ドワンゴは2月16日、「ゆっくり茶番劇」商標問題に対して同社が行った対応のうち、「商標登録による独占の防止を目的とした商標登録出願」に進展があったことを発表した。

  • ドワンゴが実施していた「ゆっくり茶番劇」商標問題に対する「4つのアクション」のうち、「独占防止のための商標出願」に進展があった(写真:2022年5月23日実施のドワンゴ会見取材記事より)

「ゆっくり茶番劇」商標問題は、ドワンゴが運営する「ニコニコ動画」や「YouTube」といった動画配信サイトにおける人気ジャンルをめぐる権利トラブル。元ネタとなっている「東方Project」とも無関係な第三者によって「ゆっくり茶番劇」の商標登録がなされた上、当該商標の利用にあたってライセンス料を徴収すると告知したことで、動画を楽しんでいた人々の大きな反発を呼んだ。

反発を受け、商標出願者はライセンス料の徴収を撤回したものの、権利は放棄していなかった。そこでドワンゴは2022年5月23日に会見を実施。権利者に対する権利放棄の交渉など、動画クリエイターたちがトラブルに巻き込まれるのを防ぐため「4つのアクション」を行うと表明した。

2022年6月1日、「ゆっくり茶番劇」の商標権抹消申請書の受理および登録に関して、商標出願者の所属する団体の公式Twitterが公表。それと同時にドワンゴが行った類似語句の商標出願の結果が待たれていた。

今回、ドワンゴは2023年2月13日付けで、特許庁から拒絶理由通知書を受領したことを明かした。これはゆっくり関連商標の独占の防止を目的とした商標出願に対するもので、「ゆっくり実況」「ゆっくり解説」「ゆっくり劇場」といった3件を提出していた。拒絶理由通知書では、「ゆっくり実況」「ゆっくり解説」「ゆっくり劇場」という文字列をとりまく利用状況から、これらの文字は商標として登録すべきではないとの判断が示された。

ドワンゴは、「拒絶理由通知書で示されている内容は弊社の見解とおおむね一致しており、このような判断を示していただいたことを歓迎いたします」とし、「インターネットミームのようなネット文化に対して丁寧に審査していただいたうえ、拒絶理由について丁寧にご説明くださいましたことにも敬意と感謝を表明いたします」ともコメント。拒絶理由通知への具体的な対応方針については検討中としている。

なお、4つのアクションのうち、「ゆっくり茶番劇」商標登録に対する無効審判については現在も対応を継続中。商標の使用料や損害賠償の請求が届いてしまったユーザーへの相談窓口も開設を続けている。