携帯電話市場がもっとも盛り上がる「春商戦」の時期がやってきました。春は新生活シーズンとして、進級や進学、就職といった生活環境の変化に伴い、携帯電話を持ち始めたり買い替えたりする人が最も多いタイミングです。街中のキャリアショップや家電量販店の携帯電話コーナーでは、長い待ち時間が発生することも珍しくありません。
そこで、普段以上に気をつけておきたいのが「申込に必要な書類の準備」です。何時間も待ったにも関わらず、いざ手続きを行おうとしたら必要な書類が不足していて、その日のうちに契約手続きが完了せず出直しとなってしまうのはなんとしても避けたいですよね。
買うと決めたその日にしっかり手続きを完了できるよう、今回は新生活シーズンに多いケースの話も交えつつ、携帯電話・スマートフォンの契約時に必要になる書類や注意点をまとめて紹介します。
携帯電話を契約するのに必要な書類
携帯電話の契約には「本人確認書類」と「支払いに利用するキャッシュカード/クレジットカード」が必要です。
本人確認書類は運転免許証やマイナンバーカードなど、「写真付きの現住所と生年月日が記載された書類」を用意できるとベスト。もし用意が難しい場合には健康保険証なども使えますが、「補助書類」として住民票や公共料金の領収書もセットで提示を求めるところが多いです。
本人確認書類は会社によって利用できるものが異なるので、上記にかかわらず一度ショップや量販店のスタッフに聞いておくか、各社のWebサイトを確認するといいでしょう。
「以前の契約時に使えた書類」であっても、不正契約防止などのために本人確認書類の条件は時々見直されているため、現在は利用できなかったり、補助書類が必要になっている場合もあります。
次に、月々の支払いに利用する銀行口座のキャッシュカードやクレジットカードですが、原則として「契約者本人のもの」でなければなりません。
家族名義の銀行口座やクレジットカードでの支払いを希望する場合、会社によって可否が異なりますし、可能であっても追加の書類を用意しないといけないこともあるので、本人確認書類とあわせて「自分に用意できそうな書類で契約ができるか」を事前に確認しておくことが、携帯電話の契約手続きをもっともスムーズに進められるコツといえます。
未成年者名義での契約は「同意書」や「利用者登録」に注意
子どもの携帯電話の購入・契約を行う際はさらに必要な書類が複雑になり、いざ契約をしようとお店へ行ってから、書類不足で出直しになるケースは珍しくありません。
未成年者を契約者とする場合には、通常の本人確認書類に加えて「親権者同意書」が必要です。
親権者同意書を用いた契約というと「子どもがお店で親権者同意書をもらってくる」→「家で保護者が親権者同意書を記入する」→「子どもが記入した親権者同意書を持ってお店へ行って手続きを行う」といった流れが想像できますが、以前はこのような手続きができたものの、現在はこの流れでの新規契約は難しくなっています。
親権者同意書は、親権者の記入に加え「記入された親権者の本人確認書類」もセットで提示が必要になっています。たとえば父親が親権者同意書の記入するなら、父親の運転免許証の提示も必要です。そのため、中高生くらいの子どもに親の本人確認書類(原本)を預けて一人で契約させに行くのはリスクが高いといえるでしょう。
また、保護者同伴で買いに行く場合にも注意点があり、「親権者同意書は父親が記入しているが、同伴するのは母親」といった記入者と来店者が異なるケースも、必要書類の不足などが発生しがちです。親権者同意書は「子どもといっしょに携帯電話の購入にいける方」が記入するのがベストといえます。
子どもの携帯電話の契約時にはぜひとも利用したい「学割」。これらのキャンペーンを利用する際のチェックポイントは「利用者登録」です。
契約名義が子ども自身であれば問題ないのですが、もし両親どちらかの名義で契約する場合には利用者登録を行わないと、年齢条件のあるキャンペーンが適用されません。
利用者登録とは、契約名義とは別に、実際にその携帯電話を利用する人の情報(名前や生年月日)を登録する仕組み。この登録を行うことで「契約者は割引対象の年齢ではないけれど、利用者は子どもなので学割を適用する」といったことが可能になりますが、契約者の本人確認書類に加えて「登録したい子どもの本人確認書類」が必要になります。
学割などおトクなキャンペーンを利用したい場合には、子どもの保険証や学生証も忘れずに持っていくようにしましょう。
携帯電話の「契約名義」にもハマりどころあり
契約名義と利用者の名義が異なり、利用者がショップなどで手続きを行う場合には「委任状」が必要です。
委任状は「契約者(委任元)が来店者(委任先)に手続きを委任する」という書類で、双方の本人確認書類がなければ委任状だけがあっても手続きを行うことはできません。
たとえば「親名義の契約で子どもが使っている携帯電話の買い替えを、子どもだけで行う」ケースを考えてみると、先述の親権者同意書を使うパターン同様に、親目線では「運転免許証を子どもに預けるなんて」と不安に感じてしまうかもしれません。
委任状を使う手続きは必要書類が増えて不備が発生しやすいだけでなく、書類を子どもに預ける不安なども加味すると、できるだけ避けて契約者本人が店頭に行けるよう予定を立てた方が確実といえます。
携帯電話事業者によっては「委任状で受付可能な手続き」に違いがある点も要注意。機種変更や料金プラン変更はできても、新規契約は委任状では行えない会社もあります。
どうしても委任状を使って手続きをしなければならない場合は、事前にコールセンターやお近くのショップで、行いたい手続きが委任状で行えるか確認してからの方が良いでしょう。
また、契約名義と比べると認識している人は少ないかもしれませんが、家族割引グループや一括請求の「代表者」が思わぬ落とし穴になることがあります。
携帯電話の料金プランには、家族で加入することで割引や特典が受けられる「家族割引」サービスが用意されています。また、割引などはなくても、親子の携帯の利用料の請求をまとめられる「一括請求」といったサービスも存在します。
たとえば家族割引と一括請求の代表者が父親で、新たに契約したい携帯電話は母親や子どもの名義だとします。この場合、家族であっても「名義相違」となってしまい、スムーズに家族割引などに加入できないことがあります。
これに関連して、名義だけでなく「住所」にも注意が必要です。夫婦や親子であっても、父親が単身赴任中、あるいは子どもの住所は下宿先になっている場合など、代表者と契約者の住所が異なるパターンでは、家族割引に加入するための関係証明にひと手間かかります。
名義相違・住所相違のどちらのケースであっても、住民票や戸籍謄本など、家族関係を証明できる書類を用意しておくと確実です。
もしもに備えて「電話が繋がる状態」にしておくのも重要
親権者同意書や委任状、一括請求など「来店者と契約者の名義が異なる手続き」の場合、契約者にお店から電話で承諾確認の連絡を入れることがあります。
必要書類が揃っているだけでなく会社やお店のルールとして、承諾連絡が取れなければ手続きを進められないこともありますので、携帯電話の契約を行う際は事前に家族に「電話がかかってくるかも」と、電話に出てもらえるよう頼んでおくと良いでしょう。
携帯電話の契約は「事前の準備」がとにかく大事。欲しい機種や気になる料金プランまでは調べてあっても、意外と必要書類の準備までは気が回っていないことがあります。
「以前はこの書類を持っていたので手続きが行えた」といった先入観で大丈夫と考えていても、必要書類のルールは日々変わっていますので、いざ手続きに行ったら無理だったということは十分に考えられます。
また、自分の携帯電話の手続きではなく子どもの契約や家族の契約など、必要書類がさらに必要になる場合、その用意に時間がかかることもあります。
店頭で長時間待つ場合に限らず、仮に来店予約をしていくとしても、書類不備で何度も足を運ぶのは大変です。あらかじめ「どんな手続きをしたいのか」「どんなプランにしたいのか」「誰が契約するのか」「手続きには誰が行くのか」を確認し、しっかりと準備を整えてから臨みましょう。