セガトイズは、「ホームスター」シリーズ初の“インターネット接続型”家庭用プラネタリウム「HOMESTAR granity」(ホームスター グラニティ)を9月8日に発売する。価格は69,799円。Amazon.co.jpと、直販サイト「セガトイズ.com」で取り扱う。カラーは黒と白の2色。

  • HOMESTAR granity

都内で開催された新製品発表会では、HOMESTAR granityの実機を体験できるスペースが設けられ、短時間ながらプラネタリウム投影を楽しめたので、記事後半でファーストインプレッションをお届けする。

  • 都内で開催された新製品発表会に登壇した、中川翔子さん(左)とm-floの☆Taku Takahashiさん(右)

ホームスターシリーズでは従来から光学式(レンズ式)の投影機能を備えているが、同シリーズの“最高峰”と位置づけるHOMESTAR granityでは新たに、プロジェクターによるデジタル映像の投影機能を搭載。多くのプラネタリウム施設で採用されているものと同様に、光学式とデジタル式を組み合わせたハイブリッド投影を行えるよう機能強化した。

iOS向けの専用の動画配信アプリを用意し、プラネタリウム施設で上映された作品を中心に、初回44作品を配信。自宅の天井に映像と星を映し出して楽しめ、「プラネタリウム施設さながらの体験を自宅で堪能できる」とする。映像再生にはHOMESTAR granity本体が必要。アプリはiOS/iPadOS 14以上を搭載したiPhone/iPadで動作する。

映像コンテンツは基本無料だが、44作品のうち2作品は有料レンタル作品(各610円、1週間見放題)となる。コンテンツは今後も随時追加予定とのこと。

HOMESTAR granity限定の映像作品として、「星の旅人 生命の環(いのちのつながり)」を収録。屋久島の神秘的な映像と、光学式投影による星が組み合わさり、「圧倒的な臨場感と魅惑の映像体験」が楽しめるという。

さらに、航空宇宙機の開発を手がけるSPACE WALKER監修のもと、m-flo ☆Taku Tkahashi氏による楽曲を使った“2030年代の宇宙旅行”を疑似体験できる、期間限定配信の映像コンテンツ「SPACE CRAFT granity」も視聴できるようにした。

  • 光学式(レンズ式)と、プロジェクターによるデジタル映像の投影機能を備える

日本の星空(天の川)を投影できる、約5cm径の専用恒星原板が付属し、星の数は約6万個。好きな四季に合わせて日時をセットして星を投影でき、さらにスマホアプリから電源オフ、恒星投影、日周運動(左/右切り替え)といった操作が行える。本体には光源として高輝度白色LEDを搭載している。投影サイズは、2mの距離で約2.2m(円形)。

プロジェクター部にはWVGA/854×480ドットのDMDパネルを搭載し、光源はRGB LED。映像の投写サイズは2mの距離で約3.9m×2.2m。アプリからプロジェクター機能のオン/オフや、音量/明るさ/コントラストの調整もできる。なお、本体は手動での垂直角度調整(0~90度)に対応する。

付属の専用ACアダプターで動作する。本体にはIEEE 802.11ac/b/g/n/a準拠の無線LAN機能(2.4GHz/5GHz)の通信機能を装備。2W×2chのスピーカーも内蔵する。タイマー機能(30分/60分/オフ)も装備。本体サイズは205×205×238mm(幅×奥行き×高さ)。重さは1,700g。対象年齢は15歳以上。

  • 付属の専用恒星原板

  • 実機の投影イメージ

都内で開催された新製品発表会には、m-floの☆Taku Takahashiさんと、宇宙へ行くことが長年の夢だという中川翔子さんの二人が登場。 HOMESTAR granityで楽しみたいことや、宇宙旅行中に無重力空間でやってみたいことをフリップで発表するなど、“宇宙づくし”のトークを展開した。

  • 中川翔子さん(左)とm-floの☆Taku Takahashiさん(右)。宇宙でやりたいことをフリップで発表

クリアな星空に迫力の映像体験をプラス

HOMESTAR granityによるプラネタリウム投影を短時間だが体験した。初代ホームスター(2005年発売)を自分で購入して楽しんでいたこともある筆者だが、HOMESTAR granityのサイズ感はひと言で言うと「デカい」。

  • HOMESTAR granity

既に紹介したとおり、中川翔子さんや☆Taku Takahashiさんが片手で持っている写真を見てもらうと、そんなに大きくないように見えるかもしれないが、見慣れたコンパクトなホームスターとは違って、テーブルの上に置くとけっこう存在感がある。重さは約1.7kgなので、グラつかずしっかりした設置場所が必要だ。また、初代ホームスターは複数本の乾電池を収めたケースを本体につないでどこでも星を映せたが、HOMESTAR granityは専用のACアダプターを使うので、設置場所の近くにコンセントがあることが必須条件となる。

本体上面のレンズは、小さい方が恒星原板を使った星空投影用で、大きい方がプロジェクター用。星空に関しては、基本的な仕様は従来機種を踏襲しているそうだが、星空と映像をキレイに重ね合わせられるよう、外周をくっきり映せるようにしたとのこと。「ホームスターとモバイルプロジェクターを組み合わせれば、HOMESTAR granityと同じことができるのでは?」と素人考えしてしまうところだが、光学式プラネタリウムとプロジェクターを一体化し、立体的な空間演出を可能にするためにも、このあたりは細かくブラッシュアップしている模様だ。

  • 本体上面のレンズ。小さい方が恒星原板を使った星空投影用で、大きい方がプロジェクター用。ピント合わせは側面の手動ダイヤルで行える。複数設けられたスリットの奥にはスピーカーがある

HOMESTAR granityには、恒星原板を指定の位置に合わせてセットすることで、好きな日時の星空を投影できる仕組みが備わっている。過去に発売していた上位機種「HOMESTAR EXTRA」にも日時を指定して投影する機能があったが、新機種にそれが引き継がれたかたちだ。星空に関しては従来機同様に、プラネタリウム・クリエーターの大平貴之氏が監修協力している。

  • 本体に収めた恒星原板

実際に、暗くした室内で星空を投影してみる。すると、初代ホームスター(星数1万個)とは比べものにならないくらい、迫力ある星空が天井いっぱいに映し出された。レンズ性能なども向上しているようで、星像のクリアさも段違い。約6万個という星数は、現行の「HOMESTAR」や「HOMESTAR Classic」と数値上は共通で、基本的な投影仕様にも大きな違いはないようだが、はじめてホームスターシリーズに触れる人や、初代機ユーザーにとっては、HOMESTAR granityの高品位な星の映りには驚かされることだろう。

続いて映像コンテンツも見てみる。アプリからAirPlayを介して専用の映像コンテンツを投写する仕組みで、6〜8畳間ほどの天井であれば、かなりの迫力サイズで明るい映像が楽しめ、星空と組み合わせた演出も上々。解像度が854×480ドットなので、昨今のフルHD/1080p投写できるモバイルプロジェクターと比べるとやや物足りない感じはするが、壁や天井との距離を工夫すればそこまで気にならなくなると思われる。

それにそもそも、HOMESTAR granityは一般的なプロジェクター製品とは位置づけが明確に異なる。ホームスターで映し出した星空にオーロラ映像を重ねて観たり、寝る前にコンテンツ再生してそれを楽しみながら寝落ちする……といった用途であれば、そこまで解像度はなくても必要十分だろう。

なお、HOMESTAR granityの専用アプリはiOS版のみを用意している。担当者によると、Android版についても「今後対応していきたい」という意向はあるものの、セガトイズとしてはネット接続に対応した製品は初めてという事情もあり、まずはiOS対応からやっていく、という方針にしたそうだ。

  • HOMESTAR granity専用のアプリ画面

  • アプリの再生画面

光学式とデジタル式のハイブリッド投影が行え、さらに専用の映像コンテンツをネットからダウンロードして楽しめる家庭用プラネタリウムは、「HOMESTAR granity」をおいて他にないハズ。定価はほぼ7万円とかなり高価なうえに、この製品ならではの付加価値が刺さる人も多くはないかもしれないが、現状唯一無二のものである、というところにこの製品の特徴がある。個人的には、キレイな360度フルドーム投影ができればもっと高価でもいいから欲しい、という気持ちさえある。ホームスターシリーズのプレミアムモデルとしてHOMESTAR granityがどれだけ注目を集めるか、今後も目が離せない。