日本火災報知機工業会は、自宅に住宅用火災警報器を設置している人を対象にしたアンケートの集計結果を発表した。6割超の人が「点検方法を知らない」と回答し、機器は10年をメドに交換が必要なことを知らないと回答した人が7割を超えるなど、設置した人でも正しい知識を持っていないことが明らかになった。

  • パナソニックの住宅用火災警報器「けむり当番」。最新モデルはこんなに薄型になっており、古い住宅用火災警報器から交換すれば見た目もスッキリできる

住宅用火災警報器は、2006年に設置の義務化が始まった。設置の義務化からすでに住宅用火災警報器の寿命の10年(新築では16年、既存住宅では11年)が経過し、経年劣化による電池切れや故障発生のリスクが高まっている。それを受けて、日本火災報知機工業会は住宅用火災警報器の交換を推奨する啓発活動を開始。住宅用火災警報器が正常に作動するどうかの点検を行い、電池切れや故障による警報が鳴る前に、古くなった住宅用火災警報器を交換することを推奨している。

住宅用火災警報器の点検実施状況や電池切れ・故障の実態調査は、2006年4月~2011年3月の5年間に建てられた新築戸建住宅在住者で、住宅用火災警報器を3個以上設置している536名を対象に、2022年7月26日~8月8日に実施した。

住宅用火災警報器の点検は、警報器の表面にあるボタンを押すか紐を引くことで正常に動作するかを確認できる。調査結果では、64%がこの点検方法を「知らない」と回答。推奨交換時期についても、設置後10年を目安に交換することを消防庁が推奨している、という内容を70.1%が「知らなかった」と回答した。

  • 住宅用火災警報器を設置しているのに点検方法を知らない、という人が64%にものぼった

  • 設置後10年を目安に交換することを知らない人は7割超もいた

早めに交換しない理由としては、「まだ正常に作動していると思うから」が75.4%、交換タイミングとして「故障や電池切れになれば交換する」が67.9%と最も多かった。交換しない理由としては、「交換にコストがかかるから」が55.2%と圧倒的に多く、やはりコスト面を問題視する人が多いようだ。住宅用火災警報器は電池切れや故障が発生すると音が鳴るのだが、この仕様についても「知らない」人が72.9%を占めた。

日本火災報知機工業会は、住宅用火災警報器の正しい役割と特性について再度分かりやすく解説する必要性を感じ、点検方法、電池切れ、故障などについて周知を図る必要があるとしている。

  • 住宅用火災警報器を設置している家庭は、火災発生時の死亡率や損害額が大幅に抑えられる