、生後7週~13週までの赤ちゃんが研究対象とされた。

この研究では、研究対象を、アトピー性皮膚炎に対して積極的な治療を行う群(318人)と、標準的な治療を行う群(322人)にランダムに分けて治療を実施し、生後28週時点での鶏卵アレルギーの有無が調べられた。

積極的治療としては、早期から全身にステロイド外用薬を使って湿疹をなくす治療方法が取られ、湿疹がない部位にも同時にステロイド外用薬が塗布された。これは目には見えない無症状な炎症があり、湿疹部だけの塗布では、湿疹のない部分から新たな湿疹が出現し寛解状態の実現が困難となる患者が多いという、プロアクティブ療法の経験に基づいたものだとする。

  • PACI Studyの流れ

    PACI Studyの流れ(出所:NCCHDプレスリリースPDF)

一方の標準的治療は、アトピー性皮膚炎診療ガイドラインに基づいて、湿疹が出た時にステロイド外用薬を使って治療する方法。1日2回、毎日保湿剤を塗り、湿疹が出た場合は重症度に合わせて湿疹部位にステロイド外用薬を塗る追加治療を行うというものである。

そして研究チームは、食物アレルギーの発症リスクが高い、乳児期早期発症のアトピー性皮膚炎の赤ちゃんに対する早期の積極的治療が、食物アレルギーの発症を予防することが世界で初めて実証されたとし、積極的治療は、目に見える湿疹部位のみを対象とした従来法と比較して、生後28週時点における鶏卵アレルギー発症の有病率を25%減らすことができたとしている。

今回の研究により、二重抗原曝露仮説が示唆するように、乳児期のアトピー性皮膚炎の発症早期からの速やかな治療開始と、湿疹ゼロを目標とした治療強化により、アトピー性皮膚炎と関連性の高い食物アレルギーの発症を予防できることが実証された。

なお今回は、早期積極群で6名成長障害での入院例がいたこと(全員点滴などはなく栄養指導のみで改善)、因果関係は不明だったが早期積極群が標準群と比較して体重や身長の平均が低かったという。そのため、今回の研究で行われた介入方法をそのまま実臨床で行うのではなく、患者の症状や重症度などに合わせて、適切な強さのステロイド外用薬の選択を行い、患者ごとにステロイド外用薬の使用期間と減量のスケジュールを組み立てて副作用を回避しながら、湿疹ゼロの状態を実現・維持していくことが求められるとしている。