米内務省内にある、野生動物の保護管理を専門に行う組織・魚類野生生物局(FWS)は現地時間10月25日、コウテイペンギンを絶滅危惧種に指定することを発表した。地球温暖化による南極の海氷減少が予測されることを受けてののものだ。

  • コウテイペンギンが絶滅危惧種に、海氷減少が原因

    コウテイペンギンが絶滅危惧種に

コウテイペンギンは、18種類いるペンギンのうち、もっとも背が高く、もっとも体重の重い種。目の周りの白い輪が特徴のアデリーペンギンとともに、南極大陸に生息する唯一のペンギンだ。これらの種にとって海氷は生活に必要不可欠だ。海氷はペンギンにとって、繁殖しヒナを育てたり、外敵から逃れる場所であったりする。しかし、二酸化炭素の排出量が増加するにつれて、地球温暖化が進行し、それに伴って海氷は縮小してしまう。海氷が縮小すれば、コウテイペンギンなど海氷で生活する種にとって脅威となる。

同局によると、現在のコウテイペンギは、南極大陸の海岸線に沿って約61の繁殖コロニーがあり、この種の個体数は625万~650万羽と推定され、現状の個体数は安定しているという。しかし将来的には絶滅の危機にあるのだそう。具体的には2050年までに個体数は、低炭素排出量のシナリオで26%、高炭素排出量のシナリオで47%減少する可能性があると予想している。

さらに、南極大陸でも地域によって危険性が変わるのだという。例えば、ロス海とウェッデル海の地域では個体数は安定的に推移する可能性が高いそう。一方でインド洋、西太平洋、ベリングスハウゼン海、アムンゼン海の地域では、海氷の融解で個体数が90%以上減少する可能性が高いとのこと。

同局のマーサ・ウィリアムズ局長は、「コウテイペンギンを絶滅危惧種に指定したのは、危機が高まっていることを反映しており、絶滅危惧種保護法(ESA)と個体数の減少が回復不可能になる前に種の保護に努める重要性を強調しています」「気候変動は世界中の種に深刻な影響を及ぼす。この問題に取り組むことは行政の優先事項です。コウテイペンギンのリストアップは、警鐘であると同時に行動への呼びかけでもあるのです」とコメントしている。