CP+2023のシグマブースは、Lマウントをはじめとした各種マウント向けのレンズを出展。その中でも、CP+開幕前日の夜にサプライズで発表したニコンZマウント向けの3本のレンズが注目を集めていました。
Zマウント向けには、APS-Cサイズセンサー向けのDC DNシリーズから「16mm F1.4」「30mm F1.4」「56mm F1.4」の3本が発表されました。ブースでは、ケース内の参考展示という形ですが、もともとLマウントなど向けにも提供されているレンズなので、マウント以外の外観は同等です。
発売はすべて4月の予定。Zマウント向けにAF駆動や通信速度の最適化といった制御アルゴリズムを開発し、ボディ内収差補正もサポートします。
山木和人社長は「できる限り多くのシステムをサポートしたい」と話し、Zマウントへとラインナップを拡大した理由を説明します。ユーザーから対応を求める声も多かったということで、ニコンと契約が締結できたことからレンズ投入に至ったといいます。
まずはこの3本ですが、山木社長はこれによって「お客様の反応を探りたい」としており、ニーズが大きくなれば他のレンズも検討したい考えです。
そうなると、次はキヤノンのRFマウントへの対応も期待したいところですが、「ニーズがあることは理解していますし、その期待には応えたい」と山木社長。ただ、現状はすぐにレンズを出せるという状況にはないそうで、市場の反応などを見ながら検討を継続していきます。
マウント拡大では、富士フイルムのXマウントに向けた製品も展開しています。18-50mm F2.8 DC DNなどの4本だけですが、一定の人気は得ているというのが山木社長の認識です。APS-C向けのDC DNシリーズの数は多いわけではないのですが、「できれば増やしていきたい」そうです。
また、フルサイズセンサー向けのDG DNレンズをXマウント向けにするかどうかは、「レンズの中心部のおいしいところを使えるので非常にいいと思います」と山木社長。サイズや焦点距離を含めてすべてのレンズがAPS-Cに適しているとは限らないとしつつ、方向性としてはありえるようです。
さて、シグマといえばフルサイズのFoveonセンサーを開発中です。ただ、開発は難航していて、現時点でもフルサイズセンサーの開発には成功していません。山木社長は「今はまだ小さいセンサーでピクセルアーキテクチャの研究をしている」と説明。一度試作したものの、技術的な問題があって改めて開発を継続している状況だそうです。
ただ、これが成功すれば次のステージとしてフルサイズのセンサー開発に着手できるといいます。一度開発をリセットして、パートナー変更など紆余曲折もありましたが、まだ山木社長は開発を継続する意向を示しています。今年の試作の状況次第としつつ、来年のリリースを目指したい考えです。
シグマブースでは、最新の「60-600mm F4.5-6.3 DG DN OS」、「50mm F1.4 DG DN」を含むレンズが自由に試せるようになっています。また、DJIのシネマカメラ「DJI Ronin 4D」がLマウントアダプターを提供したこともあって、同製品も出展されていました。
Ronin 4Dの場合、レンズがあまり重いとバランスが取れなくなることから、シネレンズよりも写真用レンズが適しているそうで、これまでもシグマのArtレンズがよく使われているとのこと。今年に入っても10本以上の映画で同製品が使われているそうです。