Windows Insider Programに新たな配信チャネルが加わった。Canaryチャネルだ。これにより、従来のDevチャネルに相当して実験的要素が強いCanaryチャネル、公式ブログの表現を借りれば「ゼロから再起動した」というDevチャネル、安定性を優先したベータチャネル、リリース直前の広範囲な検証を目的するリリースプレビューチャネル、以上4つの選択肢が用意された。

  • Windows Insider Programのチャネル設定

もう少し公式ブログの説明を引用すると、Canaryチャネルは高度な技術を持つユーザー向けに、開発サイクルの早い段階で最新のプラットフォーム変更を展開する。と同時に、不安定になる可能性も含む。最新の開発ビルドという位置付けだ。

従来の最新開発ビルドだったDevチャネルは、Windows愛好家向け。Windows 11に実装予定の新機能育成と長期的な開発を目的としている。Canaryチャネルと同じく安定性には不安が残るが、いち早く次のWindows 11に触れたいユーザーには理想的なチャネルだろう。なお、ベータチャネルやリリースプレビューチャネルの位置付けに変更はない。

ただし、MicrosoftがWindows 11の品質とフィードバックを監視するために、機能の段階的な展開は継続する。A/Bテストと呼ばれる手法を用いており、直近のベータチャネルでは新機能を有効にしたビルド22624.1391と、新機能を無効にしたビルド22621.1391を配信した。Microsoftは「Controlled Feature Rollout(機能ロールアウトの制御)技術を用いている」とし、新機能が「Canaryチャネルでは無効」「Devチャネルでは有効」というケースがあることを意味する。

  • 公式ブログに掲載されたチャネル説明

この記事を書いている時点では、安定版となるWindows 11 バージョン22H2のOSビルドは22621.xだ。ベータチャネルはビルド22000、Devチャネルはビルド23000、Canaryチャネルはビルド25000が配信ターゲットとなる。今回の発表と同じタイミングで、Devチャネルはビルド23403、Canaryチャネルはビルド25314を配信した。

さっそく、ビルド25314はエクスプローラーのXAMLコンテキストメニュー(=Windows 11の新しいコンテキストメニュー)にアクセスキーが追加されていた。AAD(Azure Active Directory)アカウントでサインインしている場合は、「ホーム」に「Recommended(推奨)」が加わり、クラウドコンテンツが並ぶ。ほかにも、LSA(ローカルセキュリティ機関)保護や、ナレーターのOutlookサポートが加わっている。

  • ビルド25314に加わったアクセスキー(公式ブログから)。筆者の環境はWindows App SDKがプレビュー版のため動作しなかった

Windows 11の新機能に関心を持つ個人ユーザーは、Canary・Dev・ベータチャネルの中から安定性とのトレードオフ具合を考えつつ選ぶと良さそうだ。法人ユーザーも、Windows Update for BusinessやMicrosoft Intuneのポリシー設定によって、今後はCanaryチャネルの選択が可能になる(IT部門は検証範囲が広がって負担が増えそうだ)。筆者も安定版とCanaryチャネルを併用しながら、Windows 11の進化に注目していきたい。