パスワードの入力が不要になるiOS 16の新機能「パスキー」のことでしょうか? パスキーを採用するWEBサイトであれば、ユーザ認証に必要な情報が安全に保存され、Face ID/Touch IDの生体認証により呼び出せるようになりますから、ログインのつどパスワードを入力する必要はなくなります。

iOS 15までも、iCloudにパスワードを保存するしくみ(iCloudキーチェーン)を有効にしておけば、WEBサイトに接続するときパスワードを自動入力できましたが、パスキーは技術的に大きく異なります。

パスキーでは、公開鍵暗号化を採用しています。Face ID/Touch IDで本人確認が行われると、iPhone上内に生成されたパスキー(FIDO認証資格情報)をWEBサイトとやり取りすることで、安全なログインが行われます。そもそもユーザが記憶するようなパスワードは存在せず、定期的にパスワードを変更するなどの管理も必要ありません。

しかもパスキーはiPhone専用の技術ではありません。パスワードレス技術の標準化を進める「FIDO Alliance」が策定した仕様に従っているため、AndroidやWindowsでも採用が進めば(GoogleとMicrosoftも互換性のある技術を開発中です)、ハードウェア/プラットフォームの垣根を越えてパスワードの入力が不要になる可能性を秘めています。

その意味では、いずれiPhoneでは"パスワードいらず"になる可能性がありますが、パスキーはWEBサイト側の対応も必要です。2022年10月現在、パスキーに対応した日本国内のWEBサイトはほぼ見当たらない状況ですから、今後の動向に注目です。

  • iOS 16には、パスワードの入力が不要になる新機能「パスキー」が搭載されています