メタバースの現在・将来像を発信する展示会「METAVERSE EXPO JAPAN 2022」が7月27日に都内で開幕しました。オープニングセッションに登壇したMeta日本法人 代表取締役の味澤将宏氏は「メタバースは一社で作れるものではありません。このエキスポが、開発者、クリエイター、関係省庁が共創に取り組むきっかけとなればと思っています」と語りました。

  • METAVERSE EXPO JAPAN 2022

    METAVERSE EXPO JAPAN 2022

このイベントは、メタバースビジネスを牽引する約30の企業・団体・官公庁が参加し、メタバースに関連したコンテンツの展示を行うとともに、各企業・団体・官公庁の代表者が登壇するカンファレンスでメタバースに関連したさまざまな発表・討論を行うもの。イベントの内容は、2022年10月に開催される「CEATEC 2022」の会場内で一般公開される予定です。

エキシビジョン出展を行っているのは、Meta、NTTドコモ、ソフトバンク、楽天モバイル、テレビ東京、サイバーエージェント、日本経済新聞社、Pixiv、大日本印刷、凸版印刷、コインチェックなど、メタバース関連の事業に取り組む企業。

  • エキシビジョン会場の様子

    エキシビジョン会場の様子

カンファレンスではエキシビジョン出展企業のほか、バンダイナムコエンターテインメント、日本マイクロソフトといった企業や東京大学先端科学技術センター、角川ドワンゴ学園といった教育機関、m-flo/TERIYAKI BOYZ等のVERBALさん、元AKB48でheart relation創業者COOの小嶋陽菜さんといったメディア関係者も登壇の予定です。

オープニングセッション

オープニングセッションには、Meta日本法人 代表取締役の味澤将宏氏が登壇。本稿冒頭で紹介したように、このエキスポはメタバースに関わる各企業・団体・官公庁の共創の場であると語り、2021年にメタバースに本格的に取り組むという展望を込めて「Meta」と社名を変更した同社が日本を最重要の市場と考えていることを強調しました。

  • 味澤将宏氏

    Meta日本法人 代表取締役の味澤将宏氏

ビデオメッセージでコメントを寄せたMeta最高技術責任者のAndrew 'Boz' Bosworth氏も、「日本はこれまで、テクノロジーの未来を牽引してきました。VR時代も、Meta Quest2がヒットしたとき、その可能性を広げたのは日本の開発者でした。メタバースについても、日本がアーリーアダプターとなるでしょう。メタバースは黎明期で、やることがたくさんあります。それが日本で成し遂げられることを期待しています」と、メタバース発展に対する日本の貢献への期待を語りました。

  • Andrew 'Boz' Bosworth氏

    Meta最高技術責任者のAndrew 'Boz' Bosworth氏

ビデオコメントはもう一人、デジタル大臣の牧島かれん氏からも寄せられました。牧島氏は「メタバースは、場の提供、その上のコンテンツなど、あらゆる事業機会を広げるもので、日本の得意とする分野。場所や移動の制約から解放され、さまざまな人が活躍できる場としても重要」という認識を示したうえで、「メタバースを含むデジタルが新しい付加価値を生み出す源泉となるよう、政府としても、時代に合わない規制を見直すなど、環境整備を進めていきます。さまざまな施策は担当省庁が担っていきますが、関連施策のとりまとめをデジタル庁が行います」とデジタル庁の役割を位置付け、「誰一人取り残さない安全な利用環境と、事業者に魅力的な事業環境を結びつけます」と目指すところを語りました。

  • 牧島かれん氏

    デジタル大臣の牧島かれん氏

これらのコメントを受けて味澤氏は、Metaの取り組みについて紹介していきます。「Meaは社名を変えましたが、『コミュニティ作りを応援し、人と人とがより身近になる世界を実現する』というMetaのミッションは変えていません」と言い、メタバースがソーシャルテクノロジーの次なる進化であると話します。

メタバースの3つの特徴として、味澤氏は「没入感:Immersiveness」「その場にいるような感覚:Presense」「相互運用性:Interoperability」を挙げます。そして現在はゲーム/エンタメが中心となっているメタバースのユースケースについて、今後は仕事/教育/コマースが増えてくると語り、今後の10年間でGDPに占めるメタバース関連の割合が2.8%に達し、3兆ドルの新しい経済が生まれるという予測を示しました。

そのうえで、メタバースの推進に向けたMetaの役割を、「メタバースの実現に必要なテクノロジー・ツールの強化をサポートすること」と定義します。VR領域では現行のMeta Quest2やハイエンド機として今後登場予定のProject Cambriaといったハードウェア、Horizon Workroomsのようなソフトウェアを提供。ARについては、すでにInstagramやFacebookでARが日常的なものになっているとして、今後はショッピングでの活用を図るといい、さらにネクストプラットフォームとしてARグラスの開発をするメルといいます。そしてさらに一歩進んだMR(Mixed Reality)を「メタバースの実現において重要なステップ」として取り組んでいくことを明らかにしました。

また、責任あるメタバースの構築に向けた4つの原則として、「経済的機会」「プライバシー」「安全性と公平性」「公平性と包括性」を提示しました。

  • 責任あるメタバースの構築に向けた4つの原則

    責任あるメタバースの構築に向けた4つの原則

このほか、クリエイターがメタバースにおいてビジネスを構築するのを支援するほか、XRプログラム・研究基金の設立についても言及。後者についてはすでに5,000万ドルの投資を行っていることも明らかにしました。

最後に味澤氏は、「メタバースは始まったばかり。オープンに、色々なプレイヤーが産学ともに集まって作っていくものです。今回のエキスポがそのきっかけになればよいなと思っています」と語り、オープニングセッションを終えました。