新Surfaceデバイスを発表する可能性が高い「Microsoft Fall 2022 Event」も気になるところだが、今回はSteven Sinofsky氏のYouTubeチャンネル「Hardcore Software」に注目したい。Sinofsky氏は、1989年から2012年12月までMicrosoftに在籍したWindows 8の開発責任者。Windows Vista、Windows 7のリリースを牽引し、「President of the Windows division」に就任した当時のトップである。

  • 2005年当時のSteven Sinofsky氏

Windows 8のUIは野心的過ぎて、市場に受け入れられなかったのは歴史が示す通り。ただ、スタートメニューを重視せず、使うのはデスクトップアプリのみだった筆者にとって、言うほど悪いOSではない。Windows 7からの内部的な改良も有益だった。

  • 賛否が分かれたWindows 8のスタートメニュー(図はWindows 8.1)

そこからWindows 8.1、Windows 10、現在のWindows 11と進み、Sinofsky氏の名前もだいぶ薄れてしまっていたが、海外ではSinofsky氏がアップした動画「Windows 8-Team Meeting Finale (2010)」が話題になっている。

タイトルの通りWindows 8の開発過程を写真付きで紹介している動画、筆者が最初に関心を持ったのはWindows 8開発に投入されたリソースだ。動画の説明によれば、44のチーム、17のパートナー、2000超のアイデア、2739のストーリーボード、913のシナリオ、5478の描かれたスティックフィギュアが作成されたという。

  • Windows 8の開発スケッチ(動画から)

ここまでなら特段注目する必要はないのだが……、動画にすばやく映る多数のコンセプトも大半はWindows 8に反映されず、ユーザーは目にしていない。だが、Windows 8開発初期段階のスタートメニューは興味深かった。

  • 開発中のスタートメニュー。デザインはWindows 7風だ(動画から)

上図はWindows 8開発段階のスタートメニューと思われる。筆者もベータ段階からWindows 8を使っていたが、メトロスタイルは見当たらず、タイルの概念は取り込んでいた。さらに関心を引くのが次の図だ。

  • 開発中のデスクトップモード(動画から)

こちらはデスクトップモードと思われるが、右端にはWindows 11のウィジェットに類似するパネルが確認できる。Windows Vistaで実装したWindows Aeroによるタスクバーの半透過や、左下に存在するスタートボタン。当時であれば「これでも十分」と感じたかもしれない。今年(2022年)はちょうどWindows 8リリースから10年を数える。かつてWindows 8を手にした方々は一度視聴してみてはいかがだろうか。