マリオットといえば、ザ・リッツ・カールトンなど高級ホテルグループという先入観がある筆者世代。しかし、最近ではZ世代を意識したホテルブランド「Moxy(モクシー)」が人気らしく、今後は日本を含むアジア太平洋地域を中心に数を増やしていくのだそう。そんなホテルが「Moxy 遊んだもん勝ち!」と銘打ったキャンペーンを開始、拡張現実/ARを活用したプログラムを準備中とのこと...ホテルでAR? 斬新な組み合わせに興味をそそられ、大阪にある「モクシー大阪新梅田」を訊ねてみました。

  • モクシー大阪新梅田を訪ねました

    モクシー大阪新梅田を訪ねました

マリオットの新しい試み

大阪環状線の福島駅で下車、5分ほど歩くと見えてきた「Moxy」という鮮やかなロゴ。東京と大阪のザ・リッツ・カールトン、恵比寿のウェスティン、横浜のシェラトンなどマリオットグループのホテルは宿泊や宴会で何度も訪ねているけれど、このホテルは違います。一見ロックというかファンキーというか、ちょっとマリオットらしくない感じ。

訊けば、Moxyは「Moxie」で元気を意味するとのこと。2022年7月現在、北米と欧州およびアジア太平洋地域で60軒以上を展開、日本では2017年オープンのモクシー東京錦糸町を皮切りに現在4軒あるそうです。新しくカードを作ろうと物色中に出会った「Marriott Bonvoy アメリカン・エキスプレス・カード」 -- ざっくりいえば、たくさんカードを使うとマリオット系ホテルの無料宿泊特典をもらえるおトクなクレジットカード -- で存在を知ってはいたけれど、確かに元気な、アクティブな雰囲気です。

ホテルに入ると最初に目に入るのは、バーカウンター。フロントはどこだろうとあたりを物色すると、チェクインカウンターらしきエリアが。なるほど、バーカウンターがフロントを兼ねているわけですね。いやいや、そんなホテルがこれまであったか? そこまで若者向け? という話ですが、その違和感は発表会で見たショートムービーで氷解しました。

  • バーカウンターがフロント/チェックイン・カウンターを兼ねています

若い女性がベスパにまたがったままホテルの様子を伺っていると、威厳漂う老紳士がつかつかと歩みよります。文句でもいうのか? と思いきや、手にしていた書類を投げ、ジャケットを脱ぎ...その背中には「Moxy Crew」の大きなロゴが。老紳士はBill Marriott氏、グループの総帥です。ベスパで走り出す2人のラストショットはMoxyに対する本気度とともに、若者とか老人とかの括りはあまり意味がない、"遊び心"というコンセプトをひと目で理解させる、なんともイカシたものです。

  • モクシー・ホテルのコンセプトムービーのラストショット

  • 重要なのは年齢ではなく"遊び心"です

  • モクシー・ホテルのコンセプトに関する説明で、プラトンの言葉が引用されました

Moxyの基本コンセプトは、フレンドリーな雰囲気をあわせ持つ節約志向の旅行者向けブティックホテルだそうですが、清潔感がありインテリアの隅々にまで強いこだわりが感じられます。

たとえば、バーカウンターそばに置かれたピンボール台やテーブルサッカー。ラウンジの天井には和な雰囲気の照明が吊り下げられ、ライブラリ風の飾り棚も、いい味を出しています。

  • バーカウンター付近には、ピンボール台とテーブルサッカーが

  • スポーツジムからラウンジを見下ろしたところ。和な雰囲気も漂います

客室はシンプル&ベーシックな造りながら清潔感があり、ベッドマットレスはシモンズ。しかも、片付ければ広いスペースを確保できる柔軟な設計なのだそう。壁にたくさん突き出た棒は飾りではなく、服などをかけておけるクローゼット兼用なのだとか。ロックでファンキーな空気感を演出するけれど抑えるべきは抑えてソツがない、細部まで計算されているところが印象的でした。

  • 客室には寝心地で定評あるシモンズのベッドマットレスが置かれています

  • 壁にたくさん突き出た棒は、衣類を掛けておくなどマルチパーパスで利用できます

新しいホテル体験「モクシーユニバース」

今回モクシー大阪新梅田を訪ねた最大の目的、「ホテルでAR」とは? 彼らが「モクシーユニバース」と呼ぶ世界観を体験すべく、施設内の見学ツアーに参加してみました。

  • ホテル内の要所要所に、モクシーユニバースへと誘う立て看板が設置されています

まず、ホテル内には要所要所に立て看板が用意されています。そこに印刷されているQRコードをスマートフォン(iPhone/Android)で読み取ると、WEBブラウザでモクシーユニバースのWEBサイトに誘導され、アバターが現れます。

アバターのキャラクターデザインはアメコミ風でも日本風の2頭身でもなく、Sci-Fi&無国籍風という佇まいですが、アバターをカスタマイズする自由度はかなりのもの。髪型や服、メガネなどのアクセサリといった豊富なパーツが用意されています。

  • アバターは多数用意された服や髪型からカスタマイズできます

その後、客室やバーカウンターなどに設置されている3色のマーカーをスマートフォンのカメラで読み取ると、画面(WEBブラウザ)にアバターが出現。飛んだり跳ねたりダンスしたり、背景に重なる仮想現実キャラクターとして、その場に応じた動きを見せてくれます。単なるキャラクターではなく、スポーツジムでは一緒にスクワットしてくれるなど実用性があるところもポイントです。

  • スポーツジムではスクワットに付き合ってくれる実用性も

それだけではオリエンテーリングのような雰囲気ですが、さにあらず。アバターには5つのタスクが課せられており、1つクリアするごとにスターが点灯、5つ集めると無料宿泊券などの特典に申し込める、という豪華プレゼントが用意されているのです。

  • 5つのスターを集めると、宿泊特典など豪華プレゼントに申し込めます

なお、プレゼントキャンペーンはMarriott Bonvoyのメンバーを対象にしており、モクシー大阪新梅田の場合はメンバーだけが12月末までの宿泊特典に参加できるとのこと。新梅田以外のモクシー・ホテルについては賞品が異なることもあり、詳しくはWEBサイトをチェックしてください。

  • ローンチイベントではDJが登場。盛り上がっていました

  • ブランドカラーのピンクが映える「Moxy Hotdog」。味も結構イケます

  • DJブース前のマーカーを読み取るとアバター出現。ポーズをキメてくれました

マリオット・インターナショナルでアジア太平洋地区ブランドマーケティング&ブランドマネジメント ヴァイスプレジデントを務めるジェニー・トウさんによれば、「我々の牽引役はフェアフィールド・バイ・マリオットやコートヤード・バイ・マリオット、そしてこのモクシー・ホテルなど、"セレクト"と呼ぶホテルブランドが私たちの成長の牽引役です。2019年以降、それらセレクトのホテルの開業件数はほぼ3倍にまで増えています。まだまだ建設予定が目白押しですので、ぜひご期待ください」とのこと。モクシー・ホテルは現在110軒以上が営業中のところ、新規開業予定は130軒以上だそうですから、身近なホテルと認識される日も遠くないかもしれませんよ。