NTTグループでは、XR事業のさらなる推進を目的にした新会社「NTTコノキュー」を10月1日よりスタートさせます。代表取締役社長に就任した丸山誠治氏は「XRと言えばNTTコノキューだ、と言われるような会社にしたい」と抱負を述べました。

  • フォトセッション

    NTTコノキューは10月1日より事業を開始することを発表。右から、マーケティング部門担当課長の赤沼純氏、代表取締役社長の丸山誠治氏、ゲストのAKB48 SURREAL

NTTコノキューの事業内容

NTTコノキューでは、リアルとバーチャルを融合したXR技術が多くの分野で活用される未来に向けて、個人と法人向けにサービスを展開します。資産予定規模は600億円(順次増額)で、NTTドコモが100%を出資。人員についてはドコモから200名の社員が出向予定です(順次増員)。この200名には、ドコモ以外のNTTグループの会社からドコモに転籍したうえでNTTコノキューに出向する社員も含まれます。

  • NTTコノキューのロゴと丸山社長

    QONOQは、Quest Over Networkの頭文字であり、N(ネットワーク)を軸に仮想と現実を行き交う様子も表現。キューは、XR新時代の幕開けを告げる合図と説明する

主な事業内容は、XRに関わるソフトウェア・ハードウェアの技術開発、メタバース/デジタルツイン領域におけるサービスやソリューションの展開、XRデバイスの企画開発などとしています。

  • 主な事業内容

    主な事業内容

例えばメタバース事業では、バーチャル空間ならではのコミュニケーションを楽しめるマルチデバイス型メタバース「XR World」を提供。バーチャルライブでは、アバターを介した様々な体験や新しいコミュニケーションなどを体験できるとしています。

  • Matrix Stream

    XR Worldの例。リアル会場/バーチャル会場/オンライン配信においてリアルタイムのバーチャルライブを開催できる「Matrix Stream」を展開する

デジタルツイン事業では、パートナー企業との協業により、街中でスマホをかざすだけでARコンテンツが表示され、エリアへの回遊促進・店舗誘客などを実現する「XR City」を提供。現実世界および仮想空間の相互作用による新たな価値を提供していきます。

  • XR City

    XR Cityの例。現代の街並みのなかに絶滅古生物が蘇るコンテンツなどを展開予定

XRデバイス事業では、自社デバイスを開発予定。メタバース事業、デジタルツイン事業と一体となって顧客体験価値を創出していきたい考えです。ただし現時点では具体的な製品イメージは示されず、「サービスとデバイスをセットで開発したほうが、お客様により価値を感じていただけるのではないか、と考えています。個人的には、軽量のグラス型のXRデバイスを作りたい。ただ今日の時点では、確固たるものはお示しできません。また何かのときにご紹介できたらと思います」(丸山氏)とのことでした。

  • XRデバイスの開発

    顧客の体験価値を最大化するXRデバイスも開発していく

法人向け事業については「いまオフィスや学校と自宅をつなぐ仮想の空間オフィスの提供に向けて準備を進めております。NTTグループが一体となり全国の法人のお客様をワンストップでサポートしてまいります」と丸山氏。

  • 法人向け事業

    法人向け事業の例。間もなくバーチャルオフィス/教室のサービスを開始する

このほか大阪万博(2025年)では、オンライン空間上に3DCGで夢洲会場を再現。どこからでも参加できる「大阪・関西万博バーチャル会場」の構築に貢献すると説明しました。

  • 2025年日本国際博覧会への技術提供

    2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)にも技術を提供する

売り上げ目標は?

丸山氏のプレゼンテーションの後には質疑応答の時間がもうけられ、記者団の質問に丸山氏が回答していきました。

売り上げ目標、目指している事業規模については「世界中を見渡してもXR事業をすでに確立している企業は、まだないとの認識です。ですので、いまの段階で目標やシェアなど具体的な数字は控えさせて下さい」としたうえで「XR分野はアーリーステージとはいえ、すでに世界では様々なプレイヤーが参入しています。そんななか、XR専業の会社として立ち上げました。ゆくゆくは『XRと言えばNTTコノキューなんだ』と言われるような会社にしたいと思っております」と力を込めました。

なお売り上げ目標については、以下のようにも説明しました。「今回、ドコモから独立して新会社として運営するわけですが、ドコモ本体から見ればスマートライフ事業の一環という形です。ドコモは中期計画で2兆円規模の売上高を目標としており、そのなかにXR事業も含まれておりますので、我々も少しでも貢献できるように頑張っていきたいと思っています」。

現在、NTTが提供しているXR空間プラットフォーム「DOOR」については今後、NTTコノキューが運営を引き継いでいくとのこと。XR事業の海外展開については「XRの世界には、国内も海外もないとの認識です。海外で協業できるパートナーを見つけるケースもあると思いますが、そこも含めて海外展開も目指していきたい考えです」と回答します。

  • 記者団の質問に回答する丸山氏

    記者団の質問に回答する丸山氏

ビジネス向け、コンシューマ向けのどちらに注力していくのか――という問いには「いまXR事業において、どこからB(ビジネス向け)でどこからC(コンシューマ向け)か、線引きするのが難しい状況です。どのお客様にも価値を感じていただけるような、適切なビジネスモデルを提供して収入を上げていきたいと考えています」。

XR普及に向けて目下の課題について聞かれると「まだ入口に立ったところという認識です。デバイスも、回線も、クラウドもそうですが、お客様にXRの価値を体感いただけるサービスを提供できるギリギリのレベルです。まだまだやるべきことが多い。デバイス、回線、クラウドのレベルを上げつつ、それらを組み合わせてサービスを提供していきます」と回答しました。

AKB48 SURREALが新曲披露

このあとNTTコノキュー マーケティング部門 担当課長の赤沼純氏が登壇し、XR Worldが目指すメタバースの世界について説明しました。リアルとバーチャルの融合を進め、リアルの拡張による経済圏を拡大し、マルチデバイス・マルチプラットフォームで誰もがいつでも楽しめる環境を構築していく、と赤沼氏。

  • NTTコノキュー マーケティング部門 担当課長の赤沼純氏

同社では、ブラウザで簡単に行き来できる「いつでもメタバース」、みんなと繋がって楽しめる「みんなとメタバース」、安心安全に誰でもクリエイターになれる「あんしんメタバース」という分かりやすい言葉でサービスを訴求していく考えです。

  • 「みんなとメタバース」の例

    「みんなとメタバース」の例

  • ユーミン50周年記念とのコラボ企画

    ユーミン50周年記念とのコラボ企画についても紹介。松任谷由実がアバターとなり、19歳当時の荒井由実とメタバース上で共演する演出なども考えられている

  • ゴジラ・XR World(仮)

    今後の展開予定。ゴジラ・XR World(仮)も計画されている

  • 松竹とのコラボ

    松竹とのコラボでは、VR Studios、演劇×メタバースの取り組みも

  • エヴァンゲリオンとのコラボ

    エヴァンゲリオンとのコラボも予定

さらにゲストとして、アバター1名とリアルのメンバー5名によるユニット「AKB48 SURREAL」が登壇。NTTコノキューの提供するバーチャルライブシステムMatrix Streamを活用して、新曲「わがままメタバース」を報道陣に披露しました。

  • AKB48 SURREALのパフォーマンス

    アバターと息を合わせて踊るAKB48 SURREALのメンバーたち