パナソニックは1月5日、Lマウント採用のフルサイズミラーレスの新製品「LUMIX S5II」(DC-S5M2)を発表した。シリーズで初めて像面位相差AFを採用し、被写体が前後方向に素早く動くシーンなど動体のAF追従性能を高めたのが特徴。動画撮影関連の機能を大幅に強化し、プロのクリエイターを対象にした派生モデル「LUMIX S5IIX」(DC-S5M2X)も用意する。

  • シリーズで初めて像面位相差AFを採用したフルサイズミラーレス「LUMIX DC-S5II」(DC-S5M2)

製品のラインアップと予想実売価格は以下の通り。Kキットには標準ズームレンズ「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6」(S-R2060)が、Wキットには標準ズームレンズと単焦点レンズ「LUMIX S 50mm F1.8」(S-S50)が付属する。価格はすべてオープン。発売日は、DC-S5M2が2月16日、DC-S5M2Xが6月下旬の予定。DC-S5は併売する。

機種名 付属レンズ 予想実売価格
DC-S5M2(ボディ) なし 248,000円前後
DC-S5M2K(Kキット) 標準ズーム 281,000円前後
DC-S5M2W(Wキット) 標準ズーム、単焦点 300,000円前後
DC-S5M2X(ボディ) なし 274,000円前後
DC-S5M2XK(Kキット) 標準ズーム 306,000円前後
DC-S5M2XW(Wキット) 標準ズーム、単焦点 334,000円前後

DC-S5M2とDC-S5M2Xのおもな特徴は以下の通り。

  • LUMIXシリーズで初めて像面位相差AFを採用、動体の追従性能を向上(測距点は779点)。コントラストAFも併用
  • 新開発の24.2Mフルサイズセンサーを採用、ローリングシャッターゆがみも低減
  • 画像処理エンジンも新開発のヴィーナスエンジンに一新、DC-S5比で演算性能は2倍、バッファメモリーは4倍に
  • 歩きながらの撮影や望遠撮影時など、動画撮影時の手ブレ補正効果を高めるアクティブI.S.を搭載
  • 新しいイメージセンサーと新しい画像処理エンジンの効果で、ディテールの描写や高感度ノイズ低減を改善
  • RAW連写を最大30コマ/秒に改善(電子シャッター時)
  • メカシャッター時の連写はAFSで9コマ/秒、AFCで7コマ/秒
  • C4K 60p/50p 4:2:2 10bitの高画質動画を無制限で記録可能に
  • 小型ボディを継承しつつ、背面に8方向操作のジョイスティックを搭載
  • 背面モニターは184万ドットのバリアングル液晶、EVFは368万ドットのOLEDファインダー
  • メモリーカードスロットはSDのダブルスロット
  • フルサイズのHDMI Type A端子を搭載

2020年9月に発売したLマウント対応のフルサイズミラーレス「LUMIX DC-S5」(DC-S5)の改良モデル。定評のある小型軽量ボディを継承しつつ、LUMIXシリーズで初めて像面位相差AFを採用したのが最大の特徴。像面位相差AFの採用で動体の追従性能が大幅に向上したほか、「高速に動く被写体が手前に向かってくるシーン」「人物など複数の被写体が存在するシーン」「逆光のシーン」「夕暮れなど低照度のシーン」「イルミネーションなど点光源を含むシーン」「商品をカメラに向けるなど商品レビューのシーン」などで特にAF性能の進化が体感できるという。

  • LUMIX S1シリーズよりも軽量コンパクトなボディを継承する

  • 背面には8方向操作のジョイスティックを搭載した

  • 背面液晶はバリアングル式で、製品レビューなどの自撮りも1人でできる

  • 上部の操作ボタンやダイヤル類の配置はLUMIX S5を継承する

像面位相差AFの採用に合わせ、イメージセンサーも一新した。画素数は24.2Mで据え置きながら、ローリングシャッターゆがみを低減したほか、画質も改善している。画像処理エンジンは、名称こそ「ヴィーナスエンジン」で従来と変わりないが、中身は一新されており、演算性能やバッファメモリーを高めている。

  • HDMI端子は一般的なフルサイズを採用する

  • メモリーカードスロットはSDのダブルスロットとなる

動画撮影機能も強化した。動画は、C4K 60p/50p 4:2:2 10bitの高画質動画を無制限で記録できる。ペンタ部に冷却ファンを搭載しており、内部で発生した熱をペンタ部左右の排気口から排熱し、安定した撮影ができるよう工夫した。

  • 冷却ファンをペンタ部に搭載。ペンタ部の左右から排気する

動画撮影時の手ブレ補正効果を高めるアクティブI.S.を搭載し、歩きながらの撮影や望遠撮影時など、これまでブレが気になったシーンでの映像の安定性を高めた。

本体サイズはW134.3×H102.3×D90.1mm、重さは約740g(DC-S5M2、DC-S5M2X共通)。

プロの動画撮影に応える派生モデル「DC-S5M2X」

本格的な映像作品を単独で撮影したいプロのクリエイターに向け、動画関連の撮影機能や装備を強化した派生モデル「DC-S5M2X」も用意する。

DC-S5M2との違いは、LUMIXのロゴやダイヤル類を目立たなく仕上げたブラック基調のデザイン、HDMI RAW動画出力への対応、USB接続のSSDへの動画記録、ALL-Intra動画記録への対応、ProRes動画記録への対応、動画ストリーミングへの対応など(HDMI RAW動画出力はDC-S5M2も後日有償での対応を予定)。イメージセンサーや画像処理エンジンは同じ。

  • 動画関連の撮影機能や装備を強化した派生モデル「DC-S5M2X」。LUMIXのロゴや機種名の表記がブラックになっている

  • 操作ボタンやダイヤル類などの刻印も、明るさを抑えたグレーとしている