米Microsoftは2月22日(現地時間)、対話型AIを組み込んだ「新しいBing」のモバイル版のプレビューを開始した。モバイル検索アプリ「Bing」(Android、iOS)と、Webブラウザ「Edge」のモバイル版(同)のホーム画面で、新しいBingのモバイル体験を利用できるようになる。また、新しいBingをSkypeに統合した「Bing for Skype」(プレビュー)も発表した。
モバイル版の新しいBingとBing for Skypeのプレビュー版は、新しいBingのプレビューにアクセスできるユーザーに22日からロールアウトを開始した。プレビューはウエイトリスト登録者を対象に提供を拡大しており、リストには新しいBingのWebページで登録できる。
Microsoftによると、検索の64%がモバイルデバイスで行われている。新しいBingでは、「段ボール箱とペットボトル、紙とひもだけを使って4歳児でもできる工作を教えて」というような複雑な検索でも、チャット機能を使って対話型AIと会話することで、従来の検索より簡単かつ効果的に目的の情報を見つけられる。例えば、「ペットボトルは2つしかありません」というように、会話を通じて簡単に情報探しの条件を指定できる。
チャットは、スムースな会話がより快適な検索体験につながる。そこで携帯電話でもテンポよくチャットボットと会話できるように、モバイル版には音声でチャットボットと会話する機能を導入し、また音声を優先したユーザーインターフェイスを採用した。
Bingアプリで新しいBingが利用できるようになると、画面下のタブを切り替えるアイコンが並んだバーの中央に「b」をデザインしたチャット機能のアイコンが表示される。タップすると通常の検索から新しいBingのチャット機能に切り替わる。
チャット画面は、画面下の中央に「音声」、右側に「キーボード」、そして左側に「会話クリア」のボタンが並ぶ。音声ボタンをタップすると対話が始まる。例えば、「サンフランシスコのおすすめのピザ屋」を聞き、回答のリストを見て「NYスタイルが好きです」と伝え、そして今いる場所からタクシーで最も行きやすい場所を絞り込む検索が、音声を使った会話によってホテルのコンシェルジュに聞くようにスムースに完了した。
「リスト」「テキストのみ」といったように、回答の表示スタイルを指定することも可能。また、デフォルトではユーザーが音声検索すると、チャット機能ではBingの応答が自動的に読み上げられる。
通常の検索とチャットを組み合わせることも可能だ。通常の検索で「サンフランシスコのおすすめのピザ屋」と検索した後に、結果画面でチャットのボタンをタップすると、チャット機能を使った追加セッション(「ナポレターナの店に行きたい」「ここから徒歩で20分以内」など)を続けられる。
新しいBingのデスクトップ版のプレビュー提供開始から最初の1週間で、会話セッションが長くなるとチャットボットの応答が繰り返しになったり、対話が本来の検索から脱線してしまう傾向が確認されたため、Microsoftは対策として1セッションの対話数を5ターン(ユーザーの質問とBingからの応答のやりとりで1ターン)に制限し、その後6ターンに緩和した。モバイル版でもチャット機能は同様に制限されており、対話は6ターンまでで終了になり、新しいセッションに切り替えるように促される。
「検索するから待ってて」を無くす「Bing for Skype」
「Bing for Skype」では、Skypeを使ってBingのチャット機能を利用したり、友人や家族とのチャットにBingを加えられる。
友人や家族とのチャットでは、@Bingコマンドを付けて質問するとBingがチャットに加わって質問に回答する。例えば、友達とSkypeでチャットしながら旅行の計画を立てている時に、Bingに旅行先の提案をしてもらったり、その時期の天候や行われるイベントなどを尋ねることで、自分でWeb検索して探す手間が省け、チャットに参加している全員がBingの回答を見ながら旅行計画作りを進められる。
Bingは100言語以上をサポートする。外国語による情報が豊富なことを調べてもらったり、または母国語が異なる人同士のチャットにBingを加えることで、言葉の違いによる壁を越えて理解を深めやすくなる。
Microsoftはこれまでの検索のコパイロット(副操縦士)という役割に加えて、Bing for Skypeのプレビューを通じて新しいBingがコミュニケーション・ツールとしてどのように使われ改善・調整すべきかを学び、将来的にはTeamsなど他のコミュニケーション・アプリへの導入を計画している。