今回の研究で開発された光変調器は、電気信号が発生させた誘導磁界が、磁気光学ガーネットの光学特性を変化させるという磁気光学効果を利用した変調器だという。

  • 磁気光学変調器の概要図

    (左)磁気光学変調器の概要図。シリコン光導波路とマイクロリング共振器上(灰色)に磁気光学ガーネット層(緑色)が接合され、金で形成されたコイル(黄色)に電流が流されると磁界が発生して駆動。(右)磁気光学変調器の動作イメージ。電気信号(紫色)が金属コイルに流れることで、磁界(薄い緑色)が発生する。この磁界が光導波路上の磁気光学ガーネットに作用して光の屈折率に変化がもたらされ、左側から入力された光の強さが変化して光信号が生成される (出所:東工大プレスリリースPDF)

この磁気光学変調器の構造は、光の通り道となるシリコン光導波路を挟む形で、マイクロリング共振器と磁気光学ガーネットが接合されている。金で形成されたコイルに電気信号(電流)が流れると、マイクロリング共振器がその上にある磁気光学ガーネットと作用。その結果、シリコン光導波路を通る光の強度が磁気光学効果によって変化させられ、それによって光信号が生成されるという仕組みだという。

従来の光変調器は、コンデンサのような構造を用いて電圧によって駆動するために高い抵抗を持っており、極低温で超伝導状態となった抵抗のない電気配線とは整合性が低かったというが、今回の研究で開発された磁気光学変調器は電流で駆動することから抵抗が低く、超伝導回路との接続性も良いという。

さらに、光通信でよく用いられる波長1550nmの光で動作し、シリコンフォトニクスを用いた光集積回路に搭載されているため、汎用性にも優れた構造となっており、測定の結果、2Gbit/sの信号伝送を達成したという。

なお、研究チームでは今回の研究成果について、量子コンピュータのような極低温を用いた次世代計算機の実用化に向け、重要な基幹技術の1つとなると考えられるとしており、今後は、磁気光学ガーネットに代えて新たな材料を用いることで、極低温下でのさらなる高効率動作が可能な光変調器の開発を目指すとしている。