「東京ゲームショウ2022」(TGS2022)が9月15日から18日まで開催された。ホールの一角には「インディーゲームコーナー」を設置。ここだけで80ほどの企業、団体、個人が出展している。国際色も豊かで、普段、日本ではあまり見かけないようなゲームと出会うこともあるだろう。

そのため、「インディーゲームコーナー」は、ジャンルや国籍などが異なる、さまざまなゲームがギュッと詰まった、まるで“おもちゃ箱のような場所”と言える。気鋭のクリエイターたちが自らゲームをアピールする会場では、大手のパブリッシャーとまた違った熱を感じられて楽しい。

そんなインディーゲームコーナーをぶらりと散策。今回は、展示されていた作品のうち、『ペストリーパニック(+猫)』を紹介する。

  • 『ペストリーパニック(+猫)』をプレイ。ゲーム画面は、左右にベルトコンベアが描かれるシンプルなつくり。ここに流れてくるオーダーに従ってパンやドーナッツなどを生産する

インディーゲームコーナーを歩いていると、ひときわ目を引くオブジェクトが現れた。段ボールのような、木箱のような見た目のガジェットである。最初は格闘ゲームのアーケードコントローラーかと思ったが、どうやら違うらしい。ボタンは見当たらないし、レバーのような物体がいくつも刺さっている。

実は、これらのレバー、抜き差しして使うコントローラーの部品。それぞれ調理器具を表しており、異なる役割を持っている。コントローラーの手前には左右に1つずつスロットが開いていて、5種類の器具から選んだものを差し込んで使うらしい。

  • インディーゲームコーナーで目に飛び込んできたユニークな物体。これはいったい……

  • コントローラーのレバー部分は手前のスロットに差し込んで使う。切る、こねる、まぶすなど、それぞれ役割が異なる

  • こねる器具を左側のベルトコンベア用スロットに差し込んだ状態

画面には左右に1つずつベルトコンベアが描かれる。ゲームが始まると、それぞれに「パン」や「ミルフィーユ」といったオーダーが流れてきて、メニューに応じたレシピ通りに、ベルトコンベアに対応した左右のスロットで器具を使うわけだ。そうして、制限時間内にいくつのペストリーを焼けるか、スコアを競う。

例えば、パンをこねる器具は連打して使い、焼くためのオーブンは長押しして使うなど、調理器具はそれぞれ必要なアクションが異なる。まぶす器具は押し込みすぎると失敗するし、オーブンも焼きすぎると失敗するので、調節が難しい。

  • たとえば、パンを切るときは、切るレバーを手前に差し込んで、1回押す

実際にプレイしてみると、ゲームのタイトル通り、パニックになる。異なるメニューが左右のベルトコンベアに流れてきて、必要なツールを見極めたあと、左手は長押し、右手は細かく振るなど、両手で異なるアクションを実行しなければならない。道具の位置と必要なアクションを頭に入れておかないと、手間取ってしまう。特に、上下に振って使うまぶす器具のアクションが難しく、毎回左手で操作するときに押し込みすぎてしまい、ペストリーを台無しにしてしまった。

こねる、切る、まぶす、詰める、焼くの動作には、対応したハプティクスが設計されていて、左右の手でそれらのアクションを感じられるところもおもしろい。

  • ペストリーを作るための手順(レシピ)もそれぞれ異なる。左右の手で異なる動きを同時に行うことがこんなに難しいなんて思いもよらなかった

結局、制限時間内に1つもペストリーを作れなかったのだが、ユニークなコントローラーの操作はかなり新鮮で、楽しめた。個性的な未知のオリジナルゲーミングガジェットに触れられるチャンスがあるのも、東京ゲームショウのインディーゲームコーナーならでは?