ヤマハは、ライブ演奏やイベントをはじめ、中・小規模のプレゼンテーション、自宅でのレコーディングなど幅広い用途に対応するデジタルミキシングコンソール「DM3」「DM3 Standard」を発表した。「DM3」の発売は2023年9月、「DM3 Standard」は2023年4月の発売を予定しており、市場想定売価は「DM3」が28万6,000円、「DM3 Standard」は23万1,000円となる模様。

  • デジタルミキシングコンソール「DM3/DM3 Standard」

今回発売となる「DM3」と「DM3 Standard」は、ライブ演奏やイベントをはじめ、中・小規模のプレゼンテーション、自宅でのレコーディングなど幅広い用途に対応する軽量なデジタルミキシングコンソール。最大96kHzのサンプリングレートに対応し、アナログ16入力・8出力とUSB端子を装備。入力音声のミキシング後、配信ソフトを起動したPCへ直接出力できる。オーディオルーティングは、ステレオやマトリクスなど自由度を高めており、現場用と配信用の音声を分けてのミキシングも行える。音声の入出力パッチは自由に変更可能となっており、場所・場面に合わせた細かな変更にも対応するので、イベントの準備が終わった後などでも簡単に修正できる。「DM3」と「DM3 Standard」の違いはオーディオネットワーク規格「Dante」に対応しているかどうかだけで、「DM3 Standard」の「Dante」非対応以外の仕様は同位置となっている。「DM3」については、2023年9月発売予定のI/Oラック「Tio1608-D2」と組み合わせることで、シンプルかつ高速なシステムの構築が可能となる(「Tio1608-D2」の市場想定売価は2023年4月7日時点では不明)。

  • I/Oラック「Tio1608-D2」

ヤマハのミキサーでは初となる「REV HD」「REV R3」を含む18種類のエフェクトを内蔵した2基のマルチエフェクトプロセッサーを搭載し。操作は、マルチタッチコントロールを備えた9インチのタッチスクリーンを中心に、1つのタッチ&ターンノブで行える。さらに、マイクメーカーやインイヤーモニターメーカー、サウンドエンジニアと協業して多様なマイク・出力機器に最適化したチャンネルプリセット「QuickPro Presets」を採用。「QuickPro Presets」は、各チャンネルのゲインやEQなどのミキシングパラメーターだけでなく、チャンネルネー/カラーの設定なども含んでいる。入力チャンネルには、ボーカル用からドラムセットまで200種類以上のプリセットを用意し、出力チャンネルには、様々なスピーカーやモニターヘッドホン/イヤホンに対応したプリセットを備えている。

他のDAW(デジタルオーディオワークステーション)と組み合わせて使用する際は、音量調整や再生、停止などの操作を本機のフェーダーやボタンを物理的なコントローラーとして利用できる。また、モニターレベルをフェーダーでコントロール可能で、正確なミックスバランスの確認が行える。カスタムフェーダー機能を使えば、モニターレベルのコントロールを割り当てたり、ソースを切り替えて個別に音量調整したりすることも可能となっている。 USB to Hostによるマルチトラックレコーディングに対応するほか、前面のUSBコネクターにUSBデバイスを接続することでシンプルな2トラックレコーディングにも対応する。なお、「DM3」は「Dante Virtual Soundcard」(別売)を使用したマルチトラックレコーディング機能にも対応する。適正なゲイン設定を視覚的にサポートする「GainFinder」や、複数のパラメーターを1つのノブでコントロールできる「1-knob COMP」「1-knob EQ」などセットアップの時間短縮をサポートする機能も搭載。

各種アプリケーションも用意しており、Steinberg の音楽制作ソフトウェア「Cubase AI(Windows/Mac用)」が付属するほか、本番前にある程度の設定を施しておけるWindows/Mac対応の「DM3 Editor」や、ステージ上などから遠隔操作ができるiPad向けの「DM3 StageMix」、出演者ごとにモニターを調整可能なiOS/Android端末用の「MonitorMix」などが利用できる。iPad以外での遠隔操作も行え、本体がソフトウェア「ProVisionaire」に対応しているので、設置場所のモニタリングのニーズに合わせてコントロールパネルを作成できる。また、汎用通信プロトコルであるOSC(Ethernet経由)、MIDI(USB経由)にも対応しているため、状況に応じた遠隔操作が行える。

  • ラックマウント用アクセサリー「RK-DM3」を使用することで19インチラックに13Uで設置できる

オプションとして前述のI/Oラック「Tio1608-D2」とラックマウント用アクセサリー「RK-DM3」を用意。「Tio1608-D2」は、16マイク/ライン入力、8ライン出力を装備。「Quick Config」により、「DM3」や「TFシリーズ」から素早くゲインの設定ができる。96kHzの音声伝送にも対応しているので、デジタルミキシングシステム「RIVAGE PMシリーズ」やシグナルプロセッサー「DME7」と組み合わせて大型の設備音響で使用することも可能。「RK-DM3」は、装着することで、19インチラックに13Uで設置できるようにするラックマウント用のアダプター。2023年5月の発売予定で市場想定売価は1万6,500円。

サイズ/質量はともにW320×H140×D455mm/6.5kgとなっている。本体のほか、電源アダプター、先述した「Cubase AI」のダウンロードインフォーメーションなどが付属する。