Palitから、NVIDIA Ada Lovelaceアーキテクチャを採用するグラフィックスカード「GeForce RTX 4080 GameRock The Midnight Kaleidoscope」の投入が発表されました。前世代のモデルでは超ド派手だったファンカバーは黒をベースにした“真夜中の万華鏡(The Midnight Kaleidoscope)”へと刷新され、さらに冷却機構もリニューアル。今回正式発売前に試用できたので、動作する様子を実際に眺めてみました。

  • Palit「GeForce RTX 4080 GameRock The Midnight Kaleidoscope」レビュー

光あれ、グラフィックスカード

Palitの「GameRock」シリーズといえば、業界でも屈指のド派手さを誇るグラフィックスカード製品です。ファンカバー全面をカバーするクリスタルパーツは他メーカーでは類を見ないもので、「ゲーミングPCパーツは光ってナンボや!」という圧倒的な主張を感じます。

  • 「GeForce RTX 3090 Ti GameRock」の様子

しかし、NVIDIA Ada Lovelaceアーキテクチャを採用する今世代モデルでは一転して“ダーク”な雰囲気に。クリアパーツのカラーが白から黒へと変更されており、同社いわく「煌めく星をブラッククリスタルの中に散りばめた」とのこと。RGB LEDを点灯することで光り輝き、これによって真夜中の万華鏡、つまり“The Midnight Kaleidoscope”を表現するとしています。早速外観からチェックしていきましょう。

  • パッケージの様子。黒いクリスタルがあしらわれており、白い箱だった前モデルよりかなり高級感を増した印象。右下の「4080」という数字フォントが変わっていますね

  • 内箱を引き出した様子。高密度スポンジと静電防止ビニールに包まれています

  • 付属していたアクセサリー。給電用の12VHPWRをPCIe 8pin×3に変換するケーブルと、ARGBの協調動作用ケーブル、重量を支えるVGAホルダーが同梱されていました

今回やってきたパッケージにはサポートステイのマニュアルが同梱されておらず、パッと見ただけでは使い方がわかりませんでした。しかしYouTubeでは、Palit公式キャラクター「虹野リトナ」さんがアテレコを行った日本語解説動画が公開されています。グラフィックスカード側面にあるネジ穴と組み合わせるというもので、しっかりと荷重を支えられそう。組み立て前にチェックしておきましょう。

Palit VGA ホルダー 取り付けガイド

  • 取り出した様子。クリアパーツが黒くなっただけでかなり引き締まった印象に仕上げられています

  • よく見るとたしかに星が散りばめられています

  • ファンブレードは端がせり上がっており、エアフローを最適化

  • 映像出力端子はDisplayPort 1.4a×3、HDMI 2.1×1。最大4画面の同時出力に対応

  • 例によってクーラーはブラケットから盛大にはみ出しており、小型ケースへの組み込みはクリアランスに注意が必要です

  • 給電用端子に12VHPWR×1を要求。その横にRGB LEDを協調動作させるための端子も

  • バックプレートはソリッドな印象のシルバー。基板自体はそこまで長くなく、後端はエアフローが通り抜けます

  • 開口部の仕上げがクローム風になっており、キラキラと輝いていた点も要注目

  • よく見るとDual BIOSスイッチが端の方に搭載されていました

  • GPUコア背面は完全に隠されており、ホコリ等の心配もなさそう

黒いクリアパーツの採用でかなり引き締まった印象になり、個人的には前モデルよりかなり好感触。ファンカバーのフレームはすべて金属製でしっかりした剛性を備えており、シルバーのバックプレートはどんなPCパーツと組み合わせても馴染みそう。

冷却機構はRTX 40シリーズの搭載にあわせて刷新されており、「Gale Talon」ファンブレードと「Winglet」ファンテールを組み合わせた「Gale Hunter」ファンを新搭載。ヒートシンクには角度をつけて成形した「Yフォーミュラフィン」をあしらって放熱面積を高めつつ、エアフローを最適化。「Composite Heat Pipes」と幅広いベイパーチャンバーを組み合わせたことで、優れた熱移動を実現したとあります。

  • それにしても大きいグラフィックスカードです。一般的な2スロット厚のグラフィックスカードと並べてみると違いは歴然で、長いというか“大きい”

  • もう3スロットにしてしまってもいいのではと感じます

電源投入! 性能の高さはもはや別次元

3DMarkを用いてかんたんに性能をチェックしつつ、高負荷時の動作を確認してみました。GeForce RTX 4080自体の仕様についておさらいしておくと、TSMC 4N(4nm)プロセスで製造されたAD103を搭載。CUDAコアは9,728個、Tensorコアは304個、RTコアは76個で、トランジスタは約450億個を集積。VRAMはGDDR6X 16GBで、メモリインタフェースは256bit、メモリ帯域は716GB/s。初出時は12GBモデルもありましたが、現在では16GBモデルのみとなっています。ちなみに上位モデルのGeForce RTX 4090はCUDAコアを16,384個も搭載しているので、性能にはしっかり差別化が行われています。

  • 今回の構成

  • 3DMark「Fire Strike Ultra」

  • 3DMark「Time Spy Extreme」

  • 3DMark「Port Royal」

  • 3DMark「Speed Way」

  • FF14暁月のフィナーレ

  • FF15

今回のベンチマークテストからCPUを第13世代Coreシリーズに更新してしまったため、前回紹介した「GeForce RTX 3090 Ti」のベンチマーク結果と直接並べることはしていませんが、圧倒的な高性能。相当重たい「Port Royal」ですらさらりと平均150fps以上でクリアしていきます。

  • 結構シンプルにGPU性能が出る「Blender」

なかでも興味深かったのが、GeForce RTX 40シリーズでのみ使える新機能「DLSS 3.0」の性能です。3DMarkでは「NVIDIA DLSS feature test」モードでDLSS 1、DLSS 2、DLSS 3の各バージョンを選択して性能を評価可能。「パフォーマンス」と「クオリティ」から選択し、実際のユースケースに近づけられる実用的なモードになっています。

  • DLSSのバージョンを選べて便利。ゲームで使う場合は最新版しか搭載されていないので

今回は4K解像度(3,840×2,160ドット)、DLSS 3に設定してパフォーマンスとクオリティでそれぞれテストを実施。結果はDLSSがオフの状態では39.76fpsだったところ、パフォーマンス設定では169.35fps、クオリティ設定では114.20fpsというスコアになりました。ざっくりパフォーマンス設定では4倍、クオリティ設定でも3倍近い性能向上を実現しており、いよいよどんなゲームでも4Kで遊べる時代がやってきたような気がします。

  • 新しく追加されたSpeed Wayの描画が綺麗でした

また、動作音は至って静か。ファンが回転しても耳障りな高周波成分はほとんど聞こえず、「フオーーー」という穏やかな風切り音のみ。OCCTで強烈な負荷をかけてもあまり熱くならず、GeForce RTX 4090よりかなり扱いやすいように感じます。

  • OCCTの様子。GPU Hot Spot Tempratureでも81度くらい

ちなみに、エンコード速度含むさらに詳細なベンチマークを『「GeForce RTX 4080」はRTX 3080より性能2倍以上で消費電力は同等! 全ゲーマーにオススメの完成度』で掲載中。4090や3080 Tiとの比較含め、消費電力についてもより詳しく知れるようになっています。

新世代の幕開けを“真夜中の万華鏡”で

今回GeForce RTX 4080搭載グラフィックスカードを試用してみて感じたのは、850W電源でも普通に動作させられる取り回しの良さでした。給電用ケーブルには変換が必要ですが、それでも容量的には全然問題なし。最大450Wも消費するGeForce RTX 4090とは異なり、320Wで済むGeForce RTX 4080なら現行システムへの導入も相対的に容易だと思います。

  • 光るとやっぱりド派手です